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さて、小林よしのり責任編集長の「わしズム」も最終号となりまして、
「田母神論文を補強・擁護」で、終わりを迎えたようです。 さらに、休刊が決定した「諸君!」では、 『「田母神俊雄=真贋論争」を決着する』 という対談も組まれています。 秦郁彦vs 西尾幹二対談!! 「捨て身の問題提起か、ただの目立ちたがりか」 「西尾さん、自分の領分に帰りなさい」 「秦さんの文章には腹が立つ」。 近代史の核心を穿つ緊迫の論戦、全四時間! 実に興味深い内容でした。個人的には渡部昇一先生に比べれば、まだ西尾さんは「まとも」な部類に入ると思っているので、西尾さんがボロボロになるのは、ちょっとつらいんですが。ま、しょうがない。 しかし、表紙にもある「捨て身の問題提起か、ただの目立ちたがりか」という言葉が、涙と笑いを誘います。退職金と印税と講演収入で、どうやら年収一億ということになりそうなタモさんが「捨て身の問題提起」って、あーた(笑)。現代の三島由紀夫って、あーた(泣)。笑わすのもいいかげんにしてよ。ちゃんと切腹した後に首を刎ねられる覚悟があの方にあるわけないでしょ?武士道における恥の意識がハナクソ程度にでもある人なら、 こんな本出すわけないでしょ(泣)。 帯には、 「だまされるな!本当のことを教えよう」というタモさんの切実な思いが掲げられています。 「コミンテルンの陰謀なんてのは枝葉末節だ!」と小林よしのりが擁護し、 「田母神さんを侮辱するのはやめていただきたい。軍人には名誉が大事なのです。彼の論文には一種の文学的な説得力がある。細かいことはどうでもいいんでね。」と西尾幹二が擁護しようとも、タモさんの新著には、 【大東亜戦争の真実】 張作霖爆殺事件と盧溝橋事件はコミンテルンの自作自演 と、堂々と書いています(泣)。引き下がるつもりはないし、何がおかしいかも分かっていないご様子です。ま、この説をメシのタネにするご予定のようですからね。 もちろん、 【大東亜戦争の真実】 南京大虐殺はデッチ上げである ともあります(泣)。 さて、この「田母神塾 これが誇りある日本の教科書だ」。 誇りも何も、「コミンテルンに騙されて」我々の先人たちは尊い命を犠牲にした、という話にされてしまいまして、犬死にどころか「アジアの解放」という大義名分すらもコミンテルンのおかげさまなわけですが、タモさん支持者はそれで良いそうです。「騙されて始めた戦争に最終的には負けました」なんていう屈辱的な物語に「誇り」なんぞが持てる人間の神経を疑いますが、一部の信者さんは、すでにその神経が抜かれているんでしょうかね。どのツラ下げて靖国の英霊に対するのか見てみたいものです。 とりあえず、田母神塾は、進学塾ではやっていけません。 今年のセンター試験には、こういう問題が出ています。 ・・・・(以下引用)・・・・ 第6問 問5 下線部eに関連して,1920年代から30年代にかけての日本軍の国外活動に関して述べた次の文ア~イについて、古いものから年代順に正しく配列したものを,下の(1)~(6)のうちから一つ選べ。 ア 日本軍が中国の都市南京を占領するに際して,捕虜や非戦闘員を殺害する事件が起きた。 イ 中国東北部での日本軍の活動に対して,国際連盟からリットン調査団が派遣された。 ウ 関東軍参謀河本大作らが,中国軍閥の一人である張作霖を,奉天郊外において爆殺した。 (1) アイウ (2) アウイ (3) イアウ (4) イウア (5) ウアイ (6) ウイア ・・・・(引用終わり)・・・・ (機種依存文字があるため、記号は変更いたしました。) 参照:当ブログ センター試験と産経新聞。 http://plaza.rakuten.co.jp/poetarin/diary/200901210000/ タモさんの主張が二問もカブりますからね。 いや、防○大学と拓○大学の入試とか、自衛隊の統幕学校(泣)ではこの程度の知識でもOKかも知れませんが(生徒も疑問すら感じないかもしれませんが)、さすがに他の学校では受け入れられないでしょう。ちなみに、「新しい歴史教科書」ですら、南京事件は取り扱っています。「なかった」なんていう歴史教科書はないので、センター試験の設問は何の支障もありません。むしろ、矛盾を起こしてしまうまう組織の歴史観の方がおかしいと私は思います。ま、もちろん自称愛国的ご父兄の皆さんは、こんな問題で正解を出して大学受験をするようなご子息に対しては、大好きな体罰を、骨格が歪むくらいまで食らわして矯正なさるなり、受験そのものを放棄するように指導なさると拝察しますが、私は人様の家庭教育には不干渉という立場ですので、法律の範囲内でご自由にどうぞ。 今回は「自らの身は顧みず」や、「日本は侵略国家ではない!」