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カテゴリ:教授の読書日記
原田ひ香さんの『三千円の使いかた』という小説、結局、読んでしまいました。
いや、そもそも大誤解で、私はこの本が自己啓発小説なのかと思っていたのよ。一種の寓話で、たとえば3組くらいの登場人物がいて、それぞれがそれぞれの人生観で三千円というお金を使っていく。その使い方の差で、何十年後にはこれほど大きな差になっているんだよ、だから、お金は賢く使いなさい的な。 でも、全然違って、フツーの(何が普通かはともかく)の小説でした。御厨家の女三代、祖母・母・娘二人のそれぞれの人生が描かれ、しかし四人とも親兄弟だから当然、それぞれの人生は交差していく、その様を描いたというもの。 三世代の女たち、というのがいいんだろうね、結局。それぞれの女たちの、世代なりの悩みというのが描けるから。 祖母は祖母で、老後をどう過ごそうか、貯金を切り崩していけば最後まで何とかなるかと思っていたけど、どうも足りなくなるかもしれない。さて、どうするか、70代にして、もう一度働くか・・・なんていう悩み。 母は母で、更年期を迎え、体調が悪い。そんな中、夫は全然、家事ができなくて、思いやりも感じられない。果たしてこのまま、この人と人生を過していく価値はあるのかしら?という悩み。 娘①(姉)は高校時代の同級生と結婚して、娘も生まれたけど、夫の給料は少ない。後から結婚した友人の、豪華そうな暮らしぶりに嫉妬する気持ちが抑えられない。果たして自分の決断は正しかったのかしら?という悩み。 娘②(妹)は、最近、結婚してもいいかなという恋人ができ、彼も結婚する気があるみたいだけれども、最近、その彼に借金があることが判明。しかも、彼の親・兄弟が、悪い人たちではなさそうだけれども、自分の育った家庭環境とは全然違う。果たしてこの人と結婚していいのかしら? という悩み。 まあ、それぞれの世代の典型的な悩みというか、あるあるなんでしょうな。 で、面白いかどうかと問われると、面白くはあるんだけど、案外、重い話ばっかりで、ちょっとぐったり。基本、お悩みの話ばっかりだから。しかも、その悩みというのが、全部、ある意味ではお金がらみなもんで、余計ね・・・。 だけど、一つ言えるのは、『三千円の使いかた』というタイトルは、ちょっと違うかなと。まあ、たまに三千円のネタは出てくるけど、取って付けたような感じで、「三千円の使いかた」によって人生、変わってくるという寓話では全然ない。 じゃあ、私が読む意味ないじゃん! 私はそもそも、ベストセラーは読まない主義だっつーのに。誤解して読んじまったよ。 ということで、特におすすめという感じでもないけど、ある程度の年齢の女性が読むと、切実な話で面白いのかもね。 これこれ! ↓ ![]() 三千円の使いかた (中公文庫 は74-1) [ 原田 ひ香 ] お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
January 13, 2025 01:10:08 PM
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