6530881 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

教授のおすすめ!セレクトショップ

教授のおすすめ!セレクトショップ

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

Profile

釈迦楽

釈迦楽

Keyword Search

▼キーワード検索

Freepage List

Shopping List

お買いものレビューがまだ書かれていません。
April 1, 2025
XML
カテゴリ:教授の読書日記
日髙敏隆先生が書かれた『世界を、こんなふうに見てごらん』という本を読了し、色々考えさせられました。

 日髙先生の本は、御著書も御訳書も全部面白いのですが、この本もとても面白かった。日髙先生が昆虫の行動をじっくり観察することで、素朴な「君(=虫)は何をしたいの?」という疑問への答えを探すことから、学問への道をたどり始めたという、冒頭のエッセイからしてとても楽しい。

 で、そういう軽やかな話から始まって、最後の方は、もう文明論ですよ。人間は真理を探究したがる動物だけれども、それをやりすぎて、真理を探し当てたなどと信じ始めると大変なことになる。真理などというものは、せいぜい幻(イリュージョン)程度のものだと思っていい加減にとらえておけばいいので、科学者がやるべき仕事は、せいぜい、よりましな(妥当な)イリュージョンを探すことだと。

 で、この本のキーワードの一つは「イリュージョン」なんですけど、その過程でこんな話が書いてある。

 木の上に棲むダニがいる。このダニは、人間など、動物が発する酪酸に反応するようにできていて、森の中を人間とかが歩いてくると、木の上からポトリと人間の上に落ちる。そして触覚をつかって毛の少ないところまで這って行くと、そこで肌を刺し、血を吸うと。

 つまり、このダニには、酪酸への嗅覚と、触覚くらいしかない。そういう状況で世界を見ていると。

 だから、このダニは、「今日は風が強いな」とか「天気がいいな」とか「鳥が鳴いているな」とか、そういうことはまったく感じていない。自分の持つ嗅覚と触覚でしか、世界を感じていないわけです。

 だから、同じこの地球上の環境の中に住んでいても、人間とこのダニでは環境の捉え方がまるで異なる。同じ場所にいても、まったく異なる世界を見ていると。

 ここまでは日髙先生のお話。ここからは私の考えたことね。

 で、日髙先生のお話を敷衍すると、結局のところ、一人一人の人間も、世界を別なように見ているのではないかと。その世界の捉え方の多様さは、おそらく、ダニ同士の個体差以上なのではないかと。なぜなら、人間にはイリュージョンがあるから。

 たとえば男と女が付き合い出すとしましょう。

 男は、女の様子から見て、「どうやら、こいつは俺に気があるようだ」と思う。自分が言うことによく笑うし。自分が誘えば、食事にもつきあってくれるし。ところが女の方では男に対して「こいつ、あんまりタイプではないけど、ちゃんとした会社に勤めているし、結構出世しそうだし。まあ、ちょっとキープしておくか」と考えている。

 どちらもイリュージョンなわけですよ。で、このイリュージョンを信じて、結婚してしまう。

 ところが、後で、このイリュージョンに齟齬が出てくる。双方に「あれ、こんなはずではなかった」というのが、ボロボロと出てくる。結果、離婚。
 
 とまあ、そんなことはいくらでもある。

 だから、人間関係がどうしてうまくいかないかというと、「それぞれが別の世界を生きているから」というのが、一番、事態を言い当てているのではないか。

 同じ世界に生きているようで、ダニと人間では世界の捉え方が異なるように、人間同士も実は、一人一人、世界をまったく異なる形で捉えている。これが真相なのではないか。

 そう考えると、自己啓発思想でいう、「あなたの世界に住んでいるのは、実はあなただけ」という世界観は、実はすごく世界の実相に迫っているのではないか? 

 ・・・と、私は日髙先生のこと本を読んで考えたと。

 日髙先生のご専門は動物行動学、私はアメリカ文学・・・の中の自己啓発文学。だけど、突き詰めていくと、双方、歩み寄る地点があるのかもね。

 とにかく、この本は私にとって、目ウロコ本であったのでした、とさ。もちろん、教授のおすすめ!よ。


これこれ!
 ↓

世界を、こんなふうに見てごらん (集英社文庫(日本)) [ 日高 敏隆 ]





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  April 1, 2025 01:20:09 PM
コメント(0) | コメントを書く
[教授の読書日記] カテゴリの最新記事


Calendar

Headline News

Favorite Blog

ハーバード大学で「… AZURE702さん

フランシスコ法王の靴 ゆりんいたりあさん

YAMAKOのアサ… YAMAKO(NAOKO)さん
まるとるっちのマル… まるとるっちさん
Professor Rokku の… Rokkuさん

Comments

釈迦楽@ Re[1]:何にも興味がないと言われても・・・(04/22) ゆりんいたりあさんへ  大学・ゼミ時代…
ゆりんいたりあ@ Re:何にも興味がないと言われても・・・(04/22) 釈迦楽さん それ、よく分かります。 わ…
釈迦楽@ Re:追悼・山口崇  からの免許更新にまつわるゴタゴタ(04/21)  あー、りぃー子さん、お久しぶり!   …
りぃー子@ Re:追悼・山口崇  からの免許更新にまつわるゴタゴタ(04/21) 山口崇さん、私もファンでした。 大岡越前…
釈迦楽@ Re[1]:誕生日の新聞に載る(04/09) はちみつ先生へ  ありがとうございます…

Archives


© Rakuten Group, Inc.
X