|
カテゴリ:教授の読書日記
常盤新平さんの『うつむきながら、とぼとぼと』というエッセイ集を読了しましたので、心覚えをつけておきましょう。
これこれ! ↓ ![]() 【中古】 うつむきながら、とぼとぼと / 常盤 新平 / 読売新聞社 [単行本]【メール便送料無料】 この本、『This Is 読売』誌に連載されていたものを一冊にまとめたもの。1回10枚ほどの原稿だったそうですが、この長さが微妙で、エッセイを書き慣れた常盤さんにして、毎回苦労されたとのこと。 で、書かれている内容ですが、一時期秘書のように使っていた若いお嬢さんとそのお父さん(この人は常盤さんの先輩)とコンサートを聴きに行った、とか、四十年前、大学進学に際して一緒に状況し、付かず離れずの関係だった友達が心配な病気になった、とか、行きつけの喫茶店の女店主が亡くなって店も亡くなったが、女店主が元気だった時がなつかしい、とか、昔、千葉に住んでいた頃、自分で見つけて贔屓にしていた蕎麦屋に久しぶりに行ったとか、娘の運動会に行った、とか、久しぶりにハワイに行ったとか、LAに行ったとか、NYに行ったとか、クラス会があったけど、最近、死んだり身体を壊したりして出席できなくなる同級生が増えた、自分もそろそろ健康に気を使わなくちゃと思った、とか、そういう話。 これを書いていた頃の常盤さん自身が還暦過ぎだったせいかも知れませんが、何らかの形で過去を振り返る(振り返らざるを得なくなる)話が多いような気がします。まあ、これを読んでいるワタクシ自身が還暦過ぎですから、その気持ちはわからなくもない。 特に最後の方のエッセイで、前の奥さん(女優志望)と付き合っていた頃、同じ劇団に所属する俳優・女優の卵の何人かとグループ交際的な付き合いをしていたのだけれども、そのうちの一人が亡くなって、その葬儀に出席した、という話があるのですけど、そうなると当然、同じく葬儀に出席した前の奥さんとも顔を合わせざるを得ず、そういうことも含めて、常盤さんが様々な回想に浸るというのが、ちょっと印象的でしたかね。 全体として、まあ、何てことないエッセイ集で、エッセイ集というよりは「身辺雑記」といった方がいいような感じ。 ただ、じゃあ、お前、これと同じレベルの身辺雑記を連載できるのか? と問われたら、やっぱり難しいだろうと想像せざるを得ない。というのは、常盤さんはなんだかんだ言って、色々な人と付き合っているのよ。例えば、食べ物屋に行くにしても、常連と言われるほどまで通い詰めているからこそ、その店についてなにがしかのことが書けるし、その店の店主の思い出も書ける。 そういう積み重ねがあるから、身辺雑記も書けるのであって、これはこれで一つの芸と言っていいのでしょう。 ただ、この種の身辺雑記を延々と読まされると、ちょっと満腹になっちゃうというのか、常盤さんの日常に付き合わされるのはもういいかな、という気がしてくる。 というわけで、常盤さんの身辺雑記風エッセイについては、もうこれ以上読まないことにしました。ついでに言うと、常盤さんの「アメリカネタ」も、そろそろ卒業しようかな。 では次はどうするか? 常盤さんは、若い頃、アル・カポネをはじめとするギャングの世界に魅せられて、その種の本を随分沢山翻訳されたりしていたのですが、その辺りの事情を記した本は読んで置いた方がいいかも。 あと、『遠いアメリカ』やら『片隅の人びと』やらで常盤さんが描いた愛妻の姿に感銘を受けたのですが、常盤さんはその愛妻と別れ、別な女と再婚しているんですよね。その辺りの詳しい話をぜひ読んでみたい。 あと、『山の上ホテル物語』も、ちょっと読んでおきたい。 そんな感じで、計画的に常盤文学の全貌を見極めようと思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
December 9, 2024 11:41:45 AM
コメント(0) | コメントを書く
[教授の読書日記] カテゴリの最新記事
|
|