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長野の古民家再生(MNeL:南長野電子研究室)。電気、水、燃料を買わず文化的生活が営める環境を構築

長野の古民家再生(MNeL:南長野電子研究室)。電気、水、燃料を買わず文化的生活が営める環境を構築

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2024年06月21日
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テーマ:古民家再生(78)
カテゴリ:長野の古民家
新しいコンピュータに慣れず進捗が遅いのですが、このページは少しずつ更新します。

太陽光パネルを用いたバッテリ充電用DC/DCコンバータの開発 [MNeL(南長野電子研究室)]
2024/6/21(初版)
(2024/6/22:1改変、コンバータ写真追加、誤字修正)
(2024/6/24:2 改変、写真追加)
(2024/6/28:3 改変、図 MNeL方式の欠点まで追加、説明文追記)
(2024/6/29 改変、Power MOS FET を高速でスイッチングする手法、説明文追記)
(2024/7/1 遮断機とバッテリの項目を追加)
(2024/7/5 変圧器と出力回路の図追加、同時に説明文追記、・自分と技術についてを追記)
(2024/7/8 Power MOS FET ドライブ回路を追記)
(2024/7/30 基板部全体回路をアップ。同時に簡単な説明記事を追記)
​​​​​​​(2024/8/16 トロイダルコア活用百科に対する変圧器の補完内容を追記)​​
​​(2024/8/18 結合度の項目追加。その他誤字脱字修正)​​
(2024/8/24 太陽光パネルの出力電力と変換の図を追加)
​​​​(2024/8/25 変圧器会社に変圧器製作を頼む場合を追加)​
(2024/8/30 全体の文書を見直し添削)​​ ​
(2024/9/8 変圧器の部分を 変圧器技術 詳細発表 に移動)



​​NMeL方式コンバータはここ
https://plaza.rakuten.co.jp/powercycle/diary/202406210000/
変圧器はここ
https://plaza.rakuten.co.jp/powercycle/diary/202409060000/


​・高効率太陽光パネル充電用DC/DCコンバータの開発​
MNeL(南長野電子研究室) 研究室長  南條 洋一​
​​​
​​

​​​概要​​​

 太陽光パネルを用いた一般家庭用充電用フォワード形コンバータを開発した。
コンバータの電力変換効率は95%を超え、使用する部材は低価格かつ数が少ない素子類で制作できるよう工夫した。開発した出力回路は他で見いだすことができないため「MNeL方式」と命名した
(PP型整合フォワードコンバータ方式)。


​​要約​​​

 太陽光パネルの電力でバッテリを充電するには、小電力領域から大電力領域において効率高く昇圧する必要がある。

 小電力領域を優先すると大電力領域では効率が低下し装置が破壊される。大電力領域を優先すると小電力領域の効率が低く充電がうまくいかない。このように
どちらかを優先すると装置がうまく動作しない。
 太陽光パネルの電圧変動を吸収し電力を取り出すには、公渉電圧より低い領域で電力変換する必要があり、私が所持する太陽光パネルの公称電圧は29.7V。この時の出力電力は 0W である。そこで低い電圧時から大電力時において高効率で変換するコンバータ回路を開発した。これを「MNeL 方式コンバータ」呼び、当ブログで解説する。


 ここで製作したコンバータの稼働開始電圧は 15V から開始し、太陽光の出力が大きくなるにつれ入力電圧を 15V から 20V まで変動するよう設定した。この電圧変動幅は太陽光パネルの出力特性や枚数に依る。開発した MNeL方式コンバータ回路は、他に同回路を見出すことができないため、MNeL方式と命名した。

 開発した回路は GNU 扱い

これにより誰でも利権を意識せず制作でき、同時に特許も取得しないこととする(2024/6/11)。







​​​1. MNeL式は真空管アンプと整合変圧器​​

 MNeL方式の回路を図1に示す。

 高効率コンバータの出力回路は、真空管プッシュプル(以後PP)アンプと単巻整合変圧器を併せたものである(図1 右下)。通常の真空管アンプは複巻変圧器を用いるが(図1 右上)、複巻変圧器の伝送効率は高くない。同時にPPアンプは単巻整合変圧器を使用しないが(図1 上の左)、MNeL式では単巻整合トランスをPP応用させ効率を高めた。この出力回路を「MNeL方式」(図1 右下) と命名した。

