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テーマ:猫のいる生活(135876)
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1975年にイギリスの代表的なコメディグループ「モンティ・パイソン」がテリー・ギリアムとテリー・ジョーンズ、2人の巨匠監督で撮った「モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル」と云うコメデイ映画があります。
イギリスのアーサー王伝説をもとにしたパロディ作品で、とても低予算で作られたにもかかわらず、根強いファンの支持がある映画なんですな。 洞窟の入り口を護るのは白ウサギ。 なんでウサギみたいな脆弱なヤツが守護してるんだ? と、思ったら、これがとんでもない凶暴な「殺人ウサギ」で、何人もの騎士が命を落としてしまうのです。 殺人ウサギはなんとか「聖なる手榴弾」でやっつけますが...なんでウサギ? ばったばったと人を殺しまくる殺人ウサギが出て来るシーンは動画が始まって、1分30秒くらいに登場します。 実は中世では、ウサギは人間を襲う生き物として描かれることが多かったそうです。 中世の写本の余白に添えた挿絵には、奇妙なモンスターや半分人で半分獣の獣人、サルのようなものが描かれていることがあるのですが、そこによく登場するのが殺人ウサギなんです。 宗教関係の書物ですら、こうしたイラストが描かれていることがあり、修道士や修道女、司教たちを楽しませるためのものだったと考えられてます。 中世のキリストの肖像の余白には、純真で暴力の「ぼ」の字もない、白や茶色の小さくかわいらしいウサギの集団が描かれているものがあります。 だから、殺人ウサギは逆転のジョークなんですね。 「ウサギのリベンジ」と云うジャンルの漫画を生み出し、描かれている人間の意気地なさや愚かさを見せつけるためにたびたび描かれたのです。 狩りのシーンでは、普通なら、ウサギは狩られる側ですが、こうした挿絵は逆に狩る方になってます。 かたつむりの背に乗って、攻撃をしかけているウサギの絵もあります。 カタツムリのようなのろのろした生き物を戦争に駆り出すのは、こうしたジョークのもうひとつの人気テーマなんです。 窮鼠猫を噛むどころか、こっちは最初から狂暴なウサギ。 中世の絵だから、多少えげつないけど、オモシロイ。 しかし日本の鳥獣戯画と云い、生き物を人間に模写しているのは、結局、人間の業そのものの表現なんですね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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