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第3回シンポジウム記録(1)

自治体職員有志の会シンポジウムin 福岡 記録集 Vol.1

日 時:平成18年8月19日(土)13:00~17:15
場 所:福岡市「NTT夢天神ホール」

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【司会:栗山 勝典(久留米市)】

■ 開会あいさつ~開催趣旨,有志の会の活動
 
自治体職員有志の会発起人&地域世話人の一人  山路 栄一(三重県)

本日、ボランティアで参加いただく、出演者すべての人に感謝申し上げたい。
今年で3回目になる自治体職員有志の会のシンポジウムは、一昨年は愛知県高浜市で、昨年は兵庫県西宮市で、約200人、約300人の参加をいただいた。昨年の挨拶で私は、「来年は東京で400人の参加で開催したい」と申し上げたが、考えてみればこのシンポジウムは人数集めが目的ではない。変革というものは都人はやらず、辺境の地からということもあり、九州、福岡の地で開催させていただくことになった。九州の一大中心都市である福岡を辺境の地というのもはなはだ失礼な話だが、鄙の論理にこだわったとご理解いただきたい。
自治体職員有志の会はいまでこそ、全国47都道府県に500人弱の会員がいる。それなりに知られるようになってきているが、4年前に発足したときは、神戸市役所の職員と私たち他の自治体職員あわせても20~30名だった。そのときの問題意識としては、職員のレベルで担当業務、自治体の枠を超えて、議論する場がないということ。そこで、メーリングリスト、ホームページ、あるいは、志に共感できる首長さんをゲストに年に数回オフ会を開催したり、年に一回オープンに今回のようなンポジウムを開催したりして活動している。自治体を取り巻く状況は厳しいが、「北風と太陽」の話の北風という厳しい現実だけでは、本来変革を嫌う職員の意識を変えることはできない。このつらい改革を乗り越えたら、今より3倍すばらしい未来が待っている。つまりビッグ・ピクチャーを示してこそ、日々のスモール・ウィンを達成できる。
 また、私たちが運動続けるうえで、心していることは「大同小異」。これは会の活動に理解のある橋本高知県知事にいただいた言葉。反改革派は、「改革しない」という一点で団結するから君たちは「大同小異」でいかなくてはいけないというアドバイスによる。「脱お役所仕事」、「住民本位の地方自治」、目指す頂は同じでもルートは違ってよい。「排除の論理」はとりたくないと思う。
私たちには夢がある。「お役所仕事」という言葉を死語にすること。あるいは、最も効率的な仕事を意味する言葉に変えること。 このシンポジウムがその夢の第一歩になることを祈念し、期待し、そして何より確信している。
 本日は、一日大いに議論し、交流していただきたい。




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■ 各地の取り組み~活動報告~ (各20分)


● 「100年後にも誇りに思える元気な山形県」づくり

齋藤 弘(山形県知事:自治体職員有志の会会員)

夏の甲子園での日大山形高校がベスト8となったのと同様に、自治体職員有志の会においても、山形県を最後に(笑い)47都道府県全てが揃い、それぞれが元気な活動をしていると言えると思う。

政治の世界では、現職が負ける現象が相次ぎ、重く受け止めている。住民意識には改革疲れ感が広がっているのではないか。「改革の意義には賛同する、しかしあなたは我々に、具体的に何をしてくれるのか」ということを強く求め始めている、その表れではないか。
そこで、やまがた改革では、子ども夢未来指向で「百年後にも誇りに思える元気なふるさと”やまがた”」を理念に定めた。「肩が凝る」はフランス語にない言葉であるが、あるフランス人が勉強して言葉を覚えた時に肩が凝り始めた。すなわち、理念がないと感覚もないということだからである。そして、今を生きる我々が次又は次の次の世代の担い手にベクトルを向け、何をすべきかを考えるべきと考えた。

この基本的な考え方は、未来指向、ゼロベースからの再構築、協治(ガバナンス)であり、「地域力」、「基盤力」、「経済力」の3つの力の相乗効果によって発展させていきたい。
具体的には、県庁自身の改革、市町村との新しい関係、県民主体性発揮であり、上杉鷹山公の「住民は藩のために何ができるかを考えよう」の精神を活かしていきたいと考えている。

改革の成果は、財政の収支尻に端的に現れる。すなわち、財政の硬直化に対して自由度をアップさせるというのが真の命題であり、いかなる改革をしようと最後は財政的な実績を残すことが大事である。この意味で、長野県の田中知事は明確な実績を残したといえる。