​​​​​​​


​​​1.1. なぜ高効率なのか​​​

​ 通常のコンバータ回路を図1左下側に示す。
 この回路では変圧器の磁束を片側にしか偏磁させないため、出力電力効率は磁気粘性に支配される。結果偏磁をリセットできない分だけエネルギーを失う(図2)。
MNeL式では整合変圧器を P-P 回路とし(図1右側、図3)、変圧器の偏磁を両極とすることで損失を極限まで低減する。




​​​​他に H ブリッジやフライバックもあるがMNeL式の効率には遠く及ばないため、ここでは説明しない。

​​​​​1.2. MNeL式コンバータの利点と欠点​​​​​

 MNeL式の利点について説明する。

​​①MNeL式コンバータにはスナバ回路がない​​

 通常のコンバータに使用される Power MOS FET のドレイン (図中Dの電圧) にはサージ電圧で破壊されたり誤点弧することがあるため、必ずスナバ回路を挿入する。サージはフェライトを使った変圧器で顕著となり、原因は鉄芯の磁性暴れによるものである(図中 フェライトの時参照)。MNeL方式コンバータはサージ対策をしたくないので、鉄芯にアモルファス系や方向性鋼板を用いてサージ対策をしなくても電力変換できるようにした。



​​​②Power MOS FET のプッシュプル (以降 P-P ) 接続の利点​​​

 出力トランスは P-P 接続で、電圧降下はダイオード1段分と損失は最低限となる。
通常の交流を直流にするはブリッジダイオードを使用する。ブリッジはダイオードを2個経由するため電圧降下はダイオード2個分となる。ところが MNeL式 の場合電圧降下はダイオード1個分である。よって
整流ダイオードの電圧降下が小さくなり、MNeL式では整流での損失が少なくなる。



​③整合変圧器なので磁気結合 K が高い​

 変圧器の結合度を上げる手法は三つある。
ひとつは鉄芯の磁束密度 B (T) が高いものを使うことと、もうひとつはスイッチング周波数を高くする。そして巻線を共有する整合変圧器とする三つである。
どれもコイルの巻き数が少なくなりインダクタンス成分が下がる(インダクタンス値は交流抵抗値なので少ない方が高効率)。
コイルの巻き数が少なくなると、結合度 K の高い変圧器を作れる。





​​④変圧器の鉄芯はファインメット(フェライトは使い物にならない)​

​​​ 変圧器に使用した鉄芯はファイメットで、磁束密度 B は 1.2T となる 。
結果 B 値 1.2T での上限周波数は 50kHz 程度と高く、ここでは 4kHz と低くした。
ファインメットの場合、磁束偏位速度がフェライトより遅く、高周波ノイズがない利点がある。
鉄芯にフェライトを用いた場合磁束密度 B は僅か 0.3T 程度となり、コイル巻き数が4倍多くなる。さらに大型のフェライトは高価で導入は難しい。次に損失を低減するため Power MOS FET を高速スイッチングさせる。もし変圧器をフェライトで構成すると、高周波ノイスが変圧器で発生する。
私は余計なトラブルを抱えたくないので、最初から鉄系の鉄芯を用いた方が安く効率の高い装置にすることができることを書き添えておく。(変圧器の製作詳細は項3 参照



​​
​⑤結合度を上げるコイル電圧​
 変圧器の結合度を上げる要因に、コイル電圧がある。
 コイルの巻き数は電圧に比例するため、30V の変圧器を作るには 30V 用のコイルを用意する必要がある。ところが MNeL方式の場合コイルの電圧は 15V である。これは MNeL方式で 30V を得るには 15V 分嵩上げすれば良いためである。
コイルの巻き数はてインダクタンスなので、これを1/4 まで減少させることで結合度を上げる。


