柳美里さんの「ファミリー・シークレット」を読んだ感想です
柳美里さんの新作「ファミリー・シークレット」を読みました。ベストセラー「命」で、東由多加さんの命を注がれるようにして生まれた、あの男の子が9歳となり、どんな少年時代をおくっているのかと思えば。子供は、ランの花を愛好し自分の髪を切る、不思議な小学生であるし、柳さんは子供との関わり方に悩み、親であることに苦しみ病んでいる。柳さんと同居している彼は二人の間に入ってつらいのか、自分を罰し痛める。大切な命を育み幸せなのかと思えば、不幸はまだ、彼女に取り付いて離れない。カウンセリングを受け、父親と再会し、新たな傷を作りながらこの本は書かれた。ちょうど「子供が御飯を食べるのが早い」と怒って虐待した親のニュースを見た。食べるのが遅いならともかく、早くて怒られるとは、子供はどうしたらいいのか。親の顔色をうかがい、かき込むようにして御飯を食べる子供を想像し痛ましい。しつけと言って虐待するのに理由は何でもいい、親がいくらでも見つけてくる。柳さんの問題はまだ手さぐり、未解決で、これから息子さんが成長するにつれ、残念なことに、新たな問題が姿をあらわしてくるのでは、と思う。今でも柳さんは、息子さんが抱えている問題に気が付いていないだけかもしれない。柳さんの子供時代の苦しみが、ご両親にはいまだにわからないのと同じように。ファミリー・シークレット価格:1,680円(税込、送料別)江角マキコ/豊川悦司/命価格:5,460円(税込、送料別)お母さん、「あなたのために」と言わないで価格:1,470円(税込、送料別)