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今日も何かあたらしいこと

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2012年07月06日
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カテゴリ:本の部屋
ずっと本を読んではいたけれど、感想を書こうかという気にはなれなかった。

久しぶりに、これは面白い!という本に出会ったのが「十二単衣を着た悪魔」。

その悪魔は「源氏物語」の弘徽殿女御の事なのだが、気が強くて嫉妬深い、

父親の権威を笠に着た嫌な年増女、という彼女のイメージを見事覆してくれた。


なんといってもこの本は、荒唐無稽とも言える設定で、少しも堅苦しくない。

就活に失敗した冴えないフリーターが、源氏物語の世界にタイムスリップする。

現代の典型的な若者であろう彼の眼を通すため、物語が実に解りやすく親しめる。

この彼がまた都合のいい事に、源氏のあらすじ本を持っていて物語の先が読め、

薬も持っていて病気を治してしまい、陰陽師として重用され女御お抱えとなる。


悪役の代表のような弘徽殿女御が、実に聡明で意志のはっきりしたできる女、

物事の裏の裏を読み取り、本質を見抜く優れた女として、説得力を持って描かれる。

今に生きればちょうどヒラリー・クリントンみたいなんだろうな、と思った。

しかしヒラリー・クリントンと仲良く付き合えるかと聞かれたら、それは困るわけで。


色恋の話と思っていた源氏が、実は根深い政争、皇位継承権の物語であったり。

兄弟の優劣にまつわる葛藤や、誰にでもある劣等感は、現代と変る所がない。


失礼ながらそんなに期待せず、なにげなく手に取った本なのに引き込まれた。

あえて言うなら、「~のタイプ」と人物を断ずるのはあまり好きじゃないかな。

脚本家・内館牧子さんの作だけに、ドラマや映画になればきっと面白いと思います。






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Last updated  2012年07月07日 12時35分43秒
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