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2007年11月15日 コメント(8)
全469件 (469件中 1-10件目) カテゴリ未分類
テーマ:好きなクラシック(2077)
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「名曲100選」 ヴェルディ作曲 オペラ「リゴレット」 昨今の日本でのオペラ公演には、私がオペラを好きになった頃に比べるとはるかに人気があり、老若男女を問わず幅広い客層に支えられています。 ブームとも呼ぶべき現象でしょうか。 外来公演も年間にいくつあるでしょうか。 日本で居ながらにして世界のオペラ座引越し公演を観ることが出来ます(但し、お金に糸目をつけないという条件になりますが)。 ヨーロッパなどでは小さな町や市には歌劇場があって、庶民が気軽にオペラを楽しんでいるのを出張中に何度も目にした光景でした。 今の日本のオペラ・ブームが底辺に広がるのある、しっかりと根付いていって欲しいものと望まずにはおれません。 さて、オペラと言えば「イタリア・オペラ」、「イタリア・オペラ」と言えばヴェルディ、ということになりますが、このオペラ「リゴレット」を知らなくても「風のなかの羽のように~」という「女心の歌」で有名なアリアをご存知の方が多いと思います。 第3幕で歌われるのがこの「女心の歌」なんです。 物語は、イタリア・マントヴァ地方でそこのマントヴァ公爵は好色男性。 若い娘でも人妻や家臣の妻女など手当たり次第に手を出す漁色家。 その公爵に仕えているのが足に障害を持つ道化師リゴレット。 公爵を煽り立てて女を抱かせる不届きな道化師。 先日も貴族の妻のよからぬ行為に及んで、その貴族から呪いの言葉をかけられます。 リゴレットにはジルダという娘が一人いて、その彼女が美人。 リゴレットの知らない間に村の若者に変装した公爵に魅せられるジルダ。好きになってしまいます。 リゴレットの行いを日頃から妬みや反感で見守っている家臣たちがいます。 その家臣たちの計略にはまるジルダとリゴレット。 自分の好きな男が公爵とわかったジルダは、殺されようとしている父リゴレットの身代わりとなって殺されます。 娘の亡骸に取りすがるリゴレット。 そしてオペラの幕が下ります。 見所は何といっても娘ジルダが公爵の餌食にならんとわかって歌う。リゴレットのアリア「悪魔め、鬼め!」。 このアリアがすごい。 あの貴族の呪いが自分の娘に降りかかろうとは夢にも思わなかったリゴレットの悲痛な叫びが歌われます。 それに第3幕の重唱(公爵、リゴレット、ジルダ、家臣)、歌の凄さを体感できるシーンです。 それに「女心の歌」。 公爵の歌うこのアリア、名歌手による名唱はいつ聴いてもいいものです。 それにまつわるエピソードがあります。 ヴェルディはこのアリアが初演後に大当たりするのを予感しており、歌手には公演前には絶対に歌ってはならぬと言い置いたのに、初演前からこのアリアが街のあちこちから聞こえてきたそうです。 愛聴盤 ピエトロ・カップッチル(B)、プラシード・ドミンゴ(T) エレナ・コトルバス(S) 他 カルロ・マリア・ジュリーニ指揮 ウイーンフィルハーモニー管弦楽楽団・合唱団 ![]() (グラモフォン・レーベル 4577532 1976年録音 海外盤)
最終更新日
2010年11月07日 00時11分33秒
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2010年11月06日
テーマ:好きなクラシック(2077)
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「名曲100選」 W.A.モーツアルト作曲 弦楽五重奏曲第4番 ト短調 レオポルド・モーツアルトという音楽家がいます。 有名なウオルフガング・アマデウス・モーツアルト(1756-1791)の父親です。 この人は「おもちゃの交響曲」という、音楽としてはあまり大した作品でないのですが、曲の途中で鳩笛やラッパ、太鼓といった子供のおもちゃが数種類取り入れられた愛らしく、親しまれている音楽を書いた人です。 私が15-6歳の頃までヨゼフ・ハイドンの作曲と信じ込まれていて、レコード会社も録音・発売するたびにハイドン作曲と銘打っていましたが、学者の研究でそれは間違いで、レオポルド・モーツアルトの作品であると正当に認められています。 