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あぁ、そうだったのか的備忘ログ

2007年03月03日
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カテゴリ:音楽

バッハの「ゴルトベルク変奏曲」といえば、まずグレン・グールドの録音が有名だが、それを凌ぐピアニストがいるという記事を読んだ。その名もセルゲイ・シェプキン

ロシア系のアメリカ人(生まれはサンクトペテルブルグ)で、1985年にサンクトペテルブルグ音楽院を主席で卒業した、というのだから、おそらく40代の年頃だろう。1990年にボストンに移住。1999年、ニューオリンズ国際ピアノ・コンクール第一位を皮切りに、数々のコンクールで受賞、なかでもバッハの演奏に定評がある。

昨夜行われたリサイタルに足を運んだ。プログラムは、バッハ「カプリッチョ 最愛の兄の旅立ちに寄せて 変ロ長調BWV992」、ソフィア・アスガトヴナ・グバイドゥーリナ(1931~)「シャコンヌ」(1962)、休憩を挟んで「ゴルトベルク変奏曲 BWV988」の3曲。

最初の曲は、バッハが兄ヨハン・ヤーコプ・バッハがスウェーデン王カール12世の軍楽隊に入るために旅立つ、そのはなむけに書かれたもの。「旅を引き留めようとする友人たちの優しい言葉」など、構成された6曲それぞれにテーマがある。シェプキンの演奏は、これがバッハか、と疑いたくなるほど叙情的だ。それぞれのテーマの場面が、演奏を通じて映像化されるように再現される。ここで、彼のショパンを聴いてみたいと思ってしまった。

2曲目はタタールで生まれモスクワ音楽院に学び、ショスタコーヴィチの薫陶を受けた女性作曲家の現代音楽。1968年から電子音楽に傾倒したというが、この「シャコンヌ」は、ちょうど学校を修了した頃のものだ。圧倒的な音階の怒濤が、シェプキンの運指で会場を埋め尽くした。強弱のメリハリが効いている。

そして「ゴルトベルク変奏曲」。拍手をもって迎えられたシェプキンが着席すると、会場は凍りついたような緊張感に包まれた。静かにアリアが始まる。

バロックの範疇を超え、ロマン派と思わせる演奏だった。まず確かな技巧に裏付けられた表現力。よくもあれほど指が動くものだと感心するくらいの早さで付ける装飾音は、過剰かとも思わせるほど。ペダルを多用するようで、音色はレガートが多い。昔は中村紘子はじめ掌を伸ばして鍵盤に置くスタイルが流行っていたが、それは過去の話なのだろうか。卵を持つように丸くした掌の先で指が鍵盤上を駆け抜けて行く。レガートのよくかかったスケールを上り下りするときなど、「音の洪水」に全身が包まれてしまう。弱いタッチのときは柔らかく、会場のせいか、曇った音色になる。かと思えば、強いタッチは切れ味よく、スタッカートも躍動的だ。

 もともと二段鍵盤のチェンバロで弾くためのこの曲、両手を交差させるなど、たいへんな技量を必要とするが、破綻のない演奏だった。バッハがこれを聞いたら、驚くだろう、が、人生を音楽に捧げた者同士、理解もするだろう。







最終更新日  2007年03月03日 13時16分57秒
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