カテゴリ:愛鋏 植木鋏
「型鋏」とは、佐助・大久保・津島をモデルに刃物メーカーが佐助型鋏や津島型鋏として製造側に依頼し、販売元の刻印を打ち販売するシステムをいう。現在の様にホームセンターがなく、刃物店として販売元の信用によって近隣に永く鋏が愛用されていたシステムをいう。その刃物店で購入すれば間違いない品物が手に入る地域密着型のブランド商法である。
本来の佐助鋏であれば自らの鋏を「佐助鋏」もしくは「佐助型」とは云わない。おそらく大久保鋏もいずれか本歌があったことであろう。津島鋏も製造者は、津島鋏とは云わず庭匠師鋏と云っている。つまり、佐助も津島も自らを名のることはない本物である。しかも、使う側に育てられている鋏であり、自らのオリジナルを持っていることが誇りとなる。鋏を開発もしくは製作するものは、その地域の手入れ環境がどの様なものなのか把握してなくては、オリジナルは生まれない。 先に解説したように道具の型は、関東と関西の特徴として分析したが、現在のように日本の各地が手に取るような情報化時代では、関東関西の捉え方にいささかの違和感を覚える。その好例は広島県因島で製作されている岡常3種A型C型D型の鋏だ。これらは、先に説明した要素が総て備えた鋏だからだ。つまり、現在存在する要素、佐助・大久保・津島。この三要素を満たしている型が岡常3種A型C型D型の鋏だ。 ただ、工程材が鋳物という部分は異なるが品質が鋳物なので総て同じ品質を保つことを可能にしてしまった。だからといって関東関西の地方色が薄れてしまったのがこの鋏が原因ではない。その原因は、高度情報化による流通経路や移動環境は、加速度に変化した状況が大きな原因といえる。これは、悪い事でもあれば良い事でもある。それは、失う物もあれば得る物もあるのと同じ事。それに経済状況の変化が加われば自然淘汰は必至だ。それは新たなニーズを意味している。 良い鋏とはいったいどの様な鋏だろうか。鋏の評価は、一概にこれが良いという一律の評価はない。一方では、大久保鋏が良い。といえばダメだという評価もある。結果、その地域のニーズに合った鋏がその地域で一番ということになる。なので、鋏を注文する場合は、その地域を良く知らないと造り手には伝わらない。 その地域のニーズとは、葉刈に向いている鋏もあれば、葉を切らない手入れもある。基本的に、鋏の穂先が2寸程度のものは、枝透かしや摘めるための穂先になっている。最今見る鋏の穂が2寸5分や3寸が多く、イブキ刈のように葉刈鋏が多くなっている。それも施主の好みにも影響されるが、かたくなにその地域に伝わる方法は、何かしら意味があってのこと。何故そのような手入れにするのかよく考慮して道具を選び注文するべきである。結果、使い手である本人が「型鋏」なのか園芸鋏なのか華道鋏なのか木鋏なのかを判断すべきである。岡常のよい所は、名称を「○○型鋏」にしなかったことだ。 ![]() ![]() ![]() 岡常3種の型分析をする。岡常にはA型C型D型の3種類の型鋏がある。A・C・Dがあって何故B型が無いのか?恐らくあったのだろう。何があったか今度ゆっくりうかがってみよう。 岡常のこれらは、関東鋏、関西鋏、中部鋏(津島)の特徴をよく捉えている。 A型は、関東圏の大久保の特徴がある。 C型は、関西圏の佐助の特徴がある。 D型は、関東鋏、関西鋏、中部鋏 佐助+津島+大久保の特徴がある。 これらの鋏は、皆どの様な基準で選択するのだろう。岡常は、鋳物である。硬い処に落としたり、衝撃があると折れたりクラックが入ったりする。だが、基本的にはよく切れる。当りはずれなく廉価でよく切れて私なりに評価できる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2011年01月10日 09時12分01秒
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