モーツアルトの「弦楽五重奏曲 ト短調」の話に何故父レオポルドの話になるのか、とおおもいでしょう。 このト短調はレオポルドの死にすごく関連していると、今では定説となって考えられているからです。 モーツアルトは父レオポルドから厳しい音楽教育を受けながら育った人で、5歳ですでに作曲をしていたと言われるほどの「神童」でした。 そしてヨーロッパをピアノでのコンサート・ツアーに出かける生活でした。 父レオポルドはザルツブルグ(モーツアルトの生地)の宮廷音楽長を努めながら作曲もしていたそうです。 そして子供ウオルフガング・モーツアルトには、いずれ名のある宮廷音楽長を務めてもらいたいと願っていたそうですが、モーツアルト25歳のときにウイーンに単身出かけて、音楽家として自立を果たします。 ウイーンでは生き生きとした活躍を見せたモーツアルト。 これ以降それほど回数多く父レオポルドとは顔を合わしていないそうです。 そして父の病気を知らされました。 その時に父宛に書いたのが有名な慰めの手紙です、 「わたしは、数年来というもの、死という、この人間の真実にして最大の友人と、たいそう仲良くなってしまいました。死の姿は少しも恐ろしくないばかりか、むしろ心を安らかにし、慰めてくれるものなのです。 わたしは、いつでも寝床に入るたびにひょっとすると、自分は明日はもうこの世にいなくなっているかもしれない、と考えないことはありません」(1978年4月4日 モーツアルト31歳)。 それから約2ヶ月後の5月28日にレオポルド・モーツアルトは68歳の生涯を閉じています。 モーツアルトが書いた弦楽五重奏曲は全部で6曲残っており、ト短調として有名なこの曲は第4番にあたるものです。 これは父レオポルドが亡くなる12日前に完成しているそうで、一聴すればわかる通り、曲全体には一種独特の暗鬱な気分が、濃厚に刻まれており、おそらく父の死を予感して書かれたのであろうと言われています。 「ト短調」はモーツアルトのとって宿命的な調性と言われています。「交響曲第40番」もト短調です。 共通しているのは心をえぐられるような悲壮美に満ちており、「駆け巡る悲しみ」として最高の表現ではないでしょうか。 弦楽五重奏曲は弦楽四重奏にチェロ1本を加えるか、ヴィオラを加えるかですが、モーツアルトはヴィオラを選択しています。 愛聴盤 スメタナ弦楽四重奏団とヨゼフ・スーク(ヴィオラ) ![]() (DENON CREST1000 COCO73067 1976年録音) 極めて精緻なアンサンブルで、とても澄んだ響きがすごく魅力のある演奏です。 ロココ風に表現した典雅な演奏スタイルが、よりいっそう哀しみを訴えてきます。
最終更新日
2010年11月06日 09時01分24秒
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2010年11月03日
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「名曲100選」 ファリャ作曲 バレエ音楽「三角帽子」 マヌエル・デ・ファリャ(1876-1946)は近代スペイン音楽の門戸を開いた功労者だと言われています。 先輩作曲家のグラナドスやアルベニスは、スペインの民族音楽をほぼそのままの姿で使っていたのですが、ファリャは、ハンガリーのバルトークの様に自国の民謡・民族音楽・土俗的な舞踊音楽などをフレームにして、それら土着音楽の精髄を活かして音楽を書いた人でした。 ファリャとグラナドスやアルベニスの音楽を聴き比べると、ここに私が書いた違いが自ずとお判りになると思います。 その点が「近代音楽への功労者」と呼ばれる所以だと思います。 ロシア・バレエ団の主宰者ディアギレフが、ファリャの出世作バレエ音楽「恋は魔術師」の成功のあとにバレエ音楽を委嘱してきました。 「スペイン丸出しの音楽」という条件付です。 この「三角帽子」は見事に当たり。 ファリャの名前が世界的作曲家として通用するようになりました。 ディアギレフの要請「スペイン丸出し」の姿が、音楽冒頭から始まります。 ティンパニーが強く叩かれ、鮮やかなカスタネットの響きに乗って「オーレ! オーレ!」という掛け声がこだまして、メゾ・ソプラノの悩ましげな歌声が響いてきます。 