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2010年09月22日
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「名曲100選」  ドヴォルザーク作曲 チェロ協奏曲ロ短調 作品104

アントニン・ドヴォルザーク(1841-1904)が、アメリカの「ナショナル音楽院」の院長をしていた頃に生れた作品で最も有名なのが交響曲第9番「新世界より」。 その「新世界より」同様にアメリカ滞在中に生れた傑作が他にもまだあります。 ドヴォルザークの最高傑作と言われている「チェロ協奏曲ロ短調 作品104」がその一つです。

ニューヨークのジャネット・サーバー夫人から請われて「ナショナル音楽院」の初代院長として、1892年の秋にドヴォルザークはアメリカに赴き約2年半の滞在期間中に書いた作品で「アメリカ三部作」とも呼べる3曲があります。 一つは「新世界より」。 二つ目は弦楽四重奏曲第12番「アメリカ」作品96。 三つ目がチェロ協奏曲ロ短調 作品104。

チェロの前身は「ヴィオラ・ダ・ガンバ」(足のヴィオラ)という楽器で、バロック期から通奏低音楽器として使われてきています。チェロはよく 女性の体形と比べられますが、良く似た小型のヴァイオリンが明るい高い澄んだ音色であるのに対して、ヴァイオリンよりも女性体形に似ているチェロはとても男性的な音を響かせます。 温かくて深く、朗々とした響きを出す楽器です。

「チェロは、歳月と共に年をとるどころか逆に若くなり、ますますほっそりと、しなやかに、そして優雅になってくる美女の如し」と、チェロを形容したのがパブロ・カザルス(チェリスト・指揮者)でした。

チェロを独奏楽器として位置づけたのは大バッハではないでしょうか。 パブロ・カザルスによって発見された「無伴奏チェロ組曲」によって、バッハがすでにこの楽器の性能をよく知っていたことを証明しており、「チェロの旧約聖書」と呼ばれ、のちにベートーベンが書いた「チェロ・ソナタ」が「新約聖書」と呼ばれており、チェロの市民権が確立しています。

ところが協奏曲となると、ボッケリーニ、ハイドンが書いて以来本格的な協奏曲は数少ないのです。 19世紀後半になってサン=サーンス、シューマン、ラロなどの協奏曲が生まれていたのですが、このドヴォルザークの曲で影が薄くなってしまいました。

ドヴォルザークは、音楽院在任中に一度祖国へ帰っています。 よほど郷愁に駆られていたのでしょう。 このチェロ協奏曲も一時帰国前から書かれており、「新世界より」と比べてもよりいっそうボヘミア的郷愁を感じさせる音楽になっています。

アメリカに再度帰ってきてもドヴォルザークは契約任期を務めることが出来ずに、1895年の春、永久にアメリカに別れを告げて帰国しました。 

この曲は帰国後プラハで最終楽章の手直しをして完成させ、翌年1896年の春にロンドンで初演されています。

この曲の魅力は第1楽章は、序奏がなくていきなり低弦とクラリネットで第1主題提示を終わって独奏チェロが奏でられると、まるで歌舞伎の千両役者の登場のような趣きがあります。 また独奏者にとっても弾きがいのある部分ではないでしょうか。 ロマンティックな情緒の第1主題の旋律からして、すでにボヘミヤ的な情感がたっぷりです。 展開部でチェロがお休みというのも面白い趣向です。 第2主題が五音階で牧歌的主題が奏でられて、この2つの主題が軸となっています。 いかにもロマン派の、国民樂派の協奏曲という貫録たっぷりの楽章です。

私が一番好きなのは第2楽章です。 独奏チェロによるボヘミヤ的な哀愁が漂う旋律が素晴らしく、これほどまでにドヴォルザークの郷愁が高まっていたのかと思うくらいに、哀感漂うしみじみとした情緒がとても美しい楽章です。 とてもノスタルジアに満ちたセンティメンタルな情緒が、チェロの深みのある、甘く抒情的な音色で美しい音の世界が繰り広げられています。

第3楽章は、ボヘミア的な民族舞曲風の旋律がとても印象的で、華麗なチェロの技巧が活躍する溌剌とした音楽で、この楽章を帰国後プラハで手直しをしたという経緯から、故郷に戻ってきたドヴォルザークの喜びを謳い上げているようです。

それに独奏チェロだけでなく管弦楽部も非常に活躍する作品で、特に管楽器がこれほどまでに美しい旋律を歌わせる協奏曲も珍しいのではないでしょうか。 「メロディ・メーカー」とも呼ばれたドヴォルザーク。 その美しい旋律がキラ星のごとく輝いている作品の一つがこのチェロ協奏曲ロ短調でしょう。