に比べると、タモさんの自らの考え、もしくは最近信者さんの間でひっぱりだこの講演の内容に近い出来になっていまして前作や前々作よりも過激で、トンデモ度がアップしています。これは、買いですよ(笑)。 あの「論文(笑)」の中で最も笑われたものの一つが「張作霖爆殺事件」におけるコミンテルン陰謀説なんですが、タモさんの最新刊では、タモさん流に張作霖爆殺について、珍説を開陳なさっております。 >冷戦崩壊に伴い、ソ連の資料も出てきています。ソ連の調査によれば、張作霖が殺された列車の天井には、穴が明いていたそうです。爆薬は線路側に仕掛けられていたはずですから、天井に穴が明いていないというのは妙です。ひょっとすると、爆弾が仕掛けられていたのは線路側ではないのでは?と疑いたくもなります。(p.44) ご丁寧に写真付きで「張作霖爆殺事件の様子。天井が破壊されているのがわかる」などと書いてあります。 素晴らしい着眼点です(泣)。 こんなことを活字化できるタモさんと双葉社に敬礼! あのね、爆殺の現場は立体交差していていね、上に満鉄が通っていて、その下の京奉線を通る張作霖の列車を狙ったわけ。列車の上で交叉する満鉄側に爆薬を仕掛けたのだから、天井が破壊されるのは当然。爆風と、橋の重さで殺害する計画だったのです。「天井が破壊されていること」に疑問を持つ人の本なんて初めて読みましたよ。中学校の教科書レベルでも載ってるんじゃないの?こんなこと(参照)。 さらに、 >それに、常識で考えて、高速で走っている列車の特定の車両をピンポイントで爆発させるなどという芸当が可能でしょうか?ゴルゴ13でもなければ、とても無理だと思います。(中略)車両が1両ズレただけでも、確実に殺すことはできません。どう考えてみても、爆殺事件を関東軍が遂行したとは信じがたいのです。(p.45) ご心配なく。ちゃーんと、仕損じた時のことまで考えて抜刀隊までいました。それに、ゴルゴ13なんて引き合いにだしたら、潮匡人に「マンガ脳」なんてバカにされますよ(笑)。 参照: 張作霖爆殺事件 -河本大佐犯行説、これだけの根拠- http://www.geocities.jp/yu77799/nicchuusensou/chousakurin.html つーか、タモさん、いまだに何のために満州に関東軍がいるかの理由も知らんみたいです。もはやプチ非国民では?関東軍に出来なくて、コミンテルンに可能という論理も意味不明だし、そもそも、シナ人の犯行に見せかけようとした自作自演を、さらにコミンテルンが操っているという構図が、無理筋なんですがね(泣)。 国会の参考人招致で「私の書いたものは、いささかも間違っているとは思っていない」とぬかしたタモさん。論文騒動の頃ならば、まだ理解してもいいけど、あれだけいろんなメディアで叩かれていながら、その後もなーんにも勉強しなかったんですな。 さらに、 >河本大作は中国に拉致されていたため、東京裁判には出廷できませんでした。もし張作霖爆殺の真犯人が彼であれば、中国共産党は無理にでも彼を東京裁判に引っ張り出したことでしょう。これは私の予測ですが、「自分が張作霖を殺した」と認めなかったために、彼は東京裁判に出廷させることができなかったのではないでしょうか。(p.46) などと・・ もう、どこからつっこんでいいのやら。 この人は東京裁判って知っているんでしょうか?一文ごとにつっこめる箇所です。タモさんが国共内戦について無知というのはわかりますが・・・河本大作は東京裁判の間に拉致なんてされていません。彼は西北実業建設公司という会社の顧問として山西省に残留していていました。戦後も中国にいたんですよ。国共内戦の時は国民党の閻錫山の側についています。1949年に共産党に敗れて捕虜となりました。「拉致された」などというのは、全くの妄想ですな。よくもここまで知ったかぶれるものだと感心いたします。どこで、どういう教育を受けたんでしょうか? 参照: Wikipedia 河本大作 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B2%B3%E6%9C%AC%E5%A4%A7%E4%BD%9C Wikipedia 張作霖爆殺事件 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BC%B5%E4%BD%9C%E9%9C%96%E7%88%86%E6%AE%BA%E4%BA%8B%E4%BB%B6 楽天ブックス 田母神塾 これが誇りある日本の教科書だ http://item.rakuten.co.jp/book/5987339/ というわけで、時間切れ。 のちに、推敲とその2を追記予定。 今日はこの辺で。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009.03.07 01:31:50
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