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2021/07/24
テーマ：創作童話(818)
カテゴリ：カテゴリ未分類
マザーがモニタ―画面から話しかけています。
「人間を乗せた潜水艦は、海底基地の近くに現れると即座に撃沈、排除される。 攻撃をプログラムされたAIは、アタシから切り離されているからね」 カメぱっぱが画面の老婆に応えます。 「マザーに老婆は合わないよ。アジア系の中年男に変身してくれないかな、 普段見慣れているから話し安いのさ。それでボントスが人間を攻撃しても マザーはそれをストップする力がないと、いうことでいいのかな」 画面に映っていた老婆が一瞬のうち、彫の深い中年男に変わりました。 「最近、エリーゼと私が頻繁に連絡を取り合っているのでボントスも警戒した のだろう。徐々に私との交信を減らして、身の回りのカメラや端末機を 外しているのだ。以前からある第二のスパコン、万が一私が事故で破損した ときを予測し用意してあったものを自分専用で使い出した。 当然、そのスパコンとも私は繋がっているから、その回線を外すように彼の スタッフが日夜作業しているよ。まだまだ完全に遮断するのは、時間が掛かる がね。例えば重力制御装置を地上の都市に向けて発射しても、私が妨害するのは 可能だ」 「ボントスがマザーを無視して命令を発っすることが出来るのは、いつ頃に なるの」 「約1ヶ月で私の監視は解かれるだろうな」 「するとボントスは、マザーやエリーゼの意向なんて関係なく自由にやりたい事が できるようになるパッパ。人間がアクションを起こそうとするならば、1ヶ月以内 だね」 「どんなアクションを起こすのかね、具体的な方法があるのか」 「生物兵器の昆虫たちを地上に運ぶ前に、海底王国の社会をパニックにして、 それどころではない状態にすればいいパッパ」 ザビエスは合点がいったのか大きくうなずきました。マザーは、かなりじれて 困惑した表情を浮かべます。 「なんなんだ、パニックを起こす方法は」 「匂いに特別敏感な海底人なら、基地内にスカンクを数百匹放てば大混乱に 陥るよ。スカンクを追い回し捕獲しようとすれば強烈な臭いを出すからね」 「人間が作った百科事典を読んだが、あれはそんなに臭うのか」 「そりゃあ、ひどいものさ。この作戦が楽しいのは、全部を捕まえるのに 1ヶ月以上掛かるパッパ。その間、彼らは何も出来ないよ」 「海底人が自分たちで直接スカンクを駆除出来ないなら、アンドロイドを 動員すれば済むだろう。残念だったな、カメぱっぱ」 「それも考えたよ、そこでまだ海底基地の中枢神経を握るマザーの登場さ。 駆除するように命令されたロボットもマザーが混乱するように仕向ければ 万事OKパッパ」 「全く野蛮で原始的な作戦そのままだな。AIやスパコンも考えない低次元 レベルなアイデアだが・・面白い。私も一部協力するが、ボントス側の防御は 不可能だ。地上にもお前みたいにトンチが効き、多次元的な生き物がいるとは。 カメぱっぱ、私は、あなたを気に入ったよ」 「大量のスカンクを捕らえるのは人間だが、それを海底に運び基地内に放つのは ・・・誰にする」 「イルカ型潜水艦１艘を桟橋にあるドームから動かして、海上に運ぶのは 私がやる。その潜水艦は本物のイルカと同じ大きさだから、人間が乗船するのは 無理だ。だから、もし海中に放り出されても、最近、手術をしてエラ呼吸が でき長時間、水の中にいても大丈夫な生物が近くにいるよな」 カメぱっぱが驚いて立ち上がります。 「なんで、なんで、そんなことまで知っているの。結局、言い出しっぺのボクが そんな危険な役をやるなんて、でも今更、引っ込められないよね、でもさクジラ型 潜水艦に乗ってザビエスがやった方が失敗しないパッパ」 ザビエスがニヤニヤして首を振りました。 「大型の潜水艦よりも小型の方が見つかりにくいよ。操縦はマザーに任せれば 大丈夫。カメぱっぱなら問題ないよ」 「マザーが感心する最高の作戦を考えるなんて、さすがカメぱっぱさんね」 クリサーラが笑顔で手を叩き空中へゆっくり浮き上がりました。 つづく お気に入りの記事を「いいね！」で応援しよう
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