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2013/07/31(水)17:33

非常勤講師の悲哀

わけ分からん(457)

 ヤフー・ニュースを見ていたら、ニューズウィーク日本版出典の記事として、以下のような一文が載っておりました。以下、引用: 早稲田大学が今春から非常勤講師に適用した就業規則について、早大の非常勤講師15人が6月、早大総長や理事らを労働基準法違反で東京労働局に刑事告訴した。原告の首都圏大学非常勤講師組合の松村委員長によると、非常勤講師は今年度から契約更新の上限を5年とする、と大学から一方的に通告されたという。  まあ、こういう話がいずれ出てくるのではないかと思っておりましたわ。  だけど、これ、早稲田大学だけの話じゃないですよ。国立・私立を問わず日本中の大学が、今、こういう状態になっているのだと思います。  だって、お国がそうしろ、と言ってきたんだもん。昨年の労働契約法改正で。  じゃなんで国はそんな法律改正をしたかと言いますと、もともとは非正規雇用者救済のつもりなんだよね。  大学非常勤講師に限らず、非正規雇用の人たちが厳しい生活を強いられているという現状がある。で、それを救うために、連続5年以上勤めている人は、正規雇用することにしなくちゃいかん! と、まあ、そういう決まりを作ったわけですな。  でもさ、こんなことを決めたらどういうことになるか、容易に想像できるじゃん?  当然、「これはたまらん」ということで、各大学・企業とも非正規雇用者(非常勤講師)を4年で切るようになるでしょうよ。  だから大学に関して言うと、今までかろうじて非常勤で食いつないでいた人たちが、その虎の子の勤め先すら、5年以内に奪われる結果になるわけよ。これは悲惨だよ~。  しかし、法律を改正する人たちってのは、こういうことが生じるだろうってことが予測できないのかねえ? そこまで馬鹿なの??  だけど、もともとの問題は、日本という国が教育にお金をかけたがらないということですよ。「米百俵」なんて嘘ばっかりだ。  国が運営費交付金(国立大)や私学助成(私大)をケチるので、大学としては、単価の安い非常勤講師を沢山雇うことでしか経営出来ないわけ。なんとかやりくりして、非常勤頼みの現状を改善しろと言われても絶対無理。物理的に無理。  だから、どうしても非常勤講師に頼らざるを得ない。もちろん、非常勤講師の先生方が苦しい思いをしているのは分かっているけれども、大学としてはどうしようもない。  で、どうしようもなくて申し訳ないと思っているところへ、先の労働契約法改正だもんね。お国としては救済するつもりで、実際には弱者をさらなる地獄へ突き落すという。  ほんと、どうして我が国の上の方って、ここまで馬鹿なのかね・・・。  私も所属先の大学で採用人事にかかわることがあります。一つのポストに大勢の方がアプライされる。履歴書を見ると、四十代、五十代で非常勤をされていたりして、このポストが喉から手が出るほど欲しいのだろうな、というのが良く分かる。だけど、実際にポストが得られるのは、大勢の中のたった一人ですからね。  こういう人事にかかわる度に、御苦労されている方々に対して申し訳なく思い、かつ、国の施政のアホさ加減に呆れるしかないワタクシなのでありますよ。 

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