鋏の構造原理は、作用点(刃部)支点(カシメ部)力点(わらび手部)が両作用するように造られている。力点側にわらび手接点する足が指とめとして支点に伸びている。この構造については、関東も関西も同じだ。
その昔、現在と違い情報伝達が遠い頃では、各地の特色が大きく異なっていた。では、時代下る現代は、どの様な違いがあるのだろうか。関東と関西を大きく分けた二つとしたとき、大久保が関東代表、佐助が関西代表であるとしたら、どの様な特徴があるのだろうか。お互い大きな違いは、接点部分と足先部分の二点がある。

まず、大久保の特徴は、接点と呼ばれる部分が佐助に比べ割れが大きく、支点に近い。次に足が肩に行き渡る幅が関西物は、平行しているが関東物では、親指下の太陽丘がすっかり入るように接点に近い部分がしもぶくれになっている。

佐助鋏

大久保鋏

津島鋏
その他、関東、関西の間、中部圏の津島鋏がある。津島鋏は、愛知県津島市の極狭い地域に現存し、三軒の鍛冶によって生業されている。歴史は約100年といわれている。この地域でも全体の型が微妙に違うが、共通点は、足先部分が他の鋏に比べ肩に延びる足の位置が低くなっているのが特徴。
三軒ある鍛冶の造る鋏は、植木生産者に都合のよい鋏、手入れに都合のよい鋏などそれぞれの地域、それぞれの手入れ環境に合った鋏が生産されている。画像最右は、新潟三条の「型鋏」。佐助鋏や津島鋏、大久保鋏などの型をモデルに低コストで提供している。

兼由丸津島鋏

兼光津島鋏

典型的な新潟「型鋏」