ある日のこと。朝礼で隣部署のえらいひとが、急に文句をつけ始めた。
　いわく、「始業5分前のチャイムが鳴ってから整列している。5分前にはちゃんと整列していろ」と。
　記憶があやふやなので言葉使い等はこのままではないが、内容は概ねこんな。
　まぁ、5分前行動というのは社会人のたしなみとしてあることで、それ自体はどうこういうものでもないのだけど…それをえらい人が「えらい人として」言ってしまうと、それは「業務命令」。就業時間外の業務命令はもちろん「時間外労働」で、つまりサービス残業の強制となるわけで。

　かつて、橋下徹大阪府知事(当時)が、「始業15分前には集合しろ」みたいなことを言って(弁護士なのに！)、「それは時間外労働の命令です」と顰蹙を買ったのは記憶に新しい。まぁ、彼においては労働法制を都合良くねじ曲げるのはお家芸(もちろんこの件もむちゃくちゃな理屈でもみ消された)なので、今さらなのだけど。
　この辺はかつてあったサラ金のグレーゾーン金利みたいなもので、従業員が「自主的に」やっているというタテマエの上で成り立っているところがあるわけで。

　まぁ、せいぜい5分や10分とかのことだから、誰も何も言わないしそれこそ自主的に数分の余裕を持って集まってるけどね。ただ、さも当たり前のように、上から偉そうにいわれると反発したくなるのが人間。
　そして、こういうところに日頃の信頼関係が出るもの。
　日頃から力関係だけで無理矢理押し込むひとだからね…