耳(ミミ)とチャッピの布団

2023/11/20(月)05:21

死のつらら

アメリカのマサチューセッツ州に小さな島ナンタケット島があります。 淡路島の1/4弱しかないちっぽけな島です。 位置は日本の津軽半島あたりと同じです。 この島でイチバン寒いのは1月で、最低気温を記録したのは1968年1月8日の-11℃でした。 このナンタケット島で海の表面がシャーベット状のフローズンドリンクのようになったスラーピーウェイブ(Slurpee Wave)が撮影されました。 スラーピーウェイブと云うのは、海面だけが凍り、海面下の海水は凍らない現象です。 これは淡水が凍る凝固点が0℃、塩水の凝固点は-2℃と云う違いによって発生します。 なので、なかなか海水温では凍りにくいのですが、塩水は凝固点に近づくと濃くなり、薄くなってきた淡水に近い水が海面の上部へと向かいます。 そこに氷点下の外気に冷やされるとシャーベット状になるのですね。 地球温暖化が叫ばれて久しいですが、やっぱ寒いところは寒い! 地球上でもっとも寒い地域は南極東部南極高原です。 衛星データによると、気温は約-94℃にもなります。 しかも、その地域は乾燥してるので体感温度はもっと低くなるらしい。 かつてマッキンリー山として知られていたデナリは、海抜6,000m を超える北米最高峰です。 1950年~1969年に観測されたのでは、気温が約-73℃に達しましたが、風による寒さは-83.4だったそうです。 人が住む町でもっとも寒いのはロシアのシベリアにあるヤクーツクです。 この町は永久凍土の上に作られてます。 冬は川が凍って道路として使用できるほど酷寒ですが、1891年には気温が-64.4℃まで下がりました。 冷蔵倉庫の保管温度は温度別に7つの階級に分けられていて、最も低いものはF4級の-50℃以下ですから、ヤクーツクは まさに最低温度の冷凍倉庫の中よりもっと寒いと云うワケです 寒さによる自然現象にはもっとあります。 それが「ブリニクル(Brinicle)」。 ブライニクルは、1960年代に初観測された自然現象の一種です。 ブライニクルは海中に0℃以下の塩水が流れ込んだ時にできると云われてます。 ブライニクルは、主に南極海で観測される現象です。 さきほど述べたように海面の氷は2つの成分で構成されてます。 凍結するときに水から塩の大部分が除去され、氷の結晶自体は比較的純粋な水のままになります。 しかし、これは逆に云えば周辺はその分塩分が濃くなると云うことです。 と云うことは、周辺の海水が凍結するにははるかに低い温度が必要なため、残った塩水は液体のままなんですね。 その濃い塩水が急速な外気の温度低下で氷の割れ間から海中に流れ込む現象がブライニクルです。 塩分濃度が濃いので比重が重く、どんどん沈んでいくのですが、そのときに触れた周りの海水を凍らせながら落ちていくのですね。 ブライニクルは通常の海水より密度が高く、私たちが知ってる「つらら」よりはるかに速い速度で成長していきます。 そのため、ブライニクルに触れた生き物も瞬時に凍りつき死んでしまいます。 こんなことからブライニクルは「死のつらら」とも呼ばれているのです。 ブライニクル現象は関係者間では周知の事実でしたが、映像として撮影がなかなかできませんでした。 それが、このほどBBCの撮影班によって南極のロス島海で世界で初めて撮影されました。 撮影時、海中流れ込んできた塩水は-1.9℃、海面上の温度は-20.0℃だったそうです。 BBCの撮影班はこの凍てつく海水の中で5~6時間も耐えながら撮影を続けたそうです。 Ice Finger of Death Caught on Camera for First Time Freezes Everything In Its Path

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