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がんばる度の尺度とアイデアの独自性

 <日経新聞 経済教室「がんばり」測る尺度重要の記事から考える>
 年金をめぐる高齢者と現役世代、道路や橋など社会基盤
整備をめぐる大都市と地方、雇用をめぐる中高年と若者、
税制をめぐる富裕層と低所得者層・・・。改革の時代は、きび
しい利害対立の時代でもある。
 対立を超えて社会の進路を決めるには2つのことが大切で
ある。まず、原理原則をはっきりさせる。その上で、その原理
にてらして現状をきちんと測る。いわばルールの整備とモノサ
シの整備。この2つがそろってはじめて公平な社会は実現でき
る。
 このうち、原理原則の方はそれなりにできてきた。「がんばっ
た人が報われる」、いわば業績主義の原理だ。今の日本でこ
の原則に正面きって反対する人は少ない。企業や社会のさま
ざまな改革もこの方向をめざしている。しかし、誰が「がんばっ
た」のか、つまり各人の「がんばり度」を測るモノサシに関して
は、どうだろうか。正直かなり心もとないといわざるをえない。
 構造改革が足踏みしている本当の理由も、このあたりにある
のではないか。「抵抗勢力」ばかりとりあげられるが、もっと大
きいのは「庶民」、簡単にいえば大都市高学歴層以外の人たち
の不信感の方である。改革の名の下にずるがしこく立ち回られ
ていないか。ちゃんと「がんばり度」を測っているのか。勝ち組に
新たな既得権益をうんでいるだけではないのか。
 日本では収入や社会的地位の低い層を中心に「機会の平等」
への不信が根強い。
 それに応えるには測るモノサシをきちんと提示して説得するし
かない。今日の改革論議にはまさにそこが欠けている。

 (中略)

 財源がかぎられている以上、自治体間の業績競争ではアイデ
アや知恵の勝負になる部分が大きい。
 ところが、東京都の銀行課税を大阪府がすぐまねたように、日
本の自治体には「成功例」をコピーしたがる癖がある。そのため、
どこかが特色ある施策をうちだしても、まねが続出して、結局横
並びに終わる。
 もし本気で業績主義で競争するのであれば、財源確保や権限
移譲だけでは不十分である。知的財産権まで守る必要があるの
だ。企業同様、各自治体のビジネスモデルも保護する。例えば、
「成功例」をまねしたければ、最初に思いついた自治体にアイデア
使用料を払うようにすればよい。
 そうすれば、自治体の方も本気で頭を使わざるをえなくなる。よ
い施策を創案した自治体はそれだけ潤うし、住民も集まってくる。
一方創案できなかった自治体は貧しくなって、住民の強い不満に
さらされる。
 特色づくりが横並びに終わる愚行もさけられるし、「視察」と称し
て県議や市議が観光する口実もなくなる。うまくすれば東京一極
集中さえ緩和できるかもしれない。
(04/1/27 日経新聞 経済教室「がんばり」測る尺度重要
       佐藤俊樹東京大学助教授)
                               引用以上

 前段については共感する部分が多いのですが、モノサシは公正
なものであることはもちろんですが、それは一つではないということ
を忘れてはいけないと思います。多様性に配慮しない一律の議論
は破綻します。
 後段には疑問をもちました。
 具体例で挙げてある銀行税については、大阪府の方には申し訳
ないですが、私も当時二番煎じで効果も薄いと思いました。むしろ
東京都が銀行税を打ち出して大手銀行の反発を買ったのなら、東
京一極集中というか、企業の本社機能の東京集中に銀行だけは
逆行させるチャンスととらえ、大阪府はむしろ銀行を優遇する施策
を打ち出し、あわよくば大阪への本店移転させるようにすべきだっ
たのではないかと思います。それほど単純にはいかないとは思い
ますが。
 また、一般論としても「高位平準化」論者の私としては、横並びで
はなく、自治体発のシステムやソフトが違いを超えてスタンダード
になっていくのは上位下達と違い意義あることだと思います。 
 それに単なる物まねではワークするシステムはつくれず、ベンチ
マーキングしてこそ、その自治体でも使えるシステムになるので
すから、そこにオリジナリティなり工夫の余地は生じてくる。
 つまり「結合改善」されていくのだと思います。




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