2006/08/29(火)16:52
デュカス ピアノソナタ/初雪草
『今日のクラシック音楽』 デュカス作曲 ピアノ・ソナタ変ホ短調
ハイペリオン・レーベルから嬉しいディスクがリリースされました。 フランスの作曲家ポール・デュカス(1863-1955)の書き残したピアノ・ソナタ変ホ短調。 デュカスといえば交響詩「魔法使いの弟子」やバレエ音楽「ラ・ぺり」などで有名な人です。 彼は相当の完璧主義者だったようで、ほとんどの楽譜は破棄されており、今では13曲の作品のみ残されているそうです。
この曲は学生時代に友人が持っていた海外盤のLPで聴かせてもらい、同じLPを買って長年聴いていました。 現在のカタログにはそれほど多くの枚数が載っていません。
ハイペリオンからリリースされたのは、マルク=アンドレ・アムランというピアニストの演奏で、非常に粒立ちのいい音を奏でてこの超絶技巧曲に挑んでいます。
デュカスのピアノ・ソナタは日本ではあまり人気がなく、演奏会や録音などにもほとんど採り上げられることのない曲ですが、初めて聴いた40年くらい前から好きなピアノ曲の一つです。
4楽章構成で演奏に45分間ほどかかる大作ですが、聴きこめばその良さがよくわかってくる作品です。 調性が変ホ短調という少し珍しいもので、音楽も勿論、古典派でもなくロマン派でもないデュカス特有の難渋・晦渋な面もあり、情緒の美しさを求めるなら肩透かしを食らう作品です。
ではどこがいいのか? それは第1楽章を聴けばよくわかるのですが、転調もかなり多くありますが、熱気と交響的な響きが織り成す様は、ピアノ音楽の持っている表現の可能性を時にはロマンティックに奏でられているあたりは、聴く者をゾクリとさせてくれます。
第2楽章は、静かに、静かに奏でられて、沈みこんでいきそうな音楽が展開しています。
それと対照的に第3楽章はとても鮮やかなパッセージが展開しています。 このあたりなると色彩感も増してピアノ表現のおもしろさを味わえます。
終楽章は、この曲のクライマックスかもしれません。 情感に溢れており、音楽の推進と高揚感のもたらす様は圧巻です。 それに躍動感もある楽章で一気に聴かせてくれます。
もっと万人に聴かれるべくピアノ作品だと思うのですが、やはり曲自体は地味なんでしょうね。
このCDです。 マルク=アンドレ・アムラン(ピアノ)
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(ハイペリオン・レーベル CDA67513 2004年4月録音 海外盤)
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『今日の音楽カレンダー』
1661年 逝去 ルイ・クープラン(作曲家)
1928年 逝去 ガブリエル・マリ(作曲家)
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ともの『今日の一花』 初雪草
撮影地 大阪府和泉市 2005年9月3日
灯台草科 ユーフォルビア属
北アメリカ原産