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テーマ:猫のいる生活(136000)
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きのうは小難しいアルブレヒト・デューラーの寓意画「メランコリア」を取り上げましたが、日本にはもっと平易で単純化した寓意画があります。
こっちの方が人の示す振る舞いや心理状態を過激に描写されていて、一日の長があるのです。 ここでは観念の表現メディアである言語が、「鎌」と「輪」と「ぬ」によって直接的に図像化されているのです。 「変異」を数値的に表現する図像はこの作品によって確実に進展したのです。 いまや日本文化を代表する伝統商品の1つ、「手ぬぐい」も山東京伝が生みの親ですね。 江戸時代、町人たちはさまざまな大きさの反物の余り布を手拭きやほっかぶりなどにして使っていました。 それを京伝が「利用しやすいサイズ」に統一し「斬新なデザインを施して」流行させることを思いついたと云います。 その最も有名なのは「艶次郎」ですね。 切り落としの幕の間からのぞかせている愛嬌のある顔は、百万両分限者の若旦那、艶次郎。 京伝の黄表紙の中でも大ヒットした「江戸生浮気蒲焼」の主人公です。 どうです、この単純化した図柄の中にさまざまな人生をうかがわせる。 同じ山東京伝の手ぬぐいで、「いとし藤」は、ひらがなの「い」を縦に10個並べて、その真ん中をひらがなの「し」で貫いた藤の花のデザイン。 「本田つる」は、鶴のデザインですが、角度を変えて上から見たつもりになると、ちょんまげ姿のお侍さんの頭。 これは現代で云うとグラフィックの世界です。 これに対抗し得るのは1876年に公にされたシャルル・フランの「3つの顔」ぐらいです。 フランはグラフに用いられるような垂直線、水平線、斜線に単純な関数的イミを探るだけでなく、人の表情に及ぼす決定的影響を探りあてたのです。 左から右へと走る線が「上り勾配」を示すならば、それは目尻のつりあがった顔となり、幸福な状態を表現する。 それが「水平」なら、平穏あるいは落ち着きを表わす。 逆に「下り勾配」だったら、悲しみや不調の表情となる。 フランの印象的な3つの顔は現代のコンピュータ・グラフィックスにおいても、例えば経済の「好調」「安定」「不調」を表わす指標として使われています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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