遠山美都男「蘇我氏四代の冤罪を晴らす」
アンチテーゼ。私の知っている範囲では、「一般的な見方に対しての反対の見方」という意味で使われていると思います。実際は哲学用語だそうですが(苦笑)。歴史でも、を見てますと、いろいろな見方がありますが、いわゆる「定説」とでもいうべき見方があります。ですが、それが本当に正しいのか・・・。とここまで考えたわけではないですが、タイトルに興味を持ちまして、購入した本を今回ご紹介します。こちら↓です。遠山美都男著 「蘇我氏四代の冤罪を晴らす」 学研新書 刊内容は、こんなところです。<内容>古代の豪族である蘇我氏。「稲目」から「入鹿」までの四代について、いろいろな誤解と偏見がある。それを取り除き、実像を考察する。カバーに書いてあることをほぼそのまま書きました(苦笑)。どちらかと言いますと、私の感想を読んでいただいた方がわかるかと思いまして、わざと内容をそっけなくしました。では、感想ですが、まず「日本書紀」の記載者の文章の違いから考察した点がすごくよかったですね。歴史の考察は、どうしても資料に基づきがちです。その資料に後世の書き加えの有無があるのではないか。こういう発想が私にはなかったので、「目から鱗」でした(苦笑)。私個人が疑問に思っていた点↓も、この本で解消された部分があります。<疑問に思っていた点>「稲目」の子である「馬子」は推古天皇と協力して、政権運営をしていたはず。その子の「蝦夷」、その孫「入鹿」の代になって、なぜ天皇にとって代わろうとしたのか。あまり書くとネタばらしになりますから、詳しくはお読みいただきたいです(笑)。ただ、この本(というか著者)には、欠点があります。例えば、タイトルからもお分かりのとおり、この本は最初から「蘇我氏四代の冤罪を晴らす」のが目的です。そのため、どうしても蘇我氏の肩を持つ書き方になります。そのため、いささか無理な解釈もあるように思います。特に「入鹿」については。また、「大化の改心」の黒幕が、あの人というのはどうかと・・・。まあ、いろいろツッコミを入れたいところもありますが、この本自体、一般的な見方である「蘇我氏が天皇家にとって代わろうとした」に対してのアンチテーゼです。そりれが正しいかどうかはわかりませんが、知的に楽しめる作品だったと思います。皆さんも、読んでみてはいかがでしょうか?それでは、今日も元気よく「あれ」します。皆さん、よろしくご唱和をお願いします(笑)。お手を拝借!ぽぽんがぽん!