14号てまり
14号てまり、2011年7月25日に虹の橋を渡りました。いきなり訃報ですみません。この猫については、本記事1回だけのご報告になります。6/21夕方、猫を保護しました。こまちの散歩中のことでした。その猫はよろよろして、歩道をまっすぐ車道に向かって歩いていました。ぽちはあわててこまちを近くの電柱につなぎ、猫を抱き上げました。車道に出てしまう寸前のところでした。抱き上げたら、飛んでいきそうな軽さ!夕闇で子猫のように見えた小さな体は、餓死寸前の老猫でした。その痩せ方といったら、ガリガリどころか、ぺらっぺら!筋肉はすっかり落ちきり、あばらも縮んでいるのか、肩幅が頭の幅より狭く、左右の肩甲骨が擦れ合ってしまうほど寄っています。獣医さんは、10歳以上、相当の老齢と推定されました。目はだいぶ進行した白内障があり、よく見えていない様子です。しかし、目やにはなくきれいで、瞬膜も出ていません。肺炎の兆候あり、極度の飢餓と脱水、体重1.5kg。備考:皮下気腫。皮下気腫というのは、外傷や外科的な医療処置、たとえば皮下点滴などで皮膚の下に気泡が入ってしまった状態のことを言います。怪我をしていたわけではないので、どうやらこれは、治療の痕跡のようです。老齢猫には腎臓病が多いですが、病状が進むと頻繁に皮下点滴を行うものなので、たぶん、腎臓病の治療痕跡でしょう。治療までされている老齢猫が、なぜ外にいたのでしょう?目が悪く足の利かない老齢の飼い猫を、外に出す飼い主さんはいないと思います。どなたかがお世話をしている外猫だったのでしょうか?しかし、お世話をしている人があるなら、どうしてこんな飢餓状態になっているのでしょう??連れ帰ってからごはんを出しましたが、自発的には食べません。動物病院で流動食フードを出してもらい、強制給餌を始めました。しかし、強制給餌をしたら、吐き気の発作に長時間苦しんでしまいます。吐き気があるのに、吐けません。飢餓の体には、当然予想されたこと。筋肉まで代謝して命をつないでいた体ですので、胃腸の働きは止まっている状態なのでしょう。数日後には、口に入れても飲み込まなくなりました。ちょっと飲み下したら、またしても吐き気発作です。食べさせることに、こんなに手ごたえがないとは!!むしろ苦しませてしまっていました。抱き上げたからには、助けたい。けれど。この猫の目は、何も語っていませんでした。つらい、とか、苦しい、ということすら、ほとんど表現されていないようでした。ぽちとも、ほとんど目があいません。透明~な印象です。動物病院に託すことも考えましたが、治療といっても、点滴で維持して胃腸の回復を待つことしかできないでしょう。それで回復するかどうかは、なんとも言えない、あまり見込みのないことに思えました。見込みのない?そうですね、ぽちは、その段階であまり望みを持っていませんでした。名無しのまま逝かせるのがかわいそうな気がして、大急ぎで名前を考えました。もしも、生き延びたなら、まるまる太った幸せな猫になれ、そういう気持ちで、てまり、と名付けました。望みがないのに、でも、あきらめ切れずにいました。強制給餌は、てまりを苦しめているようなので、やめてあげた方がいいのかもしれないとは思いつつ、食べさせるのをやめる決心ができずにいました。てまりは、それでいいの?食べなければ、命は終わってしまうんだよ?てまりの心が知りたいと思いました。何をしてほしいのか、本にゃんがどうしたいのか、知りたいと思いました。食べると苦しいからやめて、と言うだろうか。お母さんはどこ?、と言うだろうか。(お母さんは誰?)帰りたい、と言うだろうか。(どこに?)ぽちは、スピリチュアル系の分野に関して、自分の中にはない感覚なので、・・・よくわかりません。ただ、時間の猶予があまりなく、自分の方針が決められずに迷う中で、何かのヒントがほしい、と思いました。そして、猫の手作り食の師匠として長年お世話になってきた猫ピカイアさんに、初めて、本当に初めて、アニマルコミュニケーションをお願いしました。お忙しいスケジュールに割り込みさせていただき、急遽お約束いただいたセッション日は、6/25。結果。本にゃんはひとことも語らなかったそうです。ただ、飼い主さんに暖かく抱っこされているイメージをずっと追い続けていることを教えていただきました。捨てられたのではなさそう、飼い主さんとはぐれたようだとも。飼い主さんの存在が感じられないので、飼い主さんは亡くなっているかもしれない、猫は、後追いしようとしてるのかもしれない、じっと、旅立ちを待っているのかもしれない、とのことでした。猫の代わりに、猫のスピリットガイド(でしょうか?)が、落ち着ける場所を探していたことと、治療はしてあげて欲しい、というメッセージを伝えてきたと教えていただき、私の方針は決まりました。実のところは、猫ピカイアさんにもプラスαのアドバイスをいただき、それで本当に心が決まったのですが、生きることを望んでいるわけじゃないんだ、と思いました。かといって、死にたいわけでもないのでしょうが(苦笑、猫は、悲しんでいるんですね。飼い主さんに温かく抱かれたいんですね。やすらぎとか、愛が欲しいんだと思いました。それならば、それを優先してあげよう、と。うちを、落ち着ける場所にしてあげたい。愛する飼い主さんの代わりにはならないかもしれないけど、温かく抱っこして撫でて、ゆっくり過ごしてもらおう。