グラノ・アルソのオレッキエッテ
アンドリアでおなか一杯になった後は、電車で海辺の町、バルレッタに移動。ここには、フリードリヒ2世がかかわった城の中で最大のものがあるんだって。バルレッタはちょっと大きな町で、交通量も多め。町の中は、港町独特の、荒々しくてごちゃっとした雰囲気。道を聞きながらようやくたどり着いた城は、海のまん前にありました。確かに大きい。でも、カステル・デル・モンテのようなミステリアスな空気は皆無。後世にだいぶ手が加えられて、姿が大幅に変わっちゃったんだって。中には、13世紀に作られたフリードリヒ2世の胸像があります。「皇帝が鋳造させた硬貨に刻まれたものを除けば、唯一残存する皇帝の肖像とされている」(by 愛用ガイドブック)んだって。この城で、エルサレムに向かう十字軍の戦略を練っていたのかなあ・・・。城の横では、ドゥオモが後姿を見せてます。駅周辺と違って、旧市街は趣があっていい感じ。ブッラータを持って歩きまわって、くたくたに疲れてバーリにご帰還~。ブッラータの味見をした後は、さあ食事だ。今回選んだのは、素朴な地元料理を出す繁盛店。前菜は野菜のグリルやマリネが中心で、セルフサービス方式。なんと、女性を含めて、お客全員が最低2回、料理を取りに行ってました。素晴らしい胃袋!こんなのを2皿。柔らか~く加熱したフィノッキオが、おいしかったなあ。パスタは、まず、すっかりお気に入りのカヴァテッリ。今回は、いんげん豆とアサリの組み合わせ。ムール貝もいいけど、アサリもいけますよー。貝の汁がパスタにしみてる。カヴァテッリ、いんげん豆、アサリ、どれも粒の大きさは同じなんだけど、歯ごたえが全然違っておもしろ~い。 そしてもう1品は、グラノのオレッキエッテ。プーリアで初のオレッキエッテだー!グラノとは、小麦のこと。小麦のオレッキエッテ?それって普通じゃないの?と聞いてみると、正確には「グラノ・アルソ」のことだという返事。おー、これがグラノ・アルソかあ!グラノ・アルソとは、落穂のこと。落穂とは、麦を刈り取って切り株を焼いた後に、畑に残った麦のこと。鳥も食べないこの焦げた麦の穂を、貧しい農民たちは拾い集めて、毎日の食糧にしていたんですねー。ミレーの落穂拾いの絵、目に浮かぶなあ。多分、オレッキエッテも、最初はこの麦から作られていたんだろうなあ。今はどうやって作ってるのかなあ。まさか、落穂拾いはやってないよね。普通の硬質小麦粉のカヴァテッリと並べてみると、色が全然違う。で、味はどうだったかというと・・・。えーっと・・・。うーん思い出せない。期待して食べたわりには、それほどインパクトはなかったってことか、それとも単に記憶力が悪いだけなのか^^;だめだこりゃー、もう一度リベンジしないと。でも、見るからに香ばしそう。そして次は、プーリアで初めての肉料理。選んだのは、これも前から食べたかったブラチョーラ。馬肉のプラチョーラを食べたかったんだけど、この店のは、残念ながら子牛肉。 この味は、覚えてますよー。というのも、前に、見よう見まねでブラチョーレのオレッキエッテを作ったことがあって(その時の日記はこちら、実際の味はどんなもんなのか、すごく知りたかったから。ブラチョーレについては、こちらの日記に書いてます。今回は馬肉じゃないけど、だいたい分かったぞー、ブラチョーレの味。なんと、あの時作ったのと、そんなに違わない(基本的には)!こりゃ、ある意味ビックリだー。ただ、さすがに本場はトマトが格別においしいので、おいしさのレベルは大幅に違うけどね。薄切り肉をボリュームのある料理にしてしまう1品、これにもプーリアの農民の知恵が詰まってました。この店のカメリエーレは、取調べする善玉と悪玉の二人組み刑事みたいで、面白かったなあ。むっつりこわもてで黙々と仕事をするおじさんと、ウインクと白い歯の笑顔を振りまきながらサービスをする元イケメンのおじさんのコンビ。プーリアのレストランて、なぜかみんな、コメディー映画に出てきそうな、濃いキャラクター。店は常連さんばかりのようで、すごーくリラックスした雰囲気。後ろのテーブルのお客(男性のグループ)が、私たちのことをあまりにじーっと見るので、旅の仲間が、視線を無視しきれなくなって、試しに手を振ってみました。すると、なんと向こうも手を振り返してきたー。旅の仲間はイタリア語ができないので一言も会話はしなかったけど、そのあとずーっと、お互いに手を振りあって、異文化コミュニケーション。みんな爆笑で手を振り合う中、私たちは上機嫌で店を後にしたのでした~。バーリっておもしろいところだなあ。次はマテーラへ~。