この曲の開始から聴衆はスペインの大地に放り投げられます。 ディアギレフの意図に見事に応えた開始音楽です。 このように全編にスペイン音楽が溢れており、ムンムンするような熱気さえも伝わってくるような、強烈な音楽となっています。 第1部、第2部と分かれていますが切れ目なく演奏されます。 スペイン・アンダルシア地方を背景にした物語で、ぶ男だが働き者の粉屋には大変美しい女房がいて、夫婦は仲良く暮らしています。 そこへ好色な代官がその女房に目をつけて我が物にしようと企みます。 気丈な女房と粉屋が村人の助けでこの好色代官をやっつけてしまう、というストーリーです。 約40分足らずのバレエ音楽です。 愛聴盤 シャルル・デュトワ指揮 モントリオール交響楽団 コレット・ポーキー(S) コゲット・トゥランジョー(メゾ・ソプラノ) ![]() (DECCA原盤 ユニヴァーサル・ミュージック UCCD50071 1981年録音) ラテン的な色彩が全編に散らばっている、この「色彩美」がたまらく美しい演奏です。 30年ほど前の録音ですが、今でも優秀録音でとおる素晴らしいディスクです。
2010年11月02日
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「名曲100選」 グラズノフ作曲 ヴァイオリン協奏曲 イ短調 作品82 アレクサンドル・グラズノフ(1835-1936)は、近年その交響曲全8曲(9曲書いているが第9番は未完)が録音・リリースされて来て話題にのぼるロシア帝政時代からソ連への時代の作曲家ですが、まだポピュラーな人とは言えません。しかし1904年に書かれたこのヴァイオリン協奏曲は実にいい。 極めて親しみやすい曲です。 この音楽はもっと演奏され愛好されていい筈なのに、録音も非常に少ない。 ハイフェッツやミルシティンなどの録音が目立つのみです。 20世紀に入って書かれた曲ですが、濃厚に19世紀の面影を残しており、チャイコフスキーの協奏曲を小型にして、もっと洗練させた感じの、チャイコフスキーよりもスマートになった趣があります。 ヴァイオリンの特質をよく知っており、その美質を充分に活かした民族的な旋律を駆使して親しみやすい音楽にしており、ロシアの民族音楽が全編に覆われており、それが華やかにそして哀愁を込めて語られる様がとても美しい曲で20分ほどの演奏時間。 CDでは何故かトラックは1つで全楽章(と言っても2楽章しかありません)までを切れ目なく収録しています。 そういう曲なんでしょうね。 第1楽章 モデラート 三部形式でアンダンテが中間部にあり、極めて旋律的な音楽でロシア民謡風のメロディがたまらなく郷愁を誘います。 第2楽章 アレグロ 金管楽器で爽やかな夜明けを告げるような旋律で始まります。 それをソロヴァイオリンが復唱するかのように反復します。 ここがとてもきれい。 中間部のテーマがリズミカルになるのが印象的。 コーダとして書かれた音楽が実に魅力的。 独奏ヴァイオリンがロシアの楽器バラライカを模して演奏される旋律がとても魅力的です。 愛聴盤 アンネ=ゾフィー・ムター(ヴァイオリン) ムスティラフ・ロストロポーヴィチ指揮 ワシントン・ナショナル交響楽団 ![]() (エラート原盤 BMGジャパン R32E-1089 1988年録音 廃盤) ムターのエラートへの録音という珍しい盤。 ヴァイオリンを分厚く唸らせてロマン一杯の情緒を振りまいています。 たっぷりとレガートを効かせており、ポルタメントの味わいは筆舌に尽くし難いほど。 むせるように、切ないくらいに歌っており、その豊かな響きに圧倒されます。 このディスクが廃盤とは。 いずれグラモフォンで再録音して欲しい作品です。
最終更新日
2010年11月02日 00時56分18秒
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2010年11月01日