目標の明確化として以下の2つがある。
1 プライマリーバランスの黒字と利払い費の均衡
県債収入=元金償還費であり、財政の持続可能な姿の確保となる。将来へのつけ、過去からのつけを減らすことが子ども未来指向には必要。18年度現在、プライマリーバランスの黒字-利払い費=約6億円で、県政史上初めて県債残高が減る見込みである。
2 財政の中期展望の数値目標化
財源確保のため、例えば遊休資産証券化等により複数年に寄与させることも今後検討している。歳出削減の一方、景気雇用面への配慮も怠れない。3年間で200億円節減し、それを景気雇用面へ振り向けることを公約の一つとしているが、昨年度は30億円、今年度は100億円実施、従って来年度は残り70億円の実施予定である。

手段の明確化として以下の2つがある。
1 全事業の義務・非義務への振り分け
義務は圧縮・効率化、非義務はゼロベースから再構築し、選択と集中の観点から男女共同参画、広域経済など4分野に重点を置いた。
人経費圧縮は36億円であり、職員定数の削減効果が大きい。特殊勤務手当ての中の本来業務に当たる部分も見直した。
2 予算還元システム(予算節減のインセンティブ)
自らの努力によって予算節減した場合に、次年度その2分の1だけ自動的に上乗せできる仕組みである。これにより、少しでも財政規律を確保し、もって自律的経営に繋がることを期待している。

知事のリーダーシップよりも職員自らの発想や積極的な取組み、県民の声が大切である。
したがって私(知事)は責任と目標の明確化として、部局長との間でインナーマニュフェストを結び、年度末に評価することになる。
また、個々の職員が今なぜ忙しいのかを全体の中での位置づけを理解することが極めて重要である。
そのため、1年間の予算編成のサイクルを職員全員に周知徹底させた。例えば、予算編成時期になると、これまでは財政課の締切に合わせただけの対応もあった。が、目標の明確化と責任の考えから、秋口に来年度の基本的方針を議会等を通じて県民に明らかにし、10月ごろから早速各部局長らとの具体的考え方、制度設計などを徹底して議論したうえで予算編成に着手してもらう──こうした流れを重視するため、いわゆる「金額がかさむ」ないしは「社会、政治的にも注目される」といった類の事案を中心に「氷山の一角」を査定する「知事査定」と言われるものは全く意味を持たないこととなった。

一方、改革は知事一人で行うものではない。寧ろ、職員が自らが自律的に手掛けてこそ真の姿の改革である。この点、組織経営自体が「頑張った人は報われる」、従って「自ら改革を推進したい」という組織風土になっていなければならない。この点、人事評価システムの構築は重要だ。「普遍的で自律した組織経営」を目指したい。

そのためにも重要なのが県庁の意識改革。その具体的仕掛け、仕組みとして、「県庁いっしん(一心、一新)運動」、「夢未来提案制度」を実施している。

ところで、最後に我々が共通して考えなければならない点を一つ──これば、本格的人口減少社会を迎える今日、男女共同参画は、イデオロギー面ではなく、経済面、換言すれば今後の豊かさの観点から、極めて重要である、という点。すなわち、山形県の人口は、、向こう30年間で122万人から100万人程度まで減少、つれて労働人口も65万人から50万人前後に減少すると見られている。このため、山形県のGDPは4兆円から3兆円に下がることが予想される。そこで、労働力率での男女差を30年かけて均衡化するよう、すなわち男女共にイキイキと働ける環境を整備することにより、実は県内GDPは反対に6兆円へ上昇すると算段することができる。県民1人1人が能力を発揮することで少子高齢化社会を乗り切ることができると考える。

なお、私は1年半前の県知事選挙で掲げたマニュフェストをこのたび自己評価した。全体としては及第点だが、まだまだ本格的に取組まなければならない点が多い。こうあったらいいという忌憚のないご意見を伺いたい。


● 横浜に改革の火種を!
横浜火種の会(横浜市職員自主研究グループ) 前田 慶美

1 はじめに~「横浜火種物語」~
私も有志の会の会員であり、いつもMLでみなさんの活発な意見交換を拝見させていただいている。みなさんにお会いできて、とてもうれしく思っている。
「横浜火種物語」ということで、私たち、横浜火種の会の活動内容を報告させていただく。齋藤知事から山形県の改革のお話しがあったが、これからの話も山形県が生んだ名君、上杉鷹山と深い関わりがある。その齋藤知事のすぐ後に話しをさせていただき、これも縁だなあと感慨深い。

