246720 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

黒いバレエシューズ

黒いバレエシューズ

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Profile

菊江

菊江

Calendar

Category

Freepage List

Shopping List

お買いものレビューがまだ書かれていません。
2008.12.02
XML
カテゴリ:本・映画・音楽

「ハマのメリー」と呼ばれた一人の娼婦がいました。

老婆になっても練り白粉で顔を真っ白に塗り、ひらひらした白いドレス姿で横浜の街のあちこちを

歩いていたメリーさん。

横浜界隈ではかなりの有名人だったようです。

私がネットにてその存在を知ったときにはもう、彼女は横浜から姿を消していました。

謎めいた、都市伝説のような彼女を追ったドキュメンタリー映画があったので観てみました。



ヨコハマメリー


メリーさんは、外国人専門の所謂洋娼(洋パン)。

高い声と気品のある言葉遣い、そして柔らかな物腰から「皇后陛下」と呼ばれていた時期も

あったとか。

行きつけの美容院やクリーニング店でも、自分のこと・余計なことは一切喋らないメリーさん。

謎が謎を呼び、色々な噂が飛び交っていたようです。

メリーさんと交流のあった人々の回想で進んでいくドキュメントは、無駄な部分も多く見受けられ

ますが、それでもメリーさんの写真や映像には目を見張るものがありました。

背中の曲がった老婆が真っ白いドレスに身を包み、顔を真っ白に塗っている姿は、正直言って

異様です。

正常な人とは思えない、近寄りがたい(近づきたくない)。でも目が離せない。

そんな不思議な雰囲気を醸し出しています。

ある人は、その白塗りは「仮面」なのではないかと推測していました。

仮面を付ければ、人は別人になれる。

だから素顔の自分を隠すために、「メリー」の仮面を付けているのだと。

メリーさんの書いた手紙が劇中で紹介されていましたが、はっきりとした美しい楷書と、きちんとした

挨拶文から、教養の高い人だったということが窺えます。

知れば知るほど謎めく、不思議なメリーさんの正体。


ラストには、郷里の老人ホームで暮らす「メリーさんだった女性」の姿が収められています。

美しい白髪の、穏やかそうな老婆。

白塗りにしていた頃の異様な雰囲気は微塵もなく、柔らかな笑みをたたえる小さなおばあさんの姿が

そこにありました。


もう亡くなられたと聞きましたが、ご存命なら90近いお歳のはず。

女性が一人で生き抜くのがどんなに大変な時代だったか、そしてどんなプライドを持って自分の職を

全うしたのか、考えさせられる記録映画でした。


以前「所詮は娼婦。体を売るという恥ずかしい仕事をしていた女を神聖化するような見方は

間違っている」という意見を見たことがあります。

それも正論かも知れません。

でも、多くの女性がその道を選ばざるを得なかった時代もあったのだということを、忘れてはいけない

のだと思います。


「ヨコハマメリー」を借りてきてくれた相方氏よ、ありがとう。






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2008.12.02 12:08:23
コメント(8) | コメントを書く
[本・映画・音楽] カテゴリの最新記事



© Rakuten Group, Inc.
X