11日は、東京の病院に入院した、兄の見舞いに行きましたが、その病名を聞いて、「断腸の思い」という言葉を思い起こしました。
兄が救急車で緊急入院をしたのは、4年前の心臓手術の時以来2回目ですが、今回は、心臓や脳には全く異常はありませんでした。
ところが、お腹の痛みを訴えたため、開腹したところ、大腸が壊死した状態になっていたため、大腸を取り除く手術を受けました。
何が直接の引き金になったのかはわかっていませんが、何らかの原因で、大腸に血液がまわらなくなったために、わずかな時間の間に、大腸が壊死をしたとのことで、消化器が専門の医師の話では、数十年の経験の中でも、これが2例目ということでした。
それだけ、めったにない珍しい症状ということですが、数時間のうちに、たちまち腸が機能しなくなったと聞いて、「断腸の思い」という、中国の故事に基づく言葉が頭をよぎりました。
これは、中国の晋の時代の昔話ですが、桓温という武将が、舟で三峡を旅していた時に、従者が小猿を捕まえました。
これを悲しんだ母猿が、川沿いの岩づたいに、どこまでも追いかけてきたあげく、ついに舟に飛び移ったのですが、そのまま息絶えてしまいました。
そこで、その母猿のお腹を開いてみると、腸がずたずたになっていたことから、はらわたが千切れるほどの悲しみや辛さを、「断腸の思い」と言うようになりました。
兄も場合も、長く政治の世界で仕事をする中で、誰にも言えないような、辛いことや悲しい出来事が、積もり積もっていたことでしょう。
しかし、根っから我慢強い男ですし、言い訳も一切口にしないタイプですので、もしかすると、それが断腸につながっていったのかもしれません。
ただ、やるだけのことはやったのですから、今は全てを忘れて、ゆっくりと休んでほしいというのが、弟としての思いです。