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地酒屋「のぼる」初イベントとして、岐阜・中津川「三千櫻」蔵元および群馬・藤岡「巌」蔵元をお招きし、さらにゲスト解説者として日本酒評論家の松崎晴雄さんにお越しいただいて、14号酵母を深く知る会が催されました。
この二つの蔵とも14号酵母主力です。 ガバガバ飲みだす前に、松崎さんから酵母についての概略講義。 この日は数年前に結婚された奥様といらっしゃってました。 まずは9号酵母を元祖・香露(熊本)で試飲。 吟醸酒ではなく、特別純米なので香りは抑え気味ですが、一昔前「YK35」(山田錦を35%まで精米し、熊本(9号)酵母で醸す。)と称された新酒鑑評会入賞の方程式の片鱗をうかがわせるリンゴ様の立ち香。 なお、今は出品酒は18号酵母が主流。 次に、その18号酵母で造った越前岬・純米吟醸が提供される。 この酵母は、6,7、9号などと違い、特定の蔵が出身地ではなく、改良を重ねて生み出されたものだそう。 私のあまり得意としない、吟醸香プンプンの華やかな香り。 これが「カプロン酸エチル」香。 松崎さん曰く「F1カーのように一気にダッシュする華やかなパンチ」。 たくさんの出品酒の中で、目立つための方策がこのような形にとのこと。 したがって、何杯も飲めるようなタイプではないだろう、と。 同感。 「南国系の蜜を含んだ果実」との例えも。 さらには、熟成に向く酒ではないだろう、香りが変化し、味が重くなる傾向が多いとのコメント。 ちなみに16号酵母は香りが強すぎて消えたとのお話しだった。 次にいよいよ14号酵母で醸した酒。 三千櫻と巌が提供される。 この酵母は昭和の終わり頃、金沢の蔵が良く使っていたことから「金沢酵母」とも言われる。 18号とは打って変わって、メロン、梨、リンゴのような白いフルーツ系の爽やかでスタイリッシュな香りが鼻腔をくすぐる。 これが「酢酸イソアミル」と。 私好みです。 松崎さん曰く「白身魚や豆腐などにも合う、透明感のある酒質」。 「香りだけではない上品さがあり、第一印象のインパクトは弱いが量を飲めるタイプ。」 最近は使用する蔵が増えつつあるらしい。 ここで「巌・うすにごり」で乾杯! 甘く、爽やかな純米酒。 これ以降は、二つの蔵の中からお好きな銘柄をのことで、同じテーブルの日本酒ファン女性が「三千桜・純米吟醸・渡船・袋吊り」という高そうなお酒を所望。 まさに透明感のある綺麗なお酒です。 席に来られた蔵元兼杜氏の山田さんによると、渡船や強力といった酒米は、穂先に針がでるとのこと。 なぜなら、鳥に食われないように。 凄いですね、自然界の生命力は! 酒質はガッチリしたものになると。 なお、この日の私たちのテーブル4人の中での一番人気は、「愛山」米で仕込んだ三千桜。 渡船がシャキッとしているのに対して、こちらはなんとも「艶やかで色っぽい」旨味。 甘さの消え方が艶(なま)めかしい。 申すまでも無く、もともと剣菱が開発した専用米ですが、阪神大震災以降他の蔵の手にも入るようになったらしい。 あとから松崎さんにその辺の感想を申し上げると、 そもそも愛山は元々がもち米で甘いとのこと。 あと、京大卒の野球好き若手蔵元・高井さんが張り切る「巌」もスキッとしたシャープな切れ味が美味しかった。 「直汲み」はガス感が残る酸味がなんとも言えない。 こうして、酒造好適米による酒質の違いは、同じ蔵の同じ銘柄で飲み比べると良く分かる。 一方、今回の酵母にスポットを当てたイベントは、ただ漫然と飲み比べる試飲と違い、大いに勉強となり、理解を深めることができました。 主催された「のぼる」の山田さん、ウマイ酒をご提供いただいた蔵元さん、解説をしていただいた松崎さん、そして同じテーブルの同好の人たちにあらためて感謝申し上げます。 いろいろなイベントに参加させていただいてきましたが、今回の催しは出色だったように思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2013/04/20 07:47:11 PM
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