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カテゴリ:クラシック音楽
「今日のクラシック音楽」 若きマーラーの失恋~さすらう若人の歌
グスタフ・マーラー(1860-1911)はボヘミア出身の指揮者・作曲家として近代音楽史上に燦然と輝く人で、11曲(大地の歌を含めて)の交響曲や「さすらう若人の歌」、「亡き子をしのぶ歌」などの歌曲集を書いて、後期ドイツロマン派の残照とも呼べる音楽を確立しており、1980年代には日本でもマーラー・ブームとでも呼べる現象を起こしており、今なおその音楽は古典派のそれと同じくらいに愛され続けている作曲家です。 またウイーン宮廷歌劇場の指揮者と絶大なる権力を誇り、近代指揮者の方向を定めたとさえ言われるほどに指揮者としての名声も確立しています。 一貫してマーラーの音楽は素直さや明快晴朗な響きがほとんど聴かれず、まるで屈折したプリズムのような光と影を宿す、どこか世紀末的な退廃さえ感じられます。 悲劇的情緒と心の影を醸し出し、深い苦悩を刻んだような憧れにも似た風情の音楽を数多く書き残しています。 その理由はマーラーがその生涯を通じて心に落とした「愛の苦悩」ではないでしょうか。 乱暴な言い方をすれば彼は生涯理想的な愛ー信じて信頼される相互愛ーに恵まれなかった人ではないかと思います。 残された彼の写真を見ても非常に神経質そうな様相を呈しています。 彼のどの写真からも「ふくよかさ」「円満」と言った「正」の表情をうかがうことが出来ず、霊能者なら「何かに執りつかれている」と言うような苦悩の表情ばかりが目立ちます。 それは「満たされない愛」が生涯つきまとったからだと思います。 その「負」をはねのけしてしまう資質が神さまから授からなかったのか、それとも「そうして生きよ、そうして人々に敬愛される音楽を創造せよ」と神さまから命じられたのか、少なくとも私にはマーラーの音楽を聴いて感動はすれども、心を慰められる音楽ではないと感じています。 交響曲の中にはー第1番「巨人」、第2番「復活」や第3番、第4番は例外としてー特に悲劇性が色濃く刻まれているように感じます。 残された音楽だけでマーラーの心象を追うことは難しいと思います。 この項を書くにあたって図書館などで文献を調べてみました(ブログ再開後の作曲家の恋とそれにまつわる音楽はほとんどそうした文献での調べによるものですが)。 そこに浮かび上がった3人の女性。 1. ヨハンナ・リヒター 2. ナターリエ・バウアー 3. マーラーの妻 アルマ・マーラー マーラーを取り巻くこれら3人の女性が(2.のナターリエは例外として)マーラーの生涯に深い心の傷を刻みつけたのでしょう。 (この項つづく) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「今日の一花」 イヌホウズキ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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マーラーと恋愛はどうもうまくイメージできません・・
痔疾で苦しんだとのことで、手術をした身としては親近感が湧きます。 イヌホオズキ、小さいながらナス科らしい可愛らしい花ですね。 (2007年09月27日 23時16分35秒)
たけぽ2001さん
>マーラーと恋愛はどうもうまくイメージできません・・ >痔疾で苦しんだとのことで、手術をした身としては親近感が湧きます。 > 私もあの神経質そうな表情の顔を見ていると恋愛という言葉がこの人に似つかわしくないように思っていたのですが、今回深く調べてみると彼の失恋がマーラー音楽の原点になっているようで、改めて彼の人なりに注目しました。 >イヌホオズキ、小さいながらナス科らしい可愛らしい花ですね。 ----- 私はナス科の花が大好きで見つけるとカメラを向けてしまいます。 イヌホウズキはごく小さい花ですが表情がとても可愛いですね。 (2007年09月28日 00時01分05秒) |
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