​⑥ 整合変圧器として結合度を上げる​
 MNeL方式の変圧器は一次コイルと二次コイルが共有される。
変圧器の結合度は複巻変圧器より単巻変圧器の結合度が高い。

​⑦ 5極菅 AB Class AMP 回路の高効率​

 使用する Power MOS FET は 5極菅特性を持つ。
大抵の Power MOS FET を使用でき、私が使用した Pwer MOS FET は東芝デバイス & ストレージ社の TK100E06N1 でありスレッショルド電圧は 4V である。
​​
秋月で 130円/個 で販売され、これを 3パラ の合計 6 個とし損失を極力低減した。






​​

​⑧ Power MOS FET の耐圧は理論的に2倍​​

​​ 変圧器の結合度 K を高めたため、出力段の Power MOS FET 耐圧は理論的に入力電圧の 2倍あれば良い。
 太陽光パネルからの最大電圧は 30V なので、今回は倍の 60V の Power MOS FET を使用した。耐圧が低い Power MOS FET は On 抵抗値が小さく低価格である。これを用いて高効率かつ低価格なコンバータを作れる。





​​⑨ スイッチング周波数
 スイッチング周波数を低くすると、Power MOS FET と出力ダイオードのスイッチング損失低減できるが、これは変圧器とバータとなる。
 ​​半導体としてはスイッチング周波数はできる限り低く損失を低減したい。ところが変圧器の小型高効率化は高周波数で実現される。よって、どこの素子の損失を下げるかで周波数を決定する。ここではできる限り低価格な半導体を導入できるよう、周波数は低く運用したいと考えているが、同時に変圧器も小さくしたい。このバランスが難しい。
ここでのスイッチング周波数は、10kHz 以下を目標とした。

​​⑩ NMeL式の欠点​​

​ 通常のコンバータに使用している Powerr MOS FET は1個だが、MNeL式ではPPなので最低 2個 必要とし、同時に出力ダイオードも2個必要となる。
ただスナバ回路を必要とせず、効率が高くなるため利点と考える。​



​​​1.3. 変圧器は様々な磁性体を使用可能​​​

 MNeL式に使用する変圧器は、様々なものが使える。
 これは電磁鋼板の磁束密度 B (T) が高く損失が小さいものを使用すれば高効率となり、一般的に販売されている変圧器を使えば商用周波数以下も可能である。

今回使用した磁性体は鉄を基材としたプロテリアル社のファインメットで、採用理由は誰でも確実に製作できるようにするため。もし 10kHz 以下でスイッチングするなら方向性電磁鋼板も良い選択肢である。アモルファス系も理想的な特性を持つ。
下図におおよその値を記述する。



・フェライトは、磁束密度が低いので鉄芯が大型化する
 フェライトは磁束密度 B が低いのでコイルが大型化する。また高周波数帯域でスイッチングするため高周波ノイズが発生し対策が難しい。私はフェライトが嫌いである。

・アモルファス系はフェライトより 5 倍ほど磁束密度が高い
 アモルファス系の損失が小さい領域の周波数は 50kHz 以下をお勧めする。
ファンメットはアモルファスより損失が 1/5 程小さく低周波から高周波まで対応するが、それでも 50kHz 以下をお勧めする。


・無方向性鋼板は新日鐵が販売

 方向性鋼板を購入できるかは分からないが、20kHz 以下なら低価格で良い選択だと考える。この場合鉄損を鑑みて、0.5T 程度までなら使えるかもしれない。計算していないので、いい加減なことかもしれないが、いずれ計算を済ませて追記するかもしれない。

・鉄芯は​日本カットコアトランス株式会社​に製作依頼した。
 個人が欲しい鉄芯は日本カットコアトランス株式会社に頼むと良い。

 私は形状 CS-20 で鉄芯をファンメット。カットしない形状で粉体塗装仕上げ、とした。

http://www.nihon-cutcore.co.jp/m&m_inf.htm

発注すると制作した鉄芯を送ってくれ、同封されている請求書に従って入金のこと。
当初は城山産業の標準 EI コア部材で行う予定で進めたが、個人発注には対応してくれませんでした。