病院には連れて行って、少しでも体が楽になるような処置をしてもらおう。ごはんは、食べなくても毎日ちょっとだけお皿に用意してあげよう。生きる気持ちになったら、自分から口をつけるだろうし、飼い主さんとはぐれて悲しんでいる心を、少しでも癒してあげられたら、ひょっとして生きる気持ちになるかもしれない・・・。そうならなくても、安らかに逝けるように・・・。心のケアに、バッチフラワーのレスキューレメディと、ホメオパシーを選ぶことにしました。どちらも、飲み込まなくていいものなので、本にゃんへの負担は少ないと考えました。ホメオパシーの選択については、つよーい味方がいます!手作り食仲間、猫友のチビむむさん!状況を説明して、猫ピカイアさんのアニコミュ結果を話して、レメディの候補を提案してもらい、その中からぽちが選びました。が。ホメオパシーのレメディって、そこらのお店に売っていないものですし、すぐ注文しても、手にするまでに3日ぐらいかかってしまうと思われました。時間的に猶予のないてまりには、3日という時間はあまりにも惜しい・・・。チビむむさんにご存知のホメオパスさんから即送ってもらえるように手配してもらえないだろうか、とお願いしました。それなら、明日手に入る、と考えたのです。ところがところが。レメディはもっと早く手に入りました。チビむむさんが、お手持ちのレメディを即日、届けてくれたのです。お互い勤め人で平日のこと。同じ都内といっても、東西に遠く離れた距離を、お仕事の後に届けにきてくれたのでした。それが、6/27のこと。ありがたいことに、ホメオパシーが効きました。レメディをてまりの口にねじ込んだ直後、てまりの目に認識の光が灯りました。我に返った、そんな感じでした。強制給餌をやめて数日で、自発的に食べ始めました。肺炎は、一週間持続の抗生物質注射で危険な状態から脱しました。脱水がひどいため、週2回の通院で皮下輸液。水分が補給されると体が楽になるようでした。とにかく、幸いなことに、コンスタントに食べるようになり、ごはん~、と要求するようになり、(勢いの割には一回に食べる量は、超少ないんですが)ケージから出してあげると、ヨレヨレの足で、室内の散策に出かけていくようになりました。爪とぎもしますし、顔を洗うしぐさも。猫らしく過ごせるようになっていき、ひょっとしたら?という希望が見えました。ここまでが、7月初旬。7月に入った頃から、てまりは便秘に悩まされるようになりました。老齢性の弛緩性便秘です。筋力の不足と腸の反応不良で、しっぽ持ち上げてお尻を見ていると、塊が出掛かってるのが見えているほど、直腸まで便塊が来ているのに、いきんでもいきんでも、外に出せないという様子でした。重症になった一回だけ、動物病院で外科的に掻き出ししてもらいましたが、たかがウンチで毎回これではあまりにも大変です!便秘といって、家庭でできることは、まず整腸です。処方薬の耐性乳酸菌(ビオフェルミンR)がありました。以前、猫友のkiriさんに分けてもらったものです。ビオフェルミンRと消化酵素を飲ませました。この時期は、肺炎の治療で投与された抗生剤の効力が消える時期とちょうど重なり、腸内の善玉菌が盛り返したということもあったようで、効果はテキメンでした。数日して、自力でまあまあ出せるようになり、完全なフン詰まりの心配は半減しました。しかし、それまでは便秘が続いて食欲に大きな波が生じ、この間、体重が1.4kgに落ちました。命あって、先へ先へと思うと心配が尽きませんでしたが、特に苦しいところもなく、のんきにごろごろしている姿で、いずれ時間が尽きるのなら、とせっせとお世話をする日々が、1ヶ月、続きました。その日。7/25。月曜日でした。週末金曜日あたりから瞬膜が見られ、ちょっと調子が落ちたなと感じていました。土曜日が恒例の通院日で、点滴を受けさせましたが、その日にぱったり食べなくなりました。ごはんのお皿を勧めると、顔をそむけるようになりました。お腹に便塊があるのは感じられるのですが、本にゃんに便意が訪れないようで、いきむ姿も見られなくなりました。食べないまま迎えた月曜日。出勤直前に横になったまま頭だけを起こしているてまりと目が会いました。無言で、じいっと見つめてきました。ぽちの心に予感が走りました。『今日、なの?』ほんのちょっと立ち止まって見つめ返し、そのとき、何か言葉をかけたかもしれませんが、残念ながら覚えていません。ぽちは出勤しました。そして、てまりは、ぽちの帰宅を待たずに旅立ちました。ペットシーツに乱れはなく、吐いた形跡も失禁した形跡もありませんでした。体をのびーっとしたような姿勢でしっぽの毛だけをぶわっと逆立てた姿でした。苦しまずに逝ったのではないかと思えました。きれいななきがらでした。てまりは、自分が決めた旅立ちの日を先延ばしにしてくれたような気がしています。ぽちの気持ちに応えて、してあげようと思ったこと、してあげられること、ひととおり、すべてやるだけの時間をくれたのではないかと。引き止めちゃってごめんね。大切な時間を、ありがとう。ほんの1ヶ月のご縁でも、お別れはやっぱり悲しいのだけど、あなたが会いたかった飼い主さんに、やっと会いに行けたのだと考えると、温かな気持ちにもなれているのです。先に行っているうちの子たちにもよろしく。