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カテゴリ:TRPG
あれは、そうですね…私がまだドラゴン・パスという
異郷の地に身を隠していた時期のことです。 私は故郷のとある大貴族から身を逃れるために旅をしていました。 え、大貴族の名前?勘弁してくださいよ。多分知らない人です。 貴方がカルマニアの人間でもない限りは…。 カルマニアをご存じないですか?良かったです。 知っていたら私への態度が変わるでしょうから。 話を戻しますけどドラゴン・パスは様々な部族の蛮族達が跋扈する土地です。 私たちのような魔導の使い手はあまりいませんでした。 私は、今でもそうですけど人形芸人の格好で本当の正体を隠していましたから 直接危険な目に遭う事は少なかったです。 芸人なんて無害な連中を襲っても良いことはありませんからね。 私の使い魔が人形の形をしていますから、変装するにはうってつけでした。 それでですね、蛮族さん達とは案外仲良く出来ました。 カルマニアにいた頃にはフマクトやオーランスを信仰している連中は 邪悪な魂に犯された愚か者だ…なんて教えられましたが 困っていれば助けてくれるような気の良い人達もいましたよ。 ウズ殺しのドナウダはフマクトを信仰する腕の良い戦士でした。 フマクト…戦と死の神です。オーランスの兄に当たります。 彼は、あんまりフマクティらしくありませんでした。 物凄いおしゃべりなんですね。 初恋の話、昨夜飲んだ酒の味の文句、私の人形芸の批評と 一日中喋っていましたよ。 ところが、ある山中で野宿していた時に見張りをしていたドナウダが 突然仮眠をとっていた私を無言で蹴ったんですね。 もうビックリです。目を覚ますと戦闘がはじまっていました。 ドナウダや、一緒に旅をしていたオーランスの女戦士とイェルマリオの傭兵が 襲い掛かってきた山賊相手に闘っている最中でした。 …私は戦うのは苦手なので、目立たないように隠れていました。 結局、私の友人達はとても強く、あっという間に山賊を撃退しました。 そして、私はドナウダに抗議しました。 蹴り起こさなくても警告の声を挙げれば目覚めるのに、と。 それを聞いてもドナウダは無言のまま髭を撫でているのみ。 仲間の2人は事情を知っているようでしたが、ニヤニヤして教えてくれません。 後で判った事ですが、フマクトの信者の中には神への誓いを立てて 一日中喋ってはいけない日がある者がいるらしいんですね。 土着の信仰は不思議な風習があるものですよね。結局ドナウダは1日話しませんでした。 もっとも、次の日には一日中彼の弁明を聞かされましたけど。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.07.18 20:55:34
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