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東方見雲録

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2024.10.04
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カテゴリ:建築

住友林業が2018年に発表したW350のイメージ図。W350は、創業350周年あたる2041年に高さ350m・70階の木造超高層建築物を実現するための研究技術開発構想(画像提供:日建設計・住友林業)

磯田:木には生長する過程で光合成によりCO2を吸収する働きがあり、空気中のCO2を炭素として固定します。カーボンニュートラルへの目標を立てるときに森林のCO2吸収量をきちんと数値化して扱えるようになってきたことでCO2削減量などの目標を立てやすくなりました。

伐採後に加工し、建築部材として使っている間も木材は炭素を固定し続けます。その固定し続けている量を算出できるようにもなりました。さらに森林を伐採した後は、再植林をすることで木の循環が生まれます。森林から伐採した木材を使って建築物として長く使う。

植えて、育てて、伐って使って、また植える。そうしたサイクルが大事であるとの認識が少しずつ広まり、木造が再注目されているのです。再植林することで木々は生長過程でCO2を吸収し続け、温室効果ガス削減の一翼を担うのです。


住友林業は愛媛県新居浜市が発祥地。そのため、四国に約1.5万ヘクタールの社有林がある(写真提供:住友林業)
© Impress Watch

磯田:大規模木造・高層木造を想定していなかった耐火基準、大きな地震を経験するたびに強化されてきた耐震基準は、木造には大変ハードルが高かったのですが、少しずつ規制が緩和されている部分はあります。特にほかの構造に比べて木造が不利となっていた防耐火の基準は、木造の火災への安全性に関する研究が進むにつれて緩和されています。

例えば、これまで階数でいうと4階建てまでは1時間、14階建てまでは2時間、15階建て以上で3時間耐火の性能が必要でしたが、1.5時間、2.5時間と30分単位で細かく区分することで、9階建てまでは1.5時間、19階建てまでは2.5時間耐火でも建てられるようになりました。

海外では火災安全上、木造建築の高さを制限している国がありますが、日本では木造だからという理由だけで建物の高さや用途を制限する規制はありません。木造だから、ここまでの高さしか建てられませんという縛りはないのです。

ただ、木造では高層化するときに求められる2時間耐火、3時間耐火といった耐火基準を満たすことが難しいのです。そこで、1.5時間や2.5時間耐火で建てられる範囲ができたことは、木造建築で9階建てや19階建ての建物を建てやすくなるので、事実上、規制緩和と言えると思います。

――法律的には木造で高さ制限がないということでした。ということは、理論上は木造で日本一高いビルを建てることも可能なのですか?

磯田:住友林業は、2018年に「W350計画」という研究・技術開発構想を対外発表しています。木造の350mのビルを含め都市を木造化・木質化することを目指し、研究、技術開発しようというコンセプトです。

「W350計画」を実現するには建築技術の開発も重要になりますが、強度の高い木材が大量に必要になります。つまり、建築技術の向上だけではなく、木材にも改良や工夫が必要ですし、製材・加工の技術向上も欠かせません。さらには、強度の高い丸太になる樹木の開発も必要です。

「W350計画」を発表した時点で、高さ350mの木造ビルを建てることは技術的に不可能ではありませんでした。ただし日本には3時間耐火という厳しい基準があります。「W350計画」を発表した当時、それをクリアできる部材を住友林業も含めてどこの会社も持っていなかったので実現可能性に疑問が残っていましたが、耐震性能等の技術シミュレーションの結果は建設可能でした。

現在、住友林業も含め数社が3時間耐火の基準を満たした部材開発に成功し、理論上350mの建物を建築することは可能です。

実際に「W350計画」で350mの建物を建てるとすると、戸建住宅8,000棟分の木材が必要です。建築部材を一挙に集めること、それらを保管する倉庫や人材の確保も必要です。

本計画は2041年に350mの木造ビルを実際に建てるという事業化計画ではなく、建てられる技術を確立するという研究・技術開発構想です。シンボリックな超高層を建て、木造建築の高さを追い求めるのではなく、現在、5階建てや6階建てが一般的になるような木造技術の開発に取り組んでいます。
引用サイト:こちら

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Last updated  2024.10.04 19:42:48
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