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テーマ:猫のいる生活(135983)
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きのうの更新で笑気ガスに麻酔効果があることを証明したイギリスの化学者ハンフリー・デービー。
この人の発明したランプが「デービー灯」。 このデービー灯は日本国民だったら、ほとんどの人が目にしたハズです。 オリンピック聖火のトーチです。 これは、デービー灯を最新型に改良したもので、2000年以降のオリンピック聖火リレーで使用され始めました。 爆発性のメタンガスが存在する炭鉱の坑内では、蓄電池を腰に携帯し、安全帽に灯部を装着するキャップランプ形安全灯が使われますが、それ以前に使われたのがデービー灯です。 19世紀の初期、イギリスの炭鉱では坑内照明具が着火源となってガス爆発が多発し、困ってました。 デービーはガスの炎の上に目の細かい金網をかざすと、たとえ金網より上に燃焼性のガスが存在してても、網を通してこれに着火することが無いと云うことを発見したのですね。 そして1815年に、揮発油の炎を金網の筒で包んだ安全灯として発明したのがデービー灯です。 デービー灯の構造はランプの芯に、炎を閉じ込めるための鉄製の細かい金網がついてます。 この金網が火炎防止器の役目を果たすのですね。 空気は金網を通過して燃焼を継続させますが、炎が外に漏れて外気を点火するには、金網の穴は細かすぎる大きさなんです。 燃料は植物油を使ってました。 しかし、このデービー灯の登場が却って炭鉱事故の増加に繋がったのは皮肉です。 それはデービー灯そのものの問題ではなく、安全上の理由で閉鎖されてた炭鉱をデービー灯の登場で再開したためです。 また、デービー灯自身の信頼性も低かったのですね。 むき出しの金網は傷みやすく、ただ1本のワイヤーが切れたり錆びて壊れたりすると、途端にデービー灯は安全でなくなるのです。 またデービー灯の炎はとても弱く暗かったのですが、19世紀末に電灯が普及するまで、照明の明るさの問題はついに解決できず終いでした。 しかも、この時代の炭鉱労働者は、自分でデービー灯を用意しなければならなかったのですね。 炭鉱経営者は坑内の照明に関与しなくって、労働者が炭鉱の購買部から購入してたのです。 まぁ、この時代の炭鉱ってのは悲惨です。 坑内のメタンガスは、坑外に吐き出す換気扇によって減少させることは出来たのですが、経営者は換気扇を購入するのは勿体ないと、換気扇を備え付けてない炭鉱も多かったのです。 炭鉱内の空気の基準を定める法的な要請が出来て、やっと坑内の換気を取り入れるようになりました。 さて、デービー灯ですが、サスガに現在の炭鉱で照明として使われることはありません。 しかし、ガスの有無を確認する試験には使用されています。 可燃性のあるガスが混ざっていると、デービー灯の炎はより高く、青色を帯びて燃焼するのです。 そのためデービー灯には、炎の高さを計測できるように鉄製のゲージが備え付けられていました。 それで炭鉱労働者は二酸化炭素ガスを検知しやすいよう、地面近くにデービー灯を置いてました。 炭鉱内の酸素量が少ないとき、デービー灯の炎はあっという間に消えてしまうのです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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