サッカークリニッキ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　SOCCER CLINIKKI

　ハーフタイム。
「見たか、川口。前半２２分　スルナのPK止めたの。」
「カッコよかったねぇ。」（クリ母）
「見たよー。」（クリ）

「中田のミドルシュート見たか？」
「うん。」
「惜しかったなぁ。」
「うん。あと中村のフリーキック、サントスのオケツに当った奴。」
「あと、30cm上だったよなぁ。サントスケツでかっ。」
「お父さんと一緒だね。」
「やかまし。」

「やっぱ、ミドルをどんどん狙わんといかんな。」
「そう？」
「この前やったミドルの練習もっとしとけよな。あれ、よかっただろ。ワールドカップ行ったら、武器になるぞぉ。」
「うん。」
「眠い？」
「うん。」
「ばかもの。ここで頑張らなくてどーすんじゃ。しっかり応援しろ。この前みたいに寝るなよ。しっかり、目に焼き付けておけ。」
「目にどうやって焼きつけるの？」
「しっかり見て、記憶に残せってこと。」
「ふぁーい。」

「もう私寝てもいい？」（クリ母）
「だめに決まってるでしょ。この試合は、将来、日本代表になる日本の子供たちにとって大切な試合だぞ。クリの目に焼く付けておかなきゃ。寝そうになったら揺すってでも、見せとかなきゃ。」
「ビデオで見ればいいじゃん。」
（そりゃぁそうだけど。こいつ冷静だな、代表にほしい。）
「だめ。リアルで見せなきゃ。」
「へーい。」（クリ母）

「いいねぇ。稲本の粘り強い守備。カットしてからのフィード。いいねぇ。」
「稲本の飛び出し、いいねぇ。」
「フリーにするなよ。寄せが遅いよ。」

「クロアチア疲れてきた。あと15分。」
「加地も疲れてきたなぁ。替えろよ。チャンスだ。」
「伸二、大黒―。」
「柳沢、何でそんなところに当てるのよ。」
「出てきたぞ。玉、クロー。」
「玉田、右足鍛えておけよー。」
「大黒、ユニフォーム引っ張られても崩れるな。何があろうが、点とれー。」

「疲れている。相手も。」
「スゴイ試合だ。けど、いい試合をしても意味ない。ここでやらなきゃ、サムライブルーの名が泣くぞ。ここで日本のスピードが出せないか！」
「寝るな、クリ。」
「ふぇぇ。」

「死ぬ気でがんばれ。」とは言っても、クロアチアだって同じ。内戦の苦しみを経て大きなものを背負って必死で頑張る。これがワールドカップ。

「あー。」
「クリ。おやすみ。クリ？」
「完全に寝てるよ。」（クリ姉）


　次は、小野伸二、小笠原、中田英、稲本、中村と数えるとワントップと５MF、４バックでしょ。ワントップは、高原で始まり、大黒も巻もぜーんぶ行けー。
ブラジルに勝つしかない・・・。本気の、これが最後の、奇跡へ続く道・・・。

　おかげさまでこれからブラジルーオーストラリアを見なきゃいけない。今度の試合では、ブラジルに勝つ。クロアチアも勝つ。得失点差を考えてたら眠れなくなってしまった。