カテゴリ:愛鋏 植木鋏
![]() 坪田多吉金物商店075-561-4712 京都府京都市東山区東町大路三条下る南木之元町536-8 ここは、造園道具や刃物だけでなく左官道具、石道具、山林道具が置いてある。コテの種類、刷毛の種類無い物は無い。庭師必見の金物屋だ。いい鋏は、ここの親父かちゃんと選んでるから安心して買える。 京都坪田を久しぶりに訪ねたのが2010年の2月、先代の安広が亡くなった後の鋏はどんなもんかいと訪ねた時にこの鋏が目に留まった。 ![]() 京都坪田-大隈製京鋏2010、215ミリ288グラム 「それ、息子のやっちゃ~。がんばっとるで~」と牛乳瓶の底のようなメガネで薄暗い店の奥から聞こえて来た。もぅ一つは、刀鍛冶のハサミ!! どや? 「う~ん、なんかギラギラしてるね」マジに殺気を感じてしまう。 結果的には、やはり大隈の鋏をもらう。一頃よりかなりお高いお値段。当然かな、しかし随分媚びたツル手になっている。フィト感が先代と大きく違う。10年前先代の鋏は、一丁6000~8000円。高いもので12000円「はい!!どんどん、じゃんじゃん使って~」そんなところ。 土産に2、3丁は持って帰った。お安いものでもお高いものでも素気ない造りである。「いいから、これ使ってどんどん仕事しな!!ダメになったらもういっぺん買うたらええ」そういう鋏です。 ![]() いつもは、坪田でお世話になっていたがせっかくなので直接大隈さんに会ってみたくなった。なぜかというと足部分が、かなり「くね(曲がり)」て、親指の太陽丘が妙に媚びている。 あれ?こんなに媚びた鋏でいいの?媚びすぎてないか?それもこれも本人に聴いたらいい。2010年10月末に伺った。2時間は、話しただろうか、話をしてわかった。この曲がりは、「彼の優しさだ」と思う。 若い頃、彼は喧嘩別れになり、亡くなられた先代の跡を継いだ。のちに、先代のファンが多いことにビックリしたという。好きな人は、タンスの中に4、50丁はあったという。あっという間に親父の鋏は無くなり、ここにきてようやく自分の鋏が打てる様になったと云っていた。 会うまでは先代と比較し、先代の鋏のコピーを望む自分がおり、彼の人柄、鋏に対する姿勢、取り組みがこの鋏に込められていることに感銘を受けたのは私だけではないはず。 ![]() 左側、岡恒D型。右側、大隈製京鋏。 それよりか、これからの未来を見ている現在の大隈義信氏に大いに期待する。また、多くのファンが増えている。私は、客が希望する以外、めったに事前に植栽樹木を見ないし、決めておかない。注文しその日初めて対面して植栽に臨む。 それは、木を植栽することと同じように鋏も出会いだと思う。もちろん基本あっての出会い。金物店で購入すれば夫々の刻印が打たれ、新たな施主との出会いが生じる。好いも悪いも使う側次第だ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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