・フェライト(酸化鉄)は磁性暴れのため扱いが面倒

​​ よってフェライトは基本的にお勧めしない。
 フェライトをお勧めしない理由はたくさんありますが、大きな要因三つとして、
 1.磁束密度 B が低いので、コイルが大型化する。
 コイルが大きいので直流抵抗値が大く、銅損を減らせない。
 2.高周波ノイズを消せない。
 3.スナバ回路が必要となる。
である。



結果
 鉄素材が持つ高磁性かつ低周波特性を生かし、
ノイズが少なく効率の高いコンバータを作れる。
写真は出力側の美しいサイン波を示す。



​​

​​​1.4. 変圧器のコイル電線は産業用強化電線​​​​​​

 変圧器のコイル電線は、産業用強化電線を用いる。
 普通の変圧器のコイルは、電磁ワイヤーをボビンに巻き絶縁紙で覆う。
できあがったコイルにワニスに含浸させ焼きを入れて完成させる。一般的にはこの方法は行えない。
ここでは、個々人が作るものとして別の作り方を
説明する。



​​・コイルの電線に産業用強化電線(MLFC電線)
 通常電磁ワイヤーでコイルを製作すると、sq(1平方mm)あたりの電流は 3A 程度。
一方、変圧器に産業用強化電線 MLFC 1.25sq では 15A 程度の大電流を流せる。ファンで冷却すれば、更に大きな 30A 程度を流すことも可能。
MLFC はここ(https://www.proterial.com/products/electrical_wire/mlfc.html)


・コイル電線は MLFC電線をツイスト
 変圧器のコイルをツイストすることなど絶対にない。
 MNeL方式の変圧器は、MLFC 電線をツイストして巻く。これは単純にコイル同士の磁気結合度を高めるためで、通常製作する変圧器の何倍もの結合度の変圧器となる。これができるのは、MLFC 電線の耐圧が 600V であるためで、コイル同士の電位差は問題にならない。これが通常の電磁ワイヤーを用いると、電線間の耐圧による絶縁破壊が起き、変圧器が壊れる可能性がある。



​​​1.5. Power MOS FET を高速でスイッチング​​

​ Power MOS FET を高速で On-Off し損失を減らす。

 高速でスイッチングすると半導体素子での損失が少なくなるため、本来は可能な限り高速で運用する方が良い。​しかし高速スイッチングするとサージ電圧などの弊害があり、通常は敢えてスイッチング速度を落として使用することを推奨しているが、その分半導体のスイッチング損失は増える。これについての解決方法について説明する。



​・高速スイッチングすると、サージやハンチングなどの問題が発生​

 高速スイッチングすると、ドレインのインダクタンス成分によりサージや誤点弧する可能性が高まる。サージにより誤点弧するとコンバータ自体の効率が下がり、場合によっては装置が焼損することがある。これを避けるため、メーカーは Power MOS FET のゲートに抵抗器を入れスイッチング速度を下げるように勧めている。
ゲートに抵抗器を入れると Power MOS FET のスイッチイング速度が落ち損失が増える。よってスイッチング速度は、ドレインに接続されている負荷の特性に左右される。

 MNeL式ではゲート抵抗器をできる限り小さくし高速スイッチングした。

これは変圧器の偏磁速度が緩やかなのでできる技で、高速でスイッチングしても Power MOS FET のドレインにサージが発生しないため、高速スイッチングできるのだ。

