ポムブログ~ポム・スフレの名曲大百科

2007/06/09(土)16:49

Marianne Faithfull 「Something Better」

"ミック・ジャガーの元恋人"であり、映画「あの胸にもう一度」の主演女優でもあるマリアンヌ・フェイスフルは、メタリカ、ベック、デーモン・アルバーンとの共演でも知られる現役シンガーである(今年61歳)。 ローリング・ストーンズのマネージャー、アンドリュー・ルーグ・オールダムに見初められた彼女は、'64年にジャガー/リチャーズによる「As Tears Go By」でデビュー。 清純派アイドルとして売り出された彼女だったが、翌年には早くも結婚。だが、その結婚生活も一年で破綻してしまう。 '67年頃からはミック・ジャガーとの関係が噂されるようになるが、それに伴って彼女の人生も狂っていき、'78年のカムバックまでは音楽活動を11年間停止していた。 復帰後の彼女は、ドラッグやアルコールで潰れたハスキーな声と凄まじい人生経験を武器に「大人の歌」を聴かせるシンガーとして活動を展開していく。 ミュージシャンとしての彼女のアルバムといったら、何と言っても'79年の「Broken English」がまず必聴作なのだが、60年代におけるアイドル・シンガーとしての清楚な歌声も捨てがたい。 そんなアイドル時代の一曲である「Something Better」は、アメリカン・ポップスの職人バリー・マンのペンによる美しいバラードで、バリー自身も自らのソロアルバム「Lay It All Out」でセルフ・カバーしている。 もの悲しくもリリカルなイントロからして耳を奪われるこの曲。 流れるようでいてどこか儚さを感じさせるメロディ、気品に溢れた演奏、頼りなげなマリアンヌの歌声が胸に迫る名曲に仕上がっており、聴いていると何とも切ない気持ちにさせられる。 今回紹介する映像(ここをクリック)は'68年の「Rock'n'Roll Circus」からのものであり、ミック・ジャガーとの間にできた赤ん坊を流産した直後のものである。 麗しいその姿とは裏腹に、彼女の歌声は不安定で目はうつろだ。 そこには後の人生を予感させる美しくも不吉なオーラが漂っている。 元々は修道女であったという、マリアンヌ・フェイスフル。 3回の結婚、ミックとの関係、出産、流産、自殺未遂、オトコとドラッグによる荒んだ生活…… そんな人生の果てに"心の安らぎ"を得た彼女みたいな人間を「人生の勝利者」というのかもしれない。 「私はとても強いのよ……みんなは私の事を犠牲者、生き残り者だとでも思ってるんでしょ」-----マリアンヌ・フェイスフル

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