ブラームスがこの曲を聴いて「私は何故こういう書き方に気がつかなかったのだろう」と絶賛した有名なエピソードが残っています。

最初にドヴォルザークの最高傑作と書きましたが、おそらくチェロ協奏曲の最高傑作であることは間違いないと思います。 とても好きな曲です。

愛聴盤

大好きな曲ですから色々なチェリストの演奏で聴いてみたいという想いが強くて、他の協奏曲に比べてディスクの数も多くなっています。

(1) ロストロポーヴィチ(チェロ) 小沢征爾指揮 ボストン交響楽団

WPCS21056 1985年
(エラート原盤 ワーナー・ミュージック WPCS21056 1985年2月録音)

朗々とした音色、スケール雄大な幅の広い表現が見事。 テンポを自在に動かし、音色を多彩に使い分けた演奏は独壇場。 最強音から最弱音までの情感豊かな表現。 絶え入るようなピアニッシモは圧巻。

(2) ヤーノシュ・シュタルケル(チェロ) アンタル・ドラティ指揮 ロンドン交響楽団

432001 1962年
(マーキュリー原盤 ユニヴァーサル・ミュージック UCCP7075 1962年7月録音)

鋭利な刃物のような感じを与える音色で、朗々とした響きはロストロポーヴィチと変わらないが、非常に精緻な表現の音色で、一度聴くとたちまち人を引き付ける魔力のようなものを持った技巧の素晴らしいチェロ。

(3) ジャクリーヌ・デュ・プレ(チェロ) バレンボイム指揮 シカゴ交響楽団

TOCE59051 1970年
(EMI原盤 東芝EMI TOCE59051 1970年5月録音)

私が付け加える言葉がないほどに絶賛されている「世紀に一人」と言われる女性チェリスト。 激しい情熱が噴き出す物凄い演奏。 初めてLP盤で聴いた時には、言葉を失って聴いていた記憶があります。  1971年に26歳で難病の「多発性硬化症」を発病してから闘病生活をつづけ、1987年に42歳で亡くなった空前絶後と言いたくなる別格のチェリスト。

(4) ピエール・フルニエ(チェロ) ジョージ・セル指揮 ベルリンフィルハーモニー


UCCG59051 1962年
(グラモフォン原盤 ユニヴァーサル・ミュージック UCCG5051 1962年録音)

「高貴なプリンス」と呼ばれたフルニエとセルが繰り広げる格調高い演奏。 ロストロポーヴィチやシュタルケルのような豪放さや荒々しさもない、実に品格のあるチェロで穏やかに、柔和にボヘミアの郷愁を切々と語った名演。

(5) ピーター・ウィスペルウエイ(チェロ) ローレンス・ネレス指揮 オランダフィルハーモニー

CCS8695 1995年
(CHANEL CLASSICS CCS8695 1995年12月録音 海外盤)

「力強さ」と「優しさ」「柔和さ」で聴く者を柔らかく包み込んでくれるような表現のチェロの音色です。 ボヘミアの郷愁がを吹き渡るかのような音色が部屋を満たしてくれます。
ロストロポービチやシュタルケルのような剛毅さでもなく、デ・ピュレのような情熱的な激しさでもなく、チェロの音色を汚れなく美しく響かせて、それでいて決してBGM的な音色にならずに、ステレオ装置の前でじっと耳を傾けて聴き入ってしまう、稀有な演奏家の一人です。

(6) オーフラ・ハーノイ(チェロ) マッケラス指揮 プラハ交響楽団

09026.68186
(RCAレーベル 09026 68186 2 1994年9月録音 海外盤)

7枚のディスク中、最もテンポを自在に動かした演奏で、思い入れたっぷりな非常に個性的な演奏。 一時期よく日本で演奏会を開いていたが、最近は来日のニュースも聞かないがどうしているのだろうか。 彼女の演奏はヴァイオリンのソネンバーグのような奔放とまで言わないが、自在にテンポを動かして強弱をたっぷりと付けて「妖艶」な演奏が魅力。

(7) アニア・タウアー(チェロ) マーツァル指揮 チェコフィルハーモニー

PROA-62 1968年
(グラモフォン原盤 タワーレコード PROA62 1968年録音)

タワーレコード ヴィンテージコレクション第3集の内の1枚。2006年12月のリリース、1000円盤。

1945年(?)生まれのタウアー。 既婚の医師と恋愛関係となり原因不明の医師自殺で、相当なショックを受けて彼女も自殺をしたのではと言われている。謎の美貌のチェロ奏者。デュ・プレと同じ年齢。

演奏は正攻法というかハーノイのような大きな動きをしない。しかし音は実に艶やか寝響きで力強く、ダイナミック。 デュ・プレのような演奏。 28歳で亡くなったというのが通説になっているが、この演奏を聴くとその若死にが惜しまれてならない。









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最終更新日  2010年09月22日 00時22分45秒
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