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人生朝露

「虹」が虫偏である理由。

今日、ある本を立ち読みしていたら、
「雀(すずめ)海中に入り蛤(はまぐり)となる」ということわざに出くわした。
「物がよく変化すること」を表すときにつかうようだ。昔の人は、秋になるとスズメが海辺に群れて騒ぐようになるのを不思議に思って、ハマグリになるのではないかと考えていた。その迷信からできた言葉らしい。スズメがハマグリになるという発想がおもしろい。


さて、話は少し逸れる。


「虹」という字はなぜ虫偏なのか?
これには、こういう説がある。


「虫」という字は本来「ヘビ」を指した。
現在一般的に言う「虫」は、本来「蟲」という字で表現していた。そもそも、虫ではないのにヘビは虫偏の「蛇」と書く。蛞蝓と書いて「ナメクジ」、蝮と書いて「マムシ」と読む。爬虫類という言葉もある。「足のない生き物」と「足の多い生き物」の両方を虫の字で表現していたようである。


 
虹というの現象を、古代の中国人は龍や蛇が作り出すものと説明した。
虹という字は、ヘビ(虫)が、大空を貫く(工)と書く。実際、「虹蜺(こうげい)」という名前の龍の仲間もいる。その名の通り、虹を作ることができる。「鳳凰」や「麒麟」のように雌雄で表す場合には虹が、蜺が雌」の意味になる。



同じように「蜃(しん)」という名前の龍の仲間もいる。日本では「みずち」と読む。この蜃という生き物は、亀の甲羅にヘビのような頭を持っていて、砂漠や海に住んでいる。時折、霧のようなものを吐いて、遥か遠くの景色を、幻として大空に映し出すことができる。この「蜃」の作りだす幻のことを「蜃気楼」という。
虹と蜃気楼は、こういう不思議な共通点がある。(両者とも科学的には「水」というキーワードで結ばれるが、これも龍とつながりがあり、面白い。)


虹や蜃気楼を、今ならほとんどの人が、近づくと消えてしまう幻であるとか、光学的な説明をするだろう。しかし、別の説明の仕方があるのだ。昔の人は、科学的な知識がなくても、もっと面白い世界の見方をしていたのかもしれない。


長ったらしいトリビアだけど。

ここで、ハマグリである。

実は、蜃気楼の「蜃」という字は「はまぐり」とも読む。(貝のクセに「蛤」も「蜃」も虫の字がつくのが凄い。)蜃気楼という現象は「海中のオオハマグリの泡が作り出す幻」という説もあるのだ。

秋のスズメが姿を変えてハマグリとなり、そのハマグリが巨大な幻も作り出す。昔の人の想像力の豊かさと、表現の面白さは、なかなかどうして魅力的だ。100グラム何円の貝と思うなかれ。
2004年3月25日


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