マイルス・デイヴィスの1972年の作品で、ジャズ・ファンの間では「問題作」と言われる事も多い本作だが、僕なんかはファンクの名盤として
問題なく楽しんでいる。
真の天才にふさわしい柔軟な感性を持ったマイルス先生はロックやファンクにも理解を示し、ロック系のフェスティバルに出演したり、ロック色を取り入れた「Bitches Brew」「Jack Johnson」などの作品を発表したが、今度は
「オレ的ファンク・ミュージックを作ってやろう」と考えたマイルス先生が発表したのが本作。
マイルスのトランペットの他に、デイヴ・リーブマン&カルロス・ガーネットのサックス、ハービーハンコック、チックコリア、ジョンマクラフリン等が参加し、タブラやシタールなどの楽器も取り入れた本作だが、ここでの演奏はマイルスのトランペットはあまり全面に出ず、全ての音が
ドス黒い大きなひとつの塊となって、
得体の知れない何かがこちらに迫ってくるかのようだ。
混沌にまみれたポリリズムとあまりに高いそのテンションは聴いてて恐しくもあるが、それはここに記録された音楽が
真のオリジナルであり、今も充分に刺激的である事の証明でもある。
ポム・スフレのホームページでは
マイルス・デイヴィスのアルバムについて取り上げています。