誰にも止められない。
誰にも止められない。誰にも止める事はできないだろう。ベイスターズのFA選手のことではない。新日本石油ENEOSの田澤投手の事である。田澤投手は社会人野球最大の祭典である、都市対抗野球大会の優勝とMVPを土産に日本野球界ではなく、MLB球団への入団をする意向のようだ。田澤投手は昨年からの日本球界のドラフト上位候補。昨年はクローザーを努めていたが、先発完投をできる投手になりたい、そしてチームに貢献したいと、昨年のドラフト指名は拒否して、今年に賭けていた。その言葉どうりに春のスポニチ大会でチームを優勝に導き、自身もMVP。そして、夏の都市対抗でもチームを優勝に導き、またも自身はMVPとなった。この都市対抗ではまさに大車輪の働きを見せた。チーム全5試合先発、リリーフにと全て登板し、2完投勝利を含む4勝挙げた。今年のドラフトの目玉になっていた田澤投手がMLBを目指す。いまだかつて日本球界のドラフト上位候補がいきなりMLBに渡ったことはない。おそらくは日本球界が騒ぎ出すだろう。田澤投手に続いて、毎年のドラフト候補がMLBに渡るのを懸念するだろうからだ。だが、誰も止めることはできないだろう。今から日本球界のドラフト候補がMLBに渡るのを禁止したり、制限するルールはMLB側が作る事に同意しないと思うからだ。取り組むのが遅すぎたのである。かつて日本球界に日本人選手がMLBに移籍するルールはなかった。実力的にあり得ないと、日本もMLBも思っていたからである。だが、野茂投手がその概念を根底からひっくり返した。日本人でもMLBでやっていける可能性を自らがパイオニアとなって示したのだ。これに慌てたのが日本球界である。慌てて作ったのが、ポスティングシステムだ。これ以降は日本人が日本球界からMLBに移籍するのはFAかポスティングを使わなければ叶わないことになった。だが、新人選手に対するルールは作られなかった。誰もがそんな事をする選手などいないと思ったからだ。確かに世界レベルの力の勝負がMLBではできる。できるが、MLBは世界レベルの競争社会でもある。日本のように新人から一軍で活躍する環境などはMLBではめったにない。ルーキーリーグや1Aからの厳しい競争社会を必ず通る事になる。その競争社会を勝ち上がってメジャーに上がるのは並み大抵の事ではない。そんな冒険のような事を新人がするはずがないと誰もが思っていたからだ。一度日本球界を経た上でMLBに渡る、日本で実績を残してからMLBに渡る、誰もがそう思っていた。過去にも日本球界のドラフト上位候補がMLBに誘われた事はいくつかあった。代表的なのが現読売の上原投手の時であり、現横浜の寺原投手の時もそうだった。上原投手の時はMLBが盛んに誘いを掛けて、2者択一になった。その頃にはあったドラフト逆指名権を使って読売に入るか、MLBの当時アナハイム・エンジェルスに入るかになったのである。その時上原投手は読売入りを選んだ。MLBへの思いは強かった上原投手だが、やはり言葉や環境の違いに踏み出せなかった。寺原投手の時は、ロス‐アンジェルス・ドジャースが誘いを掛けたが、やはり年齢や環境の違いを考えてMLBには渡らなかった。ルールを作るとしたなら、この時だったのだ。あり得ないと思われていた日本人選手のMLB入りが現実化していたのだから、新人選手が直接MLBに渡る可能性が万が一でもあると考え、それに備えてルール作りをして置くべきだったのだ。だが、だれもそんな無謀な冒険はしないと高を括っていたのが、いけなかったのだ。今回の田澤投手の事で騒いでからでは遅すぎるのである。確かに田澤投手のMLB入りは大冒険である。過去に日本球界を経ずにMLB入りして成功といえる成功をした選手はいない。メジャーに上がれたのはマック鈴木投手と現北海度日本ハムの多田野投手くらいである。この2人もメジャーで成功といえる成功はしていない。皆、日本球界に戻ってきているのだ。現西武のG,G佐藤選手もそういった経歴だ。また日本球界で活躍した後にMLB入りした選手でも、メジャーで活躍する事は難しい。昨年MLBに渡った選手は多かったが、皆が活躍しているとはいえない。東北楽天から移籍した福盛投手はすでに戦力外。鳴り物入りで移籍した福留選手、黒田投手ですら成績が上がらずに苦しんでいる。実績のある選手たちでさえこうなのだ。だから誰もがいきなりMLBに渡る事は想定外だったのだ。しかし、今現在ルールがない以上は田澤投手の意思を止める事はできない。そして、MLBはある意味紳士協定のようなルール作りには同意しないだろう。田澤投手が数年のうちにメジャーで投げることになったら、そして活躍するような事になったら、それに続く新人選手たちが必ず出てくるだろう。もはや誰にも止められないのだ。万事が後手に回る日本球界の悪しき体質のせいだから仕方がない。だからといってMLBを悪者扱いしたり、田澤投手を非難することは誰もしてはならない。野茂投手の時のように、散々悪者扱いにして、叩きまくった挙句に活躍するや、手のひらを返して英雄扱いをした、見るに耐えない愚は一度だけでいい。また、MLB入りを妨害するようなドラフト指名をどこの球団にもして欲しくない。必ず拒否されるのは分かっているからだ。そのために正式に記者会見をしようと言うのだから本気度は100%だ。それに対して姑息な手段をとって欲しくない。見苦しいマネはどこにもして欲しくないのだ。大冒険をしようとする田澤投手を見守るくらいの度量があっていい。日本球界が待っているくらいの懐の深さを見せて欲しいものだ。またぞろ騒ぐであろう某新聞社の老害人の言う事など無視すればいいのだ。野球界についてあの老害人が何を言おうと記事にする事はもう止めることだ。私は同じ神奈川の、横浜出身の選手としても、いち野球ファンとしても、田澤投手の今回の決断をもちろん支持する。私は正直、田澤投手の即MLB入りの成功には懐疑的である。だがその一方で、できることならメジャーで活躍する姿を見せて欲しいと思っている。あの小気味いいピッチングをメジャーでも見せて欲しいと思っている。田澤投手が賭けた可能性への挑戦を応援する。You can do it !!にほんブログ村ご覧になった方、ひと手間のワンクリックをお願いします。m(_ _)m2008年、リスタートの小雪さんです。アフィリエイトでのんびり生活@小雪の在宅ワーク2008