2 横浜火種の会とは?
自分たちを庁内NPOと呼んだりもしているが、横浜市役所の改善活動をすすめていくための自主活動グループである。目 的-横浜市職員の意識改革の火種を具体的な取り組みを通して広めること。会 員-原則として職員。しかし、すでに外部会員も参加いただいている。特別に職員であることのこだわりはない。コンセプト-「おもしろく。だけどまじめに。」
自主活動に無理は禁物。できることを、おもしろく、だけどまじめに、続けていくこと大切。一番大事なのは、楽しいと思う活動。楽しんでもらう活動をすること。

3 火種の会のはじめ
どうやって会が産声をあげたか。それは、一通のメールが、82名の職員に送られてきたことから。「私たちは上杉鷹山の改革を学んだ。鷹山の改革や思いを理解しているメンバーが継続的な活動を行ったら、横浜市役所を変える大きな原動力になるのは間違いないだろう。」そんな思いのこもったメール。それに呼応したのが、現在の「火種の会」の会員である。
横浜火種の会のその「火種」となったのが、「なせば成るツアー」。童門冬二氏の「小説上杉鷹山」を読むことを宿題に、16年12月に1泊2日で実施。83名、バス2台で片道6時間かけて米沢へ。「なせばなる。なせねばならぬ何事も。ならぬは人のなさぬなりけり。」この鷹山の有名な言葉からツアーの名前をもらう。横浜市役所には、改革が必要だという熱い思いをもった実行委メンバーが手作りでつくりあげたツアー。

4 火種の火種~「なせば成るツアー」~
対象は、横浜市職員全員。目的は、改革の火種を横浜へ持ちかえること。
小説のなかで、鷹山が冷え切った灰のなかに小さな残り火を見つける。火種は、鷹山の改革の理念に共鳴し、協力した部下のことであり、それぞれが持ち場に散っていき、そこで他の者の胸にも火を付けていく。「その火が改革の火を大きく燃え立たせるだろう」と鷹山は考える。それが、改革の火種である。
コンセプトは、「遊ばせません・休ませません」お昼の時間は15分、買物の時間もなし、バスの中でも休みなし。とにかく鷹山について、改革について学ぶ。相当なハードスケジュールを強行した研修旅行だった。参加費は、もちろん参加者の自腹。ツアー実行委員の頑張りで、2万円という手頃な値段で参加できた。
ツアー終了後に行った、アンケート結果。「ツアーに満足しましたか?」‐満足・やや満足が98%、不満が0%。「改革の火種は持ち帰れましたか?」‐回答者の92%が「改革の火種は持ち帰れた」と答えた。自由意見としては、「自分を見直すよい機会となった」「火種を絶やさないよう、できることから継続したい」などといった、今後それぞれの職場での活動が期待できるような、前向きな意見が寄せられた。

横浜市長に中田が就任してから、私たちは「市民のための市政」を目標に、努力と現状の変革が必要とのメッセージを受け取っている。私たち職員は、「変わる」のではなく「変える」のだと。
このツアーに参加して、横浜市には、こんなにも前向きで、熱い思いを持った先輩方が、本当にたくさんいて、皆がそれぞれに頑張っているんだという事実に、大変感動した。そして、勇気をもらった。何より、あの場所に居合わせる事ができたことは、すごい幸せだと感じた。
なせば成るツアーから横浜火種の会結成までの経緯は、地方自治職員研修 平成17年5月号、6月号にも掲載。ぜひ、ご覧頂きたい。

5 火種の会の活動方針
1改革を志す人たちの火種を絶やさないこと 2火種を増やすこと 3火種を持つ人たちの緩やかなネットワークを築くこと。 これを、おもしろくて元気の出る様々な仕掛けを通して実現していこう!
「おもしろく」、だけど「まじめに」、「できること」を「できる範囲で」無理しないこと、人と人との温かい心の交流を大切にする。こんな事を考えながら、活動を行っている。

6 火種の会の活動内容
1意識改革を後押ししてくれるような元気の出る講師を招いての講演会、意見交換会。 2パーティーやツアーなど楽しい、だけど学びのあるイベント。 3他都市の職員グループとの交流。(たくさんの刺激を頂いている。) 4活動ビデオの作製、「火種ニュース」の発行などの広報・普及活動。 5社会を元気にする活動への参加。