よって MNeL式 では変圧器の鉄芯に鉄系アモルファス系素材を使うことで高速でスイッチングし、低損失と高速スイッチング速度を両立した

・Power MOS FET の使用方法やマニュアルは、

 RHOM
 東芝デバイス&ストレージ
​​​その他にはサンケン電子や三菱電機などもあり、必ず一読のこと。

​・今回の高速スイッチング回路と工夫​

​​ Power MOS FET を高速スイッチングする回路について説明する。
ここの項目は、FET ドライバーIC を使用するなら意識する必要はない。

 1.Off から On は TL494 の出力をそのまま使用
 下手なディスクリートで組んだ回路より高速で立ち上がる信号を確認した。
TL494 の出力最大電流は 500mA と大きく、Power MOS FET のゲート電圧は短時間に立ち上げる能力を有している。
元々はバイポーラトランジスタをドライブするための出力で工夫が必要だが、TL494 は Power MOS FET を On するには十分な出力電流がある。

 2. On から Off はゲートの電荷を PNP トランジスタで引き抜く
 Power MOS FET を On - Off にするための機能が TL494 にはないので回路で追加する。ここでは、 PNP トランジスタを用いた。ただし、パイポーラトランジスタのため 0.6V を下回ると引き抜けなくなる。



​​​​​​​​​​​ 3. Power MOS FET のゲート電圧を 10V として発振しないようにする
 これは TL494 の NPN トランジスタの入力電圧を 10V とし、パラレル接続した FET の発振を抑制する。単に TK494 の電源電圧を 10V とすることで、出力電圧が 10V となる。

 4.誤点弧しないよう Off時 はゲートを MOS FET で押さえつける
 Power MOS FET が Off の時は、ドレインの急速な電圧変化が発生しても Off を維持する必要があ、Off を維持できず誤点弧すると短絡状態となり装置を壊す可能性がある。
 回路的は図中 Q3 が On になる前に、Q3  On 信号を用いて Q4 のゲートを Q2 で Gnd に押さえつける。Q4 が On になる場合はその逆で、Q4 On 信号を用いて Q1 で Q3 のゲートを押さえつける。
Q1 と Q2 のゲート電圧は抵抗器で 5V に落として使用しているが、これはQ1と Q2 のゲートに 10V を入力し破壊されたため電圧を下げたものである。




​​​​​
ここで Power MOS FET の実際のゲート電圧を示す。

​​
​​ On : Power ​​MOS FET​​ ​のゲート電圧は急激に上昇し、高速 On される。
​​​​​​ Off : ​ゲートの電荷が引き抜かれ、放電される。​​​
​   4V ​付近で一度停止しているのは、Power​​ MOS FET が On-Off になる瞬間ドレイン電圧上昇があり、ゲートがその影響を受けているため。
 Off維持 :  小さなサグが出ているのは、反対側の Power MOS  FET が On となりドレイン電圧が上昇しその影響を受け誤点弧する方向でゲート電圧が上がっているため。
   このとき MOS FET で
Gnd に押さえつけるため電圧は 0V に落ちているが、少し電圧が上昇していることがわかる。

 結果、
  1. MOS FET で誤点弧しないよう押さえつけていることを確認
  2. Power MOS FET のドライブ電流は、十分な値を確保


 項1-4 の回路は、FET ドライバ IC を用いている場合は不必要となる。
これは IC に機能が入っているためで、ここでは IC を用いずに高速な On-Off を実現するためのドライブ回路を示した。


​​1.6. 機械式遮断機による保護機能の追加​​
 今回の装置では説明していないが、装置には機械式遮断器を搭載し万が一の時に回路を遮断できるようにした。
会社は日本サーモ社のフロント配線形サーキットプロテクタ FT50G とし、遮断カーブは 105 である。これは過電流時は間髪入れず遮断する。使用する配線用電線が過電流時に焼損しない時間内に遮断できるよう計算した上で遮断電流値を決定することで安全が担保される。よって、DIY センタなどで販売されている一般家庭用遮断器は使用できない。
サイトは ​ここ​ を参照のこと。
購入方法は、連絡した上で指示に従うこと。(個人販売してくれるはず)
私の場合は、直接、連絡して購入させていただいています。
また他社の遮断器は使ったことがないので、判断できません。