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「名曲100選」 ベートーベン作曲 ピアノ・ソナタ第14番 「月光」 ルードヴィッヒ・ヴァン・ベートーベン(1770-1827)は生涯を独身で過ごした作曲家でした。 一度も結婚をしたことがありません。 だからと言って女性嫌いではありません。それどころか彼の周りに現れる女性といつも恋に落ちていたようです。結果は悲惨に終わっても。 名前を挙げるとヨゼフィーヌ・ダイム、テレーゼ・フォン・ブルンズウイック、テレーゼ・フォン・マルファッティ、アマーリエ・ゼーバルト、ドロテーア・エルトマン、アントニエ・フォン・ブレンターノ、それにジュリエッタ・グルチャルディなど、ベートーベンの死後発見された「不滅の恋人」への手紙三通の候補者たちです。 恋に落ちていなければ暮らしていけないほどのロマンスがそのたびにあったのでしょう。 これらの女性たちとのエピソードで有名なのは、ジュリエッタ・グルチャルディとのロマンスです。 彼女はベートーベンのピアノの弟子の一人でした。 彼はジュリエッタに熱烈な恋心を抱き、彼女のほうも満更ではなかったようです。 とうとう結婚する気になったベートーベンは彼女に告白しますが、貴族の令嬢と街の一介の作曲家・音楽家の結婚など当時の常識ではとても認められない話で、彼女の父の猛反対にあってこの話は壊れてしまいました。 この恋愛中に(ベートーベン 30歳のとき)生まれたのがピアノソナタ第14番 嬰ハ短調でした。 後になって「月光」と名付けられた作品です。 ベートーベンはこの幻想的なソナタをジュリエッタに捧げています。 夢幻的で幻想的な佇まいの第1楽章、愛らしく典雅な表情の第2楽章、情熱的で激しい恋の炎がメラメラと燃えているような激しい感情の吐露を表すような第3楽章。 ここにはジュリエッタへのベートーベンの愛の吐露が充分に表現されているようです。 この第14番のソナタが何故に「月光の曲」と呼ばれるようになったのでしょうか? 後世の詩人レルシュタープという人がこの曲について、「あたかもルツェルン湖の月光を浴びながらたゆとう小舟のようだ」と表現したことから生まれたと言われています。 ベートーベンの32曲のピアノ・ソナタ中でも屈指の名曲です。 愛聴盤 マリア・ジョアン・ピリス(ピアノ) ![]() (グラモフォン・レーベル 453 457-2 2001年5月録音 海外盤) バックハウス、ルプー、ギレリスなどの盤を聴いていたのですが、2001年のこの新しい(再録音)の透明感に溢れるピリスのピアノに魅かれています。
最終更新日
2010年11月01日 08時59分54秒
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2010年10月30日
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「名曲100選」 シューベルト作曲 歌曲集「美しき水車小屋の娘」 フランツ・シューベルト(1797-1828)によって音楽史上で初めて書かれた「連編歌曲集」という、曲集全体が物語性を持っており、音楽もまとまりを持っている歌曲集のことを指して呼ばれるもので、後年シューマンが書いた歌曲集「女の愛と生涯」に受け継がれています。 夢みたものは ひとつの幸福 ねがったものは ひとつの愛 山なみのあちらにも しづかな村がある 明るい日曜日の 青い空がある これは叙情詩人 立原道造の「夢みたものは・・・・」という詩の書き出しです。 25歳で早世した立原道造は、感性豊かに青春の哀歓を繊細な感覚と表情で詩を謳い上げています。 この叙情詩人とシューベルトが、私には重なって見えるときがあります。 シューベルトは31年という短い生涯に600を超える歌曲を書き残しています。 青春の喜び、楽しさ、悲しさ、哀しみ、寂しさなどを瑞々しい感性で書き残された歌曲で、そこに立原道造へのイメージが重なる所以があるのかも知れません。 1823年、シューベルト26歳のときに友人ラントハルティンガーを突然に訪問しました。 友人は不在でした。 しばらく待っていたのですが戻ってきません。 その時に友人の机に置かれていたのがミュラーという詩人の詩集でした。 その詩を読んでいるうちにすっかり魅了されてしまい、もっとじっくりと読みたい衝動に駆られて友人には無断で自宅へ持ち帰りました。 シューベルトにはこの時にすでに歌曲の旋律が流れ出していたのでしょう。 そして一気に書き上げたのがこの歌曲集「美しき水車小屋の娘」でした。 シューベルトをそれほどに魅了した詩人ミュラーは、シューベルトより3つ年上のドイツ後期ロマン派の詩人で、彼も早世でした。 シューベルトが亡くなる前年1827年に生涯を閉じています。 後の歌曲集「冬の旅」もミュラーの詩によるものです。 