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カテゴリ:20年ごしの片思い
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悲しくて泣いているのか、うれしくて涙がとまらないのか。僕の胸に顔をうずめて、彼女はいつまでも肩をふるわせていた。 ・・・先輩、わたしね。 なに? わたし、もうすぐこの世界から消えちゃうの。 ばか。なに言ってん・・・ 聞いて! なんとなく、わかるんだー。だんだんね、何かこう、薄くなって行くの・・・ ・・・。 先輩。わたし先輩のこと、大好き。 それから。先輩のこと大好きなわたしが大好き。 先輩といると、ドキドキしたりワクワクしたり。反対にすごく心配したり、悲しかったりすることもあるけど。けど、そういうの全部が「しあわせー」って感じなの。 わたし、先輩といるときが一番輝いてたと思うわ。本当よ。 ・・・。 消えたくない・・・。 わたし、怖いの。 ずっと先輩のそばにいたいのに!先輩のこと大好きなわたし・・・消えたくない! いやだよ。怖いよ。 助けて! 僕には、しかし、どうしていいのかわからずに、ただとまどうだけだった。 そして、自然に・・・彼女にキスをした。そっと。ふんわり包み込むような。突然のキスにびっくりした彼女。 ・・・? ふしぎ。先輩のキスって、まるで魔法みたい。 ・・・。 彼女は、僕の腕の中で、ようやく安堵のため息をついた。 (つづく) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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