1.7. バッテリについて

今回使用するバッテリは、一般家庭用のリン酸鉄リチウムバッテリで、公称電圧は 24V / 100Ah で電力は 2.4kWh となる。​
バッテリはフル充電フル放電を繰り返すと寿命が短くなる。よって充電コンバータからの出力電圧上限を 28V 程度にすると良い。
​家庭内にバッテリを敷設することは避け屋外に設置することで、万が一の場合でも被害が建屋に及ばないようにすることも重要です。

​​​1.8 太陽光パネルについて​​​
 私が所持している太陽光パネルは29V-7A で、公称電力 200W である。しかし、実際の出力はパネルを太陽に90度で受けるようにしていないため、50% 程度の出力となる。​

理由は、現在多くの電力を必要としていないため太陽光パネルの寿命を伸ばすことを前提としているため。今後長いスパンで電力を得るようにするためには、大電力を確保するより細く長いスパンで考えるべきだと思う。
電圧が低い状態でパラレル接続すると大きな電流を得ることができ、これを効率よく変換できる方が都合が良い。直列接続して電圧を上げると、感電などで事故が発生すると命に関わるため電圧は 30V 以下で勝負することは必須と考える。

​1.9. 結果​​
​​
​ 太陽光パネルのように時間帯や天候によって電力が大きく変動する。
開発した充電用コンバータは KiCAD で基板を開発し、その全体回路を掲載する。
この回路は未修正版のバグあり回路であるため注意のこと(修正版を下に掲載)。
変更修正しなければならない部分は、
  1. Power MOS FET のドライブ部分
  2. Sin波インバータ回路部は非搭載
である。

この回路は、基板を作成するために描いたもので、内部の論理回路としては未決な部分がある。これは 基板作成 CAD なる特性上、間近いない回路を作る上では便利だが、回路としては間違えているわけである。ただし、基板作成上問題はない。

 下図にコンバータ全体の回路を示す。
この回路は完成された内容を示し、入力電圧 15〜30V の太陽光パネルをバッテリ充電するためのものである。
効率は非常に高く、この論理回路により低電力から大電力で安定動作する。




・装置として完成させるために使用する電線は MLFC
 基板の作り方はわかったが、装置とするには、各装置を電線で接続することとなる。
これら電線には MLFC を使用すること。
装置を接続している電線で、黒いものは MLFC で赤い電線は KIF 電線。どちらも産業用強化電線である。
KIF 電線を必要とするのは、回路を接続している時、+ 側電線を赤、- 側の電線を黒としたいためである。




・コンバー装置全体の接続ブロック図を下に示す。
 コンバータなどの電流が大きいので、電線との接続方法は圧着端子などを使用し大きな電流に耐えられるような接続方法とすること。
 電流が小さく圧着端子接続ができない VVF 電線など動線が撚っていない単線は使用しない方が良い。
産業用強化電線は 1.25sq の電線で 25〜30A 程度が目安で、これはVVF 電線より1.5倍以上と大きく燃焼規格も厳しい規格をクリアしているため安全です。



​​​2. MNeL 方式について​​​

 MNeL 方式のコンバータについて説明します。
この内容は、https://plaza.rakuten.co.jp/powercycle/diary/202406210000/
に詳細説明していますので、ここでは割愛します。