帰宅した友人がミュラー詩集をシューベルトが持ち帰ったと知り、返してもらおうと翌日シューベルト宅を訪れてみるとすでにこの詩集による歌曲が数曲出来上がっていた、という逸話まで残っているそうです。 物語は、水車を使って村人に製粉を行う若い職人が主人公で、これまで修行をしてきた親方のもとを離れて遍歴の旅に出たところ。 遍歴は中世以来ヨーロッパのギルド制度の中で職人が一人前になる過程の一つだったそうです。 ある親方に奉公して技術を身につけた職人が独立して自営するためには、どうしても通らねばならない道であったようです。 この歌曲集の青年主人公もそうした一人でした。 遍歴の旅に出た青年はこの水車小屋に働くようになり、そこの娘に恋をするようになります。それは若者を奮い立たせる恋でした。 しかし狩人が現れて娘に裏切られ恋に破れ、この青年は失意のまま小川に身を沈めてしまうという話です。 これを20編の歌曲に仕上げています。 「冬の旅」のような暗鬱さは全くありません。 若者が「小川」に語りかけるという独白のような形で音楽が進みます。 その「小川」に対して若者は、恋の甘い喜び、娘のこと、憧れなどを語っていきます。 「小川」も語りかける若者を励まし、元気づけます。 それらがシューベルトらしいこんこんと湧き出るかのような美しい旋律に乗って、若者の心が陰影深く、細やかに歌い上げられていきます。 「小川」のせせらぎを描写する音楽は終始16分音符によって刻まれており、その一貫した音楽的なイメージによって歌曲集全体に抒情的な統一性を与えているようです。 曲全体を大雑把に形容しますと、20曲中前半の11曲までが明るく、若者らしい恋の喜びを上昇気分で表現しており、後半は入水するまでを下降気分で書かれており、これは見事な情念の山と言えるでしょう。 演奏時間が約60分の大作歌曲集です。 愛聴盤 ヘルマン・プライ(バリトン) ピアンコーニ(ピアノ) ![]() (DENON CREST1000 COCO70937 1985年録音) 明朗な表現で若者の甘く悲しい物語を率直に歌っています。 技巧的なところがなくて淡々と自然に物語の中に聴き手を溶け込ませる演奏です。
最終更新日
2010年10月30日 20時31分43秒
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2010年10月29日
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「ダイナコ A25X」 もう35年くらい前になるでしょうか、オーディオ・ファンに信頼をされて人気のスピーカー装置がありました。 JBLでもタンノイでもない、「dynaco」(ダイナコ)というデンマーク製のスピーカー。 そして最も人気があったのがA25、A25Xという装置。 そのA-25Xが我が家にやって来た。 これまで20年余り使っていたONKYOのスピーカーのウーファー・エッジ(樹脂製)が右・左の装置ともにひび割れてしまった。 勿論音に酷い歪が表れて聴ける状態でなくなってきました。 もう今更新品のスピーカー装置を捜し求めて電気街を歩き回る根気もなくなって、しばらくの間は音楽から遠ざかっており、ブログで音楽記事を書いて満足していたのですが、PCもダウン。 あ~、何やら呪われているのかな、おいおいカメラまではやめてくれよな、という気分になっていたところに近所のクラシック音楽好き、アーディオ・マニアから声がかかり、本当に「ダイナコ A25X」がやって来た。 勿論、中古品。 そのマニアの知人から「売って欲しい」と頼まれたそうな。 早速我が家に運んでもらって聴いています。 今までのONKYOに比べると格段に音が違います。 音像はすごく明瞭で、バランスがとてもいい。 まだ小型の部類に入るので交響曲や管弦楽曲などには無理を言えませんが、それでもワイド・レンジがすごく広がり、奥行きが深くなって聴こえます。 今は試聴期間中ですが、室内楽がとてもいい。 左右いっぱいに広がる弦の響きがとても心地良いのです。 秋の夜長を音楽で楽しんでいます。 このスピーカー装置です。 ![]() ![]() 2wayバスレフ型 25cmウーファーと高域を切り替えるSWが裏面に付いています。 インピーダンス 8Ω 最大入力 35W 能率 88dB
2010年10月28日
