サッカークリニッキ                          SOCCER CLINIKKI

2009/10/11(日)00:30

また腰痛。そして集中。

「クリ、試合が始まったら、ケガとか、調子悪いとか関係ない。 休むと言わないで黙って試合に出るのはいいが、チームに迷惑をかけるようなら、出ない方がマシ。 ピッチの中にいる以上は、痛いだのちょっとタイムだの言えるわけないし、 誰も手加減はしてくれない。敵は逆に狙ってくる。」 「うん。」 「集中していけ。ボールに集中すれば、痛みなんか関係なくなる。」 と言って送り出した試合。案の定、動きは悪く、腰(背筋)の痛みを気にしているのは明らか。 たちまち、3点を奪われた。意気消沈。3点目の奪われ方が、悲しかった。 キックオフのバックパスを受けたボランチからさらにセンターバックのクリへパス。 そこに敵FW二人が怒涛のように走りこんできて、あわてたクリがボールを奪われゴール。 「・・・。」 それからです。自分のミスを取り返すぞという気持ちが見え始め、厳しく当たり動き回る。 後半は、Aチームが登場。緊迫した試合になったが、7分過ぎ、クリが再びサイドバックでピッチへ。 さすがに緊迫した展開ということと、負けているということ、何より先ほどの失点があるのか、 気合いが入っている。走り方などプレーに腰の痛みなど感じさせない。 「クリ、あの1点は余計やったな。何をモタモタやってたんだ?」 「・・・。」 「それまで、腰が痛い痛いって思いながらやってたろ?」 「うん。」 「けど、後半は、いい動きしてたじゃん。」 「前半の途中から、腰痛くなかった。って言うか、忘れてた。」 「後半も気合入ってたじゃん。」 「うん。前半が終わった時に、“少し休んだら、また行くから準備しとけ。”って言われて、 痛いの思い出す暇がなかった。」 「そーか。右から上げたアーリークロスもよかったぞ。」 「でしょ。結構抜けたし、突破されなかったよ。」 「今、腰は痛くないのか?」 「そーいえば、少し痛い。」 「じっとしてても?」 「うん。」 「そーか、家帰ったら、ちゃんとケアしけよ。 これが終わったら、5日間、練習もなしで完全オフだからな。」 「うん。プルプル(マッサージ)してね。」 「けど、何でだと思う?」 「何が?」 「試合が始まる前から痛そうにしてたのに、3試合目の途中から痛くなくなったんだろ?」 「うん。感じなかった。」 「正確に言うと、お前が自分のミスで入れられたあの1点のあとから、痛みが消えた。 あんだけ痛くてひ弱そーに走ってた奴が、しっかり走って当たってたじゃん。走り方から全然違う。」 「そーか。集中してたからか。あれが集中ってことなんだね?」 「その通り。ミスを取り返さなきゃっていう思いが強くて、 お前の中で、腰の痛みより試合やボールの行方の方が大きくなったら、 痛みなんか重要じゃなくなる。感じなくなる。」 「うん。」 「あの集中がいつもあれば、もっともっといいプレーヤーになれるぞ。 試合中に親とか観客のこととか考えてカッコつけたり、 腰のこととか、その他のことでもいろんな雑念を頭の中で考えてるといいプレーはできない。」 「うん。」 「ゴールすることだけを考えて、ボールを奪い、突破してシュートを打つのに集中すれば、 今日のようなプレーになる。雑念を捨てて勝つことに集中した状態がいいプレーを生む。」 「うん。」 「やっと集中って何かがわかったか。良かったなあ。失敗してみるもんやな。 コーチもあんなプレーをしたおまえをよく次の試合に出してくれたと思うよ。あのコーチ、エライ。」 「へへ。」 「あのあとのおまえのプレーを見たからやで。あそこでシュンタローになってたら、なかったね。」 「うん。」 「勝つぞっていう強い意識で強い集中力を引き出せば、痛みを超えられる。 俊輔も闘利王も、ケガしてても試合中は感じさせないだろ?」 「そっか。」 「いい経験になったなあ。 集中が何か、わかっただけでも、今日は良かった。 集中できれば、お前の力を十分発揮できるってことだ。体が絶好調なら、すごいことになるぜ。」 「うん。」 「これからの試合で活かせれば、今日、痛いのを我慢して試合に来た甲斐があったってこと。 忘れたら、意味なしやで。試合じゃもちろん、練習でもあの集中の感覚でやれ。」 「わかった。」

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