​​​2.1. 既存のコンバータ回路の確認​​​
 MNeL コンバータに入る前に、既存のコンバータ回路について簡単に説明します。

1.フォワードコンバータ回路について​
 フォワードコンバータは最も一般的に使用されるもので、ある程度の電力を扱えます。
変圧器は一次コイルと二次コイルに分かれていることと、フリーホイールダイオード(FHD)とインダクタ(L)を別に用意する必要があります。
インダクタとフリーホイールダイオードはフォワードコンバータ電源の効率を上げるため必須ですが、これはシリーズ入っているため抵抗器でもあり、よって大電流時は損失となり電力効率をスポイルします。
変圧器は一次コイルと二次コイルに分かれ、変圧器の結合度 K 以上の効率にはできず、変換効率は高くて 98%  程度ではないでしょうか。
保護回路としては、Power MOS FET の保護としてドレイン側に抵抗器(SR)とコンデンサ(SC)、そしてファストダイオード(FD)を追加します。これは、フォワードコンバータの動作上 Power MOS FET が On の時に電力を二次コイルに伝送しますが、Off に転移した時一次コイルの跳ね返りで Power MOS FET を壊さないめの保護です。この跳ね返りは一次コイルと二次コイルの結合度が 1 より低いためOff 転移時の電力が二次コイルに完全移行せず、一次コイルの電圧が高くなるためです。
本来ならこの跳ね返りも電力であるため、結合度 K を高くして二次コイルに電力として送り出したいところですが、一次コイルの電圧が必ずしも二次コイルの電圧に使えるかはわかりませんので簡単に解決できない事情があるのです。効率より安定動作させるためには、仕方ない部分です。

​​​2.2. フライバックコンバータ回路について​​​


​​3.0. 屋内に敷設する電線は MLFC​​
​​
 家庭用に 24V を敷設する電線には MLFC 電線を用い、VVF 電線を使用しない。
計算した上で使用する分にはいいが VVF 電線は燃えることと流せる電流値が MLFC とは比べものにならないほど小さい。さらに圧着端子での接続ができないため電流目測が立てにくいためである。
 VVF 1.6 (2sq) 電線の流せる許容電流はたった 18A ですが、MLFC 2.0sq は 41A と2倍を超える。これを一般家庭用差し込み端子に流すのは無理があり、電線がどれだけ電流を流して燃えるかを指し示している訳で、この電流値が小さいほど危険であることを意味する。
たとえぱ負荷が短絡事故を起こした場合、VVF 電線ではひとたまりもなく溶けてしまうが、MLFC は最大で使用している時に短絡があった場合 1秒 以内で遮断できるなら10倍程度の電流まで耐える。このように安い VVF電線 は簡単に入手可能だが、安全を考え産業用強化電線の導入を検討すること。


以上、 「MNeL式」 の説明を終える。



​​4. なぜ、MNeL式コンバータを必要としたのか​​​

 自己紹介を兼ね、なぜ MNeL式コンバータを開発したのかを説明する。

3年前130年経過した農地付き古民家を購入させていただいた。
目標は電力会社から電気を購入せず完全に作りだすこととした。方法は太陽光パネルで得た電力をバッテリに充電し使うシステムで、ところが太陽光からの出力は乱高下し殆ど充電ができなかった。

 太陽光パネルの電圧を間違えたとか、接回路続を間違えたなどのミスではなく、太陽光パネルから電力を得るには電圧と電流のバランスの良いところでコンバータを動かす必要があったため。太陽光パネルの電圧は確かに 28V ほど出ているが、この時の電流はほとんど 0A に近くバッテリを接続しても充電できる電力にはならない。そこで一般販売されているコンバータを使用したが、太陽光パネルが出す電力が乱高下しコンバータが次々と破壊された。
 仕方なくコンバータを自作しなければならなくなった。
当初はこれらも同じ運命を辿る。
大電力を主体に回路定数を決めると低電力時の充電ができない。これでは効率よく充電できるコンバータは作れないこととなる。そこで低電力から大電力において高効率で変換できるコンバータの開発に取り組む。
 試作当初は教科書やトラ技の回路を再度確認し LT-Spice でシミュレーション
どうしても納得のいく値は得られなかった。なんとなく真空管オーディオの本を読みふけていたら、AB Class P-P 5極管アンプの効率の良さを再認識しこれ使えるかも? (ひらめき)。
 変圧器設計の仕事をしているため高効率なコンバータへの応用を検討
オーディオアンプは極小信号から大信号までを低歪みかつ高効率で増幅する。問題は変圧器とスイッチング周波数である。