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「名曲100選」 チャイコフスキー作曲 交響曲第6番 ロ短調「悲愴」
「哀愁」とか「哀しげに」にとか「悲しい」とかの代表的な音楽作品の筆頭となる交響曲。 この曲を聴いて楽しくなる人はいないでしょう。感動はするけれども決して楽しくなることはない曲。 心で感動しても「ハッピー」とは言えない曲。 「悲しみ」の「慟哭」の中に放り込まれたような気分を覚える曲。 管楽器が物哀しい調べ、鬱蒼とした旋律を謳い、ブラスが時には吼えるがこれもハーモニーの厚い憂愁の流れを歌う。 弦楽器はまるでうねる様に悶え、すすり泣き、時には慟哭のような哀しみを謳う。 終楽章の哀しみは限りのない程に心に迫ってくる。 ここにはモーツアルトの疾走する悲しみがなく、立ち止まり嗚咽を挙げて泣くチャイコフスキーの悲しみが刻まれている。 この曲を初めて聴いたのが確か中学2年生頃だったと思う。 何の予備知識もなくていきなり30cmLP盤を買ってもらって聴いたのが最初。 ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮のフィルハーモニア管弦楽団のモノラル録音のLPだった。 コロンビア・レコードだった。 今から思うと何故カラヤン指揮の録音がコロンビアだったのか不思議。 まあ、そんなことはどうでもいい。 とにかく聴き終わって「哀愁」、「悲しさ」の美しさに圧倒された曲。その前に買って聴いていたのがドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」(ヴァツラフ・ターリッヒ指揮 チェコフィル盤)だったから、両曲の落差はひどかった。 心に圧倒的に迫ってくる「哀しさ」。 特に終楽章の、悶えに悶えている表情は忘れがたい音楽だった。その前の第3楽章のマーチ風の怒涛のような物凄い迫力ある音楽の推進に息を呑まれるように聴き入っていたから、この終楽章の「すすり泣く」ような音楽はいっそう心に残る音楽だった。 そして、その感動は今も変わっていない。同じです。 14歳の頃に聴いた聴感がそのまま今も変わらずに生きています。 チャイコフスキーの「白鳥の歌」となった最後の作品。 およそ120年前の1893年の今日(10月28日)、チャイコフスキー自身の指揮でロシアのペテルブルグ(現在のサンクト・ペテルブルグ)で初演されています。 初演は不評だったそうです。それは聴衆にとってあまりにも型破りなスタイルの交響曲であり、あまりにも「悲しみ」に満ちた曲であった為と言われています。 しかし、この初演から9日後にチャイコフスキーが亡くなっています。 当時の帝政ロシア下の貧困と病気の蔓延に嘆く人民の心情だったのか、絶望的な生活の悲惨さを嘆いた音楽であり、それがチャイコフスキー自身が副題として掲げた「悲愴」の意味なのでしょうか? いずれにしても「悲愴」という言葉は尋常ではありません。 まさにチャイコフスキーの「嘆きの歌」であり、人一倍病的と言われた内気で、憂鬱な神経質な性格の彼が貴族の甥との同性愛に疲れ果てた結果の音楽なのか? そういった詮索を受け付けないほどに曲は美しい「悲しみ」「哀愁」に溢れた音楽を湛えています。 チャイコフスキーの死後ようやく人々はこの音楽を理解できたのでしょう。再演されたこの曲を聴いた聴衆からすすり泣きが漏れていたそうです。 愛聴盤 フェレンツ・フリッチャイ指揮 ベルリン放送交響楽団 ![]() (グラモフォン原盤 ユニヴァーサル・ミュージック POCG1957 1959年録音) カラヤンの64年録音盤、ムラヴィンスキーの60年と82年録音盤、バーンスタインの86年録音盤などを主に取り出して聴いていますが、このフリッチャイ盤ほどに熱く演奏された録音盤を知りません。 音の一つ、一つに情熱と哀しみを込めた渾身の演奏は50年を経た現在でもこれほどの演奏を聴かせてくれる指揮者は稀有と言っても過言でない記念碑的な人類の遺産だと思います。 弦楽器の呻る様な表情、寂しげな木管の響き、厚いブラスのトーンもほの暗く、全楽章を通してチャイコフスキーの嘆きが聞えてきます。 多くの人に聴いていただきたい演奏です。
最終更新日
2010年10月29日 00時12分26秒
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2010年10月27日