7 火種の会の活動報告
1 「ハマリバ収穫祭」での発表・・・横浜市役所の改革事例発表会「ハマリバ収穫祭」で、なせば成るツアーの展示発表を行った。横浜火種の会が、一番最初に行った活動。それから、改革事例に「火種賞」を授与。ちなみに、「火種賞」の副賞は、豪華「米沢牛」。火種とは切っても切れない縁のある、鷹山改革の地にちなんで。
2 米沢市との交流・・・なせば成るツアーにより、米沢市の皆さまと懇意に。昨年6月「さくらんぼツアー」。休日にも関わらず、米沢市役所の皆さまに、市内をご案内いただいた。本当に親切で優しい方ばかり。活動方針である「人と人との温かい心の交流」の一番の事例。
10月1日に開催された「全国まちづくりフォーラム」では、横浜市長中田が米沢を訪れ、改革について講演。火種の会では、フォーラムの出席、その後の懇親会や翌日まで米沢の方と語り合い、それぞれの改革推進を誓う。
3 札幌市との交流・・・なせば成るツアーについて書かれた「地方自治職員研修」がきっかけで、札幌市市役所改革セミナーで、「なせば成るツアー」と「横浜火種の会」について、話をする。
それがご縁で、冬に、火種の会札幌ツアー。有名な札幌市コールセンターの見学、災害時のコールセンター利用についての学習、意見交換会での議論。歌ったり、おいしい物を沢山頂いたり。とても充実したツアーに。 
他の自治体の方とお話することは、市役所の中だけにいると中々見えてこない「外から見た横浜市」を知る、最適な機会。新しい視点に出会えたり、他都市について学ぶ事ができるだけでなく、逆に横浜のことをもっと勉強するきっかけにもなる。
4 「有志の会」との出会い・・・縁が縁を呼ぶとは、こういう事。札幌市の池上さんの紹介で、東京で開催された自治職員体有志の会が主催する「中尾英司氏とのオフサイとミーティング」に参加。ここで、三重県の山路さんと知り合えたことが、今回の活動報告の場に招いていただくきっかけとなる。
人と人とのつながりは、素晴らしい。最初の一歩さえ踏み出せば、そこから、更に更に輪が広がっていく。そこで頂いた元気が、次の日からのパワーにつながっている。
5 市民活動への参加・・・横浜火種の会では、市民活動にも参加。その一つが「ネット社会と子どもたち協議会」。平成16年6月の長崎県佐世保市で起きた小学生による同級生殺害事件。インターネット上のトラブルが事件の一因とされたため、当初はネットの問題が大きく取り上げられた。これを契機に、新たな危険から子どもを守る「市民ネット」が誕生。それが、「ネット社会と子どもたち協議会」。今年2月11日にフォーラムを開催。火種の会のメンバーは、スタッフとして参加し、フォーラムを支えた。こうした市民活動への参加により、ネットワークを広げると共に、市民の方から見た市役所・行政の姿を学んでいる。
6 講演会の実施(市役所内部の業務外研修)・・・昨年夏には、「横浜市改革エンジンフル稼働」の著者の一人であり、横浜火種の会のメンバーである横浜市立大学教授の南学先生の講演会を開催。先月には、上杉鷹山の改革は失敗だったという視点から、御茶ノ水大学の中田邦臣先生の講演会を開催。
どちらも、「おもしろく」だけど「まじめに」を忘れない。集まった皆さんと、熱く語り合う中で、いつも元気をもらう。それが、職場へ戻った際に、エネルギーとなり、また頑張ることができる。
「火種の会」の活動の中でも、一番大切にしていきたいと考えている部分である。

8 最後に~火種の会の目指すもの~

■ 点から線へ、線から面へ・・・人ひとりの火種を結び、大きな力としていくためのシステムづくり。人は人を呼ぶ。その好循環を、どうやって大きな力として市役所改革につなげられるのか、もっともっと考えていかなければ。
■ 自主的に、自発的に・・・できること・やりたいことに、自ら進んで取り組める仕組みづくり。  企画を作り、仲間を集めて実施する。それをくるくる回していける仕組みを考えていきたい。火種の会での、こうした楽しい企画作りは、非常に学ぶ事の多い経験。積極的に、参加することが、自分を磨き、育ててもらえる。火種の会は、そんなグループでもある。
■ 知ってもらう 触れてもらう・・・火種の会会員間の情報共有手法確立と、会から外部への積極的な情報発信の仕組みづくり。他都市の方に、「火種の会の野望」を聞かれたとき、個人的な意見として、「横浜市の中だけでなく、みんなに火種を広めること」と答えた。そのためにも、火種の会について、いかに知ってもらうか考えていかなければ。

