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2006/09/04(月)21:55

嗚呼、懐かしき「大あんまき」の味

おいしいもの好き!(459)

我が家は少し前から「和菓子ブーム」です。午後のお茶の時間に食べるおやつのメニューとして、和菓子が出てくる頻度が高まっているんですー。 たとえば先日は奈良県にあるどこぞのメーカーが作ったという「わらび餅」を食べましたけど、これはうまかった。控えめな甘味が上品で。メーカーの名前を控えておけばよかったんですけど、つい忘れてしまいました。あれはもう一度食べてもいいなあ。 ちなみに「わらび餅」というのは、私は名古屋に赴任して初めて知りました。名古屋あたりですと、夏になると「石焼き芋」と売る時のような感じで、軽トラでわらび餅を売り歩くんです。「わらびー餅、わらびー餅、つめたーいよ、おいしーいよ、早く来ないと行っちゃうよ」ってな掛け声でね。最初は何事かと思いましたけど、慣れると夏の風物詩ですね。それにしても「わらび餅」ってのは、きっと関西系の和菓子なんでしょうな。東京に住んでいた頃、わらび餅なんていうものの存在すら知りませんでしたから。その代わり東京には「葛餅」がありますが、名古屋辺では葛餅をあまり見かけません。葛餅は葛餅で、うまいもんなんですけどね。 ま、それはともかく、このところ家の近辺を経巡って、和菓子の店を探し出しては、上用饅頭だとか葛桜だとか、とにかくその種のお菓子を買って楽しんでいるんです。が、今のところまだ「これはすごい!」というお店には巡りあっておりませんなあ。どのお店も、ごく普通においしい、というところ。この方面に関しては、まだまだ調査中という感じです。 ところで、わらび餅と同様、名古屋に来て初めて知った和菓子に「大あんまき」というものがあります。すごい名前でしょ、「大あんまき」。 これは名古屋の、というよりは、もう少し三河寄りにある「知立」という町の名産なんです。ここに藤田屋という老舗がありまして、国道1号線沿いに大型観光バスが何台も止まれるような大きな店舗を持っているんですな。その他、知立周辺のスーパーマーケットなどに行けば、必ずと言っていいほど藤田屋が出店しているので、この辺に住んでいたらどうでも目にせざるを得ないお菓子なんです。 で、実際、私が最初に名古屋に赴任した時、知立のあたりにアパートを借りていたので、その頃にはよく食べたんですよ、大あんまきを。 じゃ、「大あんまき」ってのがどういうお菓子かと言いますと、どら焼の生地よりももう少し薄くてしなやかな生地で、小豆のアンコを平たい葉巻型に巻いたものと思って下さい。ま、その意味ではどうってことのないお菓子ではあるんですが。 しかしそこは藤田屋も考えたもので、この単純なお菓子に色々と変化を付けるわけ。アンコの代わりに白あんを巻く、なんてのは序の口で、クリームチーズとアンコを合わせた「チーズあんまき」なんてのもあったりする。しかしもっとすごいのが「天ぷらあんまき」という奴で、これは大あんまきを不埒にも天ぷらにしてしまったという究極のあんまきなのでございます。 で、また大あんまきの特長の一つは、安いということなんですな。一個食べるのだってかなりのボリュームですけど、これがまた一つ100円するかしないかくらいなんです。ほんとに気軽な和菓子なんですわ。だもので、私、これをよく仕事帰りに買って休日に食べたり、実家に帰る時にお土産に買って帰ったりしたもんです。 だから、「大あんまき」という言葉を聞くだけで、独身で知立のアパートに住んでいた頃のことを痛烈に思い出します。何せ初めての独り暮らしでしたし、東京を離れること自体、初めてでしたから、なんか心細くてね。でまた知立ってところが案外物騒なところで、よくアパートに止めていた車(名古屋ナンバーじゃなかったから?)にイタズラされたりして、嫌な思いもしました。ですから、そういう何とも心細くて不安な心持ちというのが、私にとっての大あんまきの味わいなんですな。 そんな知立時代からもう10年ですわ。 その後、結婚もして、より名古屋に近い新興住宅地に引っ越してから、あまり大あんまきを食べる機会も減りましたけど、何だか昔のことを書いていたら、あの懐かしい大あんまきが食べたくなってきました。ちょうど今、我が家は和菓子ブームですから、そのうちどこかで藤田屋の出店でも見つけてきて、各種大あんまきを買ってきましょうかネ。

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