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PCの液晶画面に不具合が生じておりメーカーで機会の不具合と診断されました。 現在は復旧しております。 それで10日間ほど休んでおりました。 また続けて行きますのでよろしくご愛顧をお願い致します。
最終更新日
2010年10月27日 17時29分11秒
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2010年10月15日
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「名曲100選」 シューベルト作曲 ピアノ五重奏曲 「ます」 ベートーベン(1770-1827)は残された肖像画によれば闘志が全面ににじみ出た顔・容姿をしていますが、フランツ・シューベルト(1797-1828)はものすごくおとなしそうな、気弱な性格であったろうと想像される顔つきです。 ベートーベンはあんないかつい顔をしていましたが、女性とのロマンスには事欠かない人でしたが、シューベルトはそういうロマンスめいたことも残されていないし、結婚もせずに若き生涯を終えています。 またシューベルトはお金にも縁がなかったようです。 メンデルスゾーン(1809-1847)のように銀行家の御曹司で裕福な作曲家もいましたが、モーツアルトやシューベルトは「貧しい」作曲家だったようです。 シューベルトが亡くなって遺産の整理をすると、身の回り品が残っているだけで葬儀代にも困ったようでした。 そんなシューベルトですが、友人には恵まれていたようです。「シュベルティアーデ」と呼ばれた親しい人たちとの「サロン・コンサート」は、シューベルトの心を和ませる貴重な、楽しいひと時を過ごせる時間だったのでしょう。 この「シュベルティアーデ」で彼が作曲した歌曲や室内楽・器楽曲などが演奏されたと言われています。 そんな友人の中にフォーゲルというバリトン歌手がいました。 ウイーンで第一級のオペラ歌手だったそうです。 そのフォーゲルとシューベルトの交際が、シューベルト20歳の頃からある友人の紹介で始まったと言われています。 オペラ歌手としては第一線を退いてからは、シューベルトの作曲する歌曲を歌い、ウイーンに広めていったそうです。 シューベルト22歳の1819年に、フォーゲルの故郷に避暑を兼ねて演奏旅行にやってきました。 この町には音楽好きが多かったそうです。 シューベルトが書いた歌曲をフォーゲルが歌い、曲の美しさ・楽しさをフォーゲルが満喫させてくれるという好評の演奏会だったそうです。 その時に町の音楽愛好家から「アマチュア音楽家が弾いて楽しめる曲を書いて欲しい」と依頼をされました。 それがこの「ピアノ五重奏曲 イ長調 ます」です。 第4楽章に以前書いた歌曲「ます」の旋律を使っていることから俗に「ます」と呼ばれています。 この歌曲「ます」は小川を矢の様に泳ぐ「マス」の美しさを歌うのですが、心ない釣り師によって無情にも釣り上げられてしまうと曲です。 この五重奏は全編にわたって溌剌とした楽しさと幸せな気分に包まれており、シューベルトgこの町で屈託のない時間を過ごしたのだろう、ということが容易に想像できます。 とにかく幸せで、陽気で、楽しく、爽やかな雰囲気の室内楽の名品です。 愛聴盤 (1) エマニュエル・アックス(ピアノ) ヨー・ヨー・マ(チェロ) パメラ・フランク(ヴァイオリン) レベッカ・ヤング(ヴィオラ) エドガー・メイヤー(コントラバス) ![]() (ソニー・クラシカル SK61964 1995年録音 海外盤) 息の合った演奏家が寄り集まって楽しげに弾いているという雰囲気に溢れた、実に幸せそうな演奏。 それがジャケット写真からでもわかるほどの楽しさにあふれたシューベルト。 (2) アルフレッド・ブレンデル(ピアノ) クリーヴランド弦楽四重奏団 ![]() (Philips原盤 420 907 1977年録音 海外盤) こちらは一転、ブレンデルのピアノが全編に活躍しており、クリーヴランドの緊密なアンサンブルがそれに応える、教科書通りとでも言えそうな演奏。 しかし、実に巧い。
最終更新日
2010年10月15日 00時06分33秒
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