まだまだ未熟な点ばかりの横浜火種の会。色々な問題にぶつかり、悩みながらも、楽しい活動を目指して、頑張っている。
このシンポジウムをきっかけに、皆さまとますます交流を深め、そして、火種のネットワークが全国にできたら、とても素適だと思う。


● なぜ、自主的に活動するのか?

Now For Future!!(福岡市職員自主研究グループ)  的野 浩一

NFFは、よりよい市民社会の実現に向けて活動、研究している福岡市役所職員の自主研究グループ。地域活動やボランティア活動を行い、市民と一緒に汗を流したり、シンポジウムや講座の開催、市民団体との交流や、これらの活動の情報を発信したりしている。

設立のきっかけは、九州大学大学院生と共同研究をする研修に参加したメンバーが役所の研修だけでは終わらせたくないと、自主的に研究を始めた。このときのテーマは「コミュニティの自律経営」だったので、いまでも、それに関連する分野が主な研究テーマとなっている。

これまで、一市民として、旧来からある地域コミュニティやNPOの中に入り、活動に参加。この写真は、希薄になった地域コミュニティを活性化しようという取組み。親同志のコミュニケーションの形成をも図っている。
市内NPO の運営にも参加している。事業収入と人が限られているなかで、互いに助け合いながら、根気強く続けられている。やはり、現場に入り一緒に汗を流すことで、熱い思いをもった方々が多いことをナマで感じ取れた。そして、これらの経験は各自の職務においても活かすことになる。予算がない、人がいないといっても、市民活動の現場は、比べものにならない。

また、市民と行政職員が語る場合は、決して本音で語る時は多くなかったように思っていた。そこで、市民と行政職員が本音で語る場として、シンポジウム「合体フォーラム.本音でトーク!はっけよいコミュニティ」を開催した。
パネリストに本音を出させて戦わせようと、市民団体側、行政側とも他県からお呼びした。会場は大いに盛り上がった。

活動を通して、行政職員も市民も「協働」について悩んでいると感じた。よくNPO向けの協働講座があり、また行政職員の研修などでも「協働」が取り上げられているが、市民と行政職員が共に「協働」について考える場とはなってないようで、それなら行政職員も市民も対等な立場で、肩を並べながら会する講座を開催してみようということで、「協働講座」を開催した。

また、大学や高等専門学校との交流の他、各地の組織を訪問したり、意見交換している。

市役所内では、私たちの研究の報告会を行っている。私たちが経験したり、調査した市民活動や、行政の事例等の報告をすることが多いが、新人職員を相手にCMやポスターなど広告を元に、チラシ、キャッチコピーを作る、「プレゼン講座」も開いたことがある。企業の広告はその後の売り上げUPという明確な目標があるため、それに学ぼうというもので、ジャパネットたかたのCMや浜崎あゆみポスターなどを題材にして企画した。

また、NFF以外にも、目的を持った活動で汗を流している他の自治体のグループもあり、交流会もした。個人がグループを結成することで視野が広がるのと同じように、グループどうしが交流すれば、また勉強にもなると考えている。

最後に、自主的な活動の効果について。自主研究で成功した企業の例としては、Googleが挙げられる。googleでは、「エンジニアは就業時間の20%を必ず自主研究にあてなければならない」という規則がある。この自主研究から、さまざまサービスを開発し、市場で大ヒットをさせ、成長していった。多くの企業にも「自主研究制度」がある。それは、既存の業務ばかりに携わると、新しい技術や、時代の変化に触れる機会が少なく、結局ライバル企業や消費者からおいて行かれると多くの企業はわかっているからだ。

「就業時間の20%」についてGoogle創業者の一人ラリー・ページはこういっている。
.「『就業時間の20%』で重要なことは、あなたが上司にNOと言えることだ。これは職場のダイナミックで本当の変化だ。誰もあなたに新しい試みをしてはならないとは言えなくなる。決してあなたが気晴らしを得ることを意味しているのではない」

