テーマ:DVD映画鑑賞(13576)
カテゴリ:映画とDVDの部屋
映画「愛を読むひと」をDVDで見て、なんともやり切れない思いが残りました。
秘密ある女性、ケイト・ウィンスレットと少年が知り合い、彼女の望みは、 彼にいろいろな本を朗読してもらう事、という妙な付き合いが始まる。 彼女は突然彼の前から姿を消し、数年後に偶然再会した彼女はナチ裁判の被告。 裁判を傍聴する中で、彼女が字を読む事も書くこともできない、と悟った彼。 それを証言しなかったため彼女は終身刑を受け、彼も沈黙したまま見過ごす。 大人になった彼は刑務所の彼女に朗読テープを届け、彼女は独学で文字を学ぶ。 しかし、彼女がやっと書いた手紙には返事を書いてやらない、中途半端な彼。 彼女が出所することになり、仕方なく身元引受人となる彼に絶望したのか、 出所を待たずに自ら命を絶ち、収容所の被害者にわずかな遺産をのこして逝った。 原作は「朗読者」というのに映画は「愛を読むひと」となっているのだけれど、 彼が本を読んだのは「愛」のゆえだったと単純に思えないほど、屈折した物語。 法律家として成功した彼にとって、ナチの戦犯との関わりなど知られたくない事。 まして若気の至りみたいな短い恋愛に、彼女の人生を引き受ける程の責任もない。 文字が読めない事を恥じて隠し、厳罰を受ける方を選んだ彼女の意志に便乗し、 裁判で真実を明らかにせず逃げて、ねじれた罪悪感に苦しみ続けた彼の弱さ。 完全に見捨てる事も出来ず、かといって救いもしない、中途半端な彼の人生。 途中まで、彼女は識字障害か何かで、ある程度は字がわかると思っていました。 でないと、収容所の看守や電車の車掌の仕事など、できないと思ったから。 ところが the っていうのも解らないほど文字を知らないとは、不自然じゃないの? と、変な所につっこみを入れたくなったのは、あまりに救いようのない物語だから。 彼女は罪なくして断罪されたけど、彼のような傍観者(ほとんど全員?)の罪は、 つぐなわれる事なく、どうしようもないままに放置されたままなのでしょう。 愛を読むひと<完全無修正版>(Blu-ray Disc) / ケイト・ウィンスレット お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010年04月11日 21時53分36秒
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