『鰐』☆☆☆
キム・ギドク監督作品、初見。小出しにネタバレ。理不尽で暴力的な男が徐々に愛に目覚めていく様は秀逸。あんなどうしようもなく悪い男に感情移入してしまうなんて映画は不思議だね。女の描いている絵を見て人生かけちゃいたくなるなんて恋って不思議だね。(余談)やっぱり僕はとても好きな人のどこがどう好きかなんて言ったり考えたりするのは苦手です。絵、銃、青く塗られた亀・手錠、自動販売機……起こっていく出来事と小道具のマッチし具合が印象的。水の中とか、青くゴテゴテに塗りたくった亀と手錠とかあからさまに”絵”を意識して小道具を使った演出は基本的には好きじゃない。ゴダールの『軽蔑』の赤とかは好きやけど。(それ以外のゴダール作品での原色小道具は うざい)でも悪い印象じゃない。どれもあからさまに小道具として存在しつつも物語にちゃんと違和感なく溶け込めている。なんでやろう。(余談)※左クリックのままマウスを動かすここ1、2年(もっとか?)なぜにそれが効果的なのかとか考えながらみれなくなっている。考えないようにしようっていうのはあったんやけど。ジブリとかジャッキー・チェン見ながらそんなこと考えるのもなんか無粋やん?でも脳みそ固まりすぎな気もする。もう少し、そういうふうに見てもいい気がする。ほんまにおもしろい作品は、何考えてても結局忘れて没頭しちゃうもんなぁ。ラスト5分で「なんてええ話なんや」と感動して、ラスト3分で「えええええええええええ、台無しやん……」と落胆する感じ。(ワシだけやろか?)でもあきらかにほぼ勝利を手中におさめてるのに、わざと最後にぽとっと落とす、みたいな。「負けた」と思わせる作品。別に批評かぶってるわけやなく、いち観客として「負けた」と思わせる映画は興味深い。いち観客としてはやっぱりラスト5分で終わらせてほしかった気もするけど、歯がゆい感じ。でも素晴らしい。でも、くやしい。