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テーマ:洋楽(3281)
カテゴリ:70年代洋楽
ブルー・オイスター・カルト(以下BOC)は、その語源のひとつと言われるグループだ。 ウィリアム・バロウズが麻薬中毒者の究極状態を表現するために作った造語『ヘヴィ・メタル』を、BOCのマネージャーにして音楽ライターだったサンディ・パールマンが、彼らの音楽性を表現するために転用したというのだ。 なるほど。ジャケで使われる変形十字のシンボルマークや、ブラック・サバスを意識するように指示されたと言われる彼らのサウンドにはそんな言葉がしっくりくる。 一般的な意味でのBOCの代表作といったら、'76年のヒット曲「(Don't Fear)The Reaper」(全米12位)だろう。 メロディアスで美しいその作品は、メロディ・オタの自分としても捨てがたい一曲だ。 だが、BOCを語る際に、硬質でアンダーグラウンドな香りに満ちた初期の作品群を外すわけにはいかない。 特に、彼らの4枚目にして初期の集大成とも言えるライヴ・アルバム『On Your Feet Or On Your Knees』('75年)は、歴史に残る名盤と断言できる一枚だ。 「Born To Be Wild」は例のステッペン・ウルフの名曲で、そのアルバムの最後を飾るトラック。 この曲のカバーは数多く存在するが、ここで聴けるヴァージョンはその中でもトップ・クラスに位置すると思われる。 初期BOCの魅力が凝縮された名演だ。 冒頭でのMCからして、すでに狂っている 犬のような雄叫びをあげるこの声の主はパティ・スミス。 彼女は、バンド・メンバーのアラン・レイニアー(Key)と恋仲であり、この時はまだデビュー前だった。 「Blue Oyster Cult!」の叫びと共に、おなじみのリフが飛び出してくる。 鋭く切り込んでくるギター、縦横無尽なキーボード、重くはないが達者なリズム隊がスリリングに交差する。 ヴォーカルを中心とした前半部もいいが、なんと言っても聴き所は後半から展開される混沌としたインスト・パートだろう。 各楽器が渦を巻き、そのまま終盤へと向かっていく様はもはや狂気。 暴発するギターは、まるで悪魔にとりつかれているかのようだ。 同時に、知的さとクールネスをも感じさせる所がまたカッコいい。 文字通りカルトの匂いも漂わす本バージョンは、6分にも及ぶ演奏ながらまったくと言っていいほど長さを感じさせない、トリップ感満載の名演である。 『On Your Feet Or On Your Knees』は他にも、脳髄を刺激される名トラックがぎゅう詰め。 詳しくはここを参照されたし。 つーコトでBOC版「Born To Be Wild」を聴くにはここをクリック。 大音量で聴くのだ! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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