私自身は、社員が、既存の業務に席をおきながら、部分的に、やる気のある業務に堂々と携われるということに意味があると思っている。最後に、自主研究や自主活動をしたときの収穫を3つのキーワードにまとめてみた。
1 視野が広がるということ
2 組織をまとめる力を養うことができる
これは、自主的なグループという必ずしも属さなくてもよい組織なので、ちょっとでもまとまらないとすぐに空中分解してしまう。その中でどうやってグループを運営していくかということになる。いろいろと組織運営についての研究がされているが、やはり、人間として、ちょっとしたメンバーの気持ちの変化などに気が付けるかできないかなどということにかかってくると思う。
3 市民との交わり方の意識が変わるということ
業務として、市民活動に飛び込んでも、組織という鎧をきたままの状態。一個人として、丸腰で交わって、市民活動の苦労や現場の課題が見えてくるもの。

ぜひ、みなさんも自主研究に取り組まれて下さい。そして、ぜひ交流しましょう。


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■ 基調講演

『あなたは変革の担い手となりえるのか? ― 今、自治体の危機を考える』
木佐 茂男教授(九州大学大学院法学研究院)

< 講 演 聴 講 録 >

参加者を代表して、宮崎県野尻町の職員である野口健史が、以下のとおり、基調講演の感想をご報告させていただきます。
 
 今回、福岡で開催ということもあり、初めてこの会のシンポジウムに参加することができ、感激する反面、演題にある『あなたは変革の担い手となりえるのか?』という言葉に多少の戸惑いを覚えながらも、これから自治体職員として、どのような心構えで行政経営に臨んでいくべきか、という自分なりのテーマを設定し聴講しました。
 会場はほぼ満席でしたが、開催地である福岡市の職員の参加について、講師より挙手を求められたが、僅かな数でした。私も単独で参加しており同僚は誰も来ていませんでした。
 講師からは、「そのようなものですよ。」と説明がありましたが、私も同感でした。
 市町村合併問題が一段落し、合併したまち、自立を選択したまちと様々な状況があるようで、現在の流れから行けば、行政組織はますますコンパクトになり、代わってコンビニやその他機関が業務を代行していくでしょうと説明がありました。そのことは想像に難くないが、それを代行する機関としてATMなどを例えられたことには、思わずうなずいてしまった。現在でも臨時職員などにより行政事務が支えられているが、今後ますます加速し、コンビニでアルバイトの高校生がその業務を担うとなると、現在の我々の業務の価値そのものが問われる時代もそう遠くないと納得しました。
 
 続いて、外国の事例を紹介されましたが、日頃不勉強な私にとっては、聞くこと全てが、初めての内容でした。
 スイスにおいては、公務員制度そのものがなくなり、市民が交代で業務を担当するというシステムが出来上がっているということで、現在の日本の既成概念を根底から覆す内容でした。まさに住民自治の仕組みが熟成しているんだなぁと、感心することしきりでした。
 また、ドイツにおいては、公務員制度はあるものの、優秀な職員養成のための学校があり、卒業できないものは職に就けないという、合理的な仕組みがあることや、議会についても若い世代から、選挙や議会運営に取り組むことが実現しているということでした。

 最後に本日の演題である、変革の主体になり得るのか?というテーマについてですが、そもそも西洋では歴史的に見ても、幾度かの市民革命を経て現在の国家を形成しており、日本においては、それほどの革命と呼べるものはなく、官と民といわれるように上意下達の構造が連綿と続いてきているのではないでしょうか?
 そのような中で、市民主導での改革を求めるのは望み難く、また改革とはそのような趣旨のものでもないと思いました。
 それでは、官主導で改革を行うのか?という疑問が沸いて来るのですが、そこに民意が存在し得るのか?そんなことを考えているときに思わずひらめいたのが、“協働”の文字でありました。ごく一部の“変わり者”である我々有志のメンバーが、オセロのように周囲に伝播し黒を白に反していく、各地の住民の中にいる“よそ者、若者、馬鹿者”を筆頭に大きなうねりの中に巻き込んで変革を起こしていく時期に来ているのではないかと、強く感じました。

以上、駆け足での感想になりましたが、このような講演にはやはり自ら時間を作り、足を運び自分の五感で感じ取ることが重要であろうと思いますので、これを読まれた皆様には、ぜひ次回の米沢、またその次の会場でお会いできるまでのお楽しみとして置いておきたいと思います。





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