耳(ミミ)とチャッピの布団

2016/12/03(土)04:12

カフカの「変身」

フランツ・カフカの「変身」と云う小説を読まれたことありますか? カフカと云うのはチェコ出身のドイツ語作家で、ユダヤ人です。 「変身」は「ある朝目覚めると巨大な虫になっていた」で始まる男の物語で、家族からはキモチ悪がられ疎んじられて、父親に投げつけられたリンゴによって深い傷を負った男は次第にやせ衰え息を引き取ります。 そんな物語です。 人間の不条理を描いた小説として実存主義の金字塔と評価されてる小説です。 フランツ・カフカは小説家専業ではありませんでした。 本業は労働者傷害保険協会の職員です。 当時のハプスブルク家の官僚体制で、勤務時間が朝8時から14時まで昼食を取らずに働くというシステムだったため、残りの午後の時間を小説を書く時間に使えたのですな。 やがて結核を患ったカフカは勤務が不可能となり、年金生活者となりますが、困窮する生活の中で病状が悪化し、40歳と11ヶ月でこの世を去っていきます。 1924年のことです。 カフカの「変身」はその解釈をめぐってさまざまな研究がなされており、また「変身」に触発された映画や「変身」そのものを描いた映画も作られてます。 「変身」と云うタイトルの映画だけでも、1975年にヤン・ニェメツが監督したTV映画「変身」を始めとし、1977年のキャロライン・リーフ監督によるアニメーション「ザムザ氏の変身」、1987年にはジム・ゴダード監督でTV映画「変身」、2002年には有名なワレーリイ・フォーキン監督による「変身」が上映されています。 これらの映画に描かれている主人公は虫と云うだけで、ゴキブリのようなナンキンムシのような、いっこうに形体がハッキリしませんね。 実はカフカが「変身」を発表したとき、彼は出版社に対して「昆虫そのものを描いてはいけない」「遠くからでも姿を見せてはいけない」と注文をつけていたのです。 これはドイツ語の原文が「Ungeziefer」なっており、古高ドイツ語では「生け贄にできない不浄な動物」を意味する単語なんです。 つまりカフカはどんな虫に変身したのか、読む人の想像にまかせていたのですね。 先に上げた「変身」の映画画像を観て、どっかで見たような?と思いません。 そう、テレポットと云う転送装置にハエが紛れ込んでたため、人間がハエに変身してしまう映画「ザ・フライ」。 この作品は1986年の映画ですが、1958年に公開された映画「ハエ男の恐怖」のリメイク版です。 このザ・フライの監督をしたデヴィッド・クローネンバーグは、カフカの「変身」に触発されて映画を作ったと述べています。 「変身」はまた舞台化もされてます。 それもバレエやオペラに。 有名なのが1969年に初演されたイギリス人演出家スティーブン・バーコフのバージョンで、バーコフ自身のほか、ロマン・ポランスキー、ミハイル・バリシニコフ、ティム・ロス、また日本では宮本亜門や森山未來が主人公役に挑戦しています。 私にはデビッド・リンチが監督した有名だけど、とても難解な映画「イレーザーヘッド」もカフカの影響が大きくのしかかっているように思えてなりません。 「変身」は虫に変身した男の悲劇と捉えられがちですが、どっかユーモラスな部分が見え隠れしています。 だいたい虫に、それも突然変身するって発想自体が奇想天外。 実はカフカはこの作品の原稿を朗読する際、絶えず笑いを漏らし、時には吹き出しながら読んでいたと云います。 学者先生が深刻な物語と受け止めて、研究に余念がないのを尻目に、カフカは出版物が文字の大きさや版面のせいで作品が暗く、切迫して見えることに不満を抱いていたと云います。 最後にカフカ自身を描いた映画をご紹介しておきましよう。 「KAFUKA/迷宮の悪夢」1991年に上映された私の大好きな映画です。 ここでも現実と非現実が入り乱れたストーリーで、非常に興味深い映像美を見せています。 中之島公園の猫たち-SAVE THE CATS IN NAKANOSHIMA PARK-」 整備工事で閉鎖になった大阪の中之島公園。そこに暮らしてた約70匹の子供たち。 心あるボランティアのご尽力で「猫の部屋」と呼ばれる仮住まいを得ることができました。 すこしずつ里親さまも決まってきてますが、まだまだ多くの子供たちが良いご縁を心待ちにしています。 なを「中之島公園の猫たち」では恐縮ですが現金によるご支援は一切お断りしております。 「公園ねこ適正管理推進サポーター制度」が実施されています。 そちらのリンクもありますので、大阪市在住の方はぜひ見てください。

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