 コンバータの動作は C級
この場合変圧器にフェライトを使うと高周波ノイズが発生。
私はこの分野でノウハウがあり、ノイズを出さず効率が高い変圧器を作れる。これがMNeL式の回路に発展する。
LT-Spice のシミュレーション結果から、今回比較的低い周波数の変圧器とするため鉄アモルファス系とする。そもそも鉄系電磁鋼板は 20kHz 以下の信号を忠実に伝送するため、高い周波数成分であるサージ対策は不必要なのはわかっていた。真空管アンプの回路が 数百kHz ものノイズなど出すはずもなく、もしそのような高周波ノイズが発生するなら、真空管ラジオや高級オーディオなどは販売できない。
実際オーディオアンプの歪みは20kHz 以下の周波数内にとどまっているので、装置自体は真空管アンプそのものとしてノイズから逃れることとした。


 鉄芯にフェライトを使うと形状は3~5倍ほど大型化
 これはフェライトの磁束密度 B (T) が低いためで、形状が大きくなるとコイルの電線長が長くなり抵抗値により効率が下がる。フェライトを小型にすると低い周波数でのスイッチングができず大型のフェライトは高価だ。にも関わらず電源屋はフェライトを好んで使用するが、彼らはノイズを消すノウハウを持っている。しかしノイズ対策は大袈裟でプロはノウハウは公開しない。
 昔ビデオのヘッドに使用する材質で画質が大きく変化
 フェライトを用いたビデオは画像にノイズが多く、全体的にザラついていた。これはフェライトが持つ磁性の暴れによるものである。
ソニーがセンダストのビデオを販売し、画質競争が一変する。この時から各社ともどもビデオの画質を高めるためフェライトからの脱却を始めた。もちろん低価格のビデオはフェライトだったが、アモルファス系やファインメットなどの機械を販売し、高価格帯のビデオ装置が進化した。これら進化した装置の画質は明らかにノイズが減り、白から黒、またはその逆のシーンでザラついた感じがなくなった。
意図しないノイズ抑制は大変
これらは大手の電気会社であってもビデオ画質でできないほど厄介で、個人でなんとかできるようなものではない。だったら最初からノイズが発生しないものを使用しなければ良い。そこで素材を鉄アモルファス系か方向性鋼板を勧めているのはこれらノウハウを詰めこんだ結果で、私はプロなのでノイズを止める詳細内容を発表できないし、誰でも確実に作れる方式なら、これが一番楽である。

 私が情報発信している装置内容は動作確認を済ませたプロトタイプ
実はここまでで 2.5年 が経過し、電動アシスト自転車の古バッテリモジュールを大量に使いオフグリッドバッテリとする予定でいた。
自転車バッテリは古民家に取り付けたが、これの情報提供をしないのは危なくて作れないから。
容量はわずか300Wh程度にも関わらず、通電状態で回路を製作する恐怖は想像を超える。こんなものを皆に作って欲しいとは考えず、ネットでは同装置を作っている方もいるがお勧めしません(これをやる価値があるかは大きな疑問)。


 私は作るのが億劫
当初は市販されている装置で試したがどれもダメ。そういうことから自作となり無事に動作させたが、発信情報は完成した回路と仕組みである。
ここに公開された内容は確実に動作する内容で溢れているので、皆様もご使用ください。

 反省、
 当資料 (このページ) 全体を見回すと、写真や回路が不足してることに気づく。
つきまして、今後このページを少しずつ補間し完成に導くので、時々訪れ文書だけでは理解できない内容を図面付きで読んでいただけるよう進めていきます。
目的は、皆様の生活をも豊かにしたい、です。

作った上で問題が発生したり、疑問があれば質問ください。
できる限り回答させていただきます。

古民家再生は電源完成で終わりません。この後はリホームが主体です。
ご期待ください。


最後まで読んでいただきありがとうございました。

https://plaza.rakuten.co.jp/thm/255724/​​​​​​​
「古民家再生」



​​​​​宇宙空間など、電子の夢​​
 電気や電子ができることは物理学の殆ど全てであると気づいているため、いずれは電気が宇宙を飛び出し重力までをも制御する装置が開発されてると考えています。
電気は夢の技術であると考えていますので、この辺りを説明したいと思います。​​​​​​​​​​​​​​
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Last updated  2024年09月08日 15時13分12秒
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