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第4回大阪シンポ(パネル2)

コーディネーター山路)第2ラウンド目は、いよいよ本題に入っていきたいと思います。本日のシンポでも基調講演で地方分権改革推進委員会委員長の丹羽さんからもお話がありましたが、地方分権改革が成果を上げるためにはいかにして市民、住民の方の関心を呼び起こしていくかにかかっていると思います。というのは税の非報償性により住民としてはよりやすい負担でより大きなサービスを受けることができればそれを供給する主体が国でも自治体でもいいわけだからです。 そこで自治体としてはニア・イズ・ベター、つまり住民に近い自治体の方がよりニーズにあったサービスを提供できるということを示していく必要があります。みなさんには、自治体―首長が、議員が、職員がどのような志、ビジョンを持ってフォア・ザ・パブリックのミッションを果たしていけば、やはり身近なことは税財源をもって自治体にやってもらおうということになるのかということを、これもお一人5 分でお願いします。
今度はまず絹川さんからタックスペイヤー(納税者)としてまた、NPO 活動を通して自治体に望むことをお聞きしてから順次、他のみなさんにご意見を聞いていきたいと思います。では絹川さんお願いします。
絹川さん)私は、神戸の西の端の西神ニュータウンっていうところに住んでいるんですが、このニュータウンに5万2千人が住み、私の住んでいる竹の台小学校区には、9千3百人が住んでいます。
今、地域団体のメンバーとの間でブラックユーモアが流行っています。竹の台に城壁を巡らせ独立国にして、区役所とか市役所から税金を徴収に来たら、鉄砲をぴゅんぴゅん撃って、帰れ、帰れ、というような話です。我々の払っている税金と我々が受けている行政サービスのアンバランスがあ
まりにも大きすぎるため、自分達のことは自分達でしようという意味合いの笑い話です。勿論、行政の役割は、税をいったん集めて、再分配するのが、権力を持つ行政の最も大きな仕事です。そうであれば、納税者が行政に対して言う真っ当な要望や依頼に対して、「いやいや、これはこういう規則があって、こういう要綱があって」という返事だけは止めていただきたい。自治体と納税者の関係は、企業と顧客の関係に近い訳で、住民感情として得心できる言い方があるはずです。
レジュメの18ページを見てください。2項に「呻吟する地域」と書きました。ざっと読んでみますと、「地域には、単位自治会の上には自治連組織があり、一方では、行政が戦後育成に努めてきた、いわゆる、テーマ型のコミュニティ組織が学校区単位に存在し、市民個人を相手にした「○○推進員」制度などは掃いて捨てるほどある。縦方向の自治連は単位自治会を支援するどころかこれを酷使し、横方向のコミュニティ組織や「○○推進員」制度などは、地域の力量も考えず、行政の部局の数だけ地域に存在し、地域はその消化に追われている。例として、防犯関係組織を挙げたが、この種の組織林立や重複する各種委員制度は、福祉、防災、環境など多くの分野に見られる。
スクラップ・アンド・ビルドの調整役は一体どの部署なのか」という問いかけをしました。この中で、例えば防犯関係の委員を見ていただくと、神戸市の推進員、県の推進員、警察、それから国まで入ってくるんですね。市役所の方に聴きますと、「いえ、それは県の制度ですから、国の決めたことですから、私ら関係ありません」って大抵の方がおっしゃいます。
屋上屋を重ねる、このような地域組織や制度をなぜ皆さんは疑問さえ覚えずに次々に作ってこられたんですか。昨日、子育て支援の相談窓口の件数を数えましたら、なんと、違う組織で8団体もありました。そんな状況の中で、やれ意識改革だ、やれ組織改革だとよくも言えたものです。そん
なことを言う前に、企画的な部署が調整に入り、これはリストラしますとか、あるいは、神戸市と県と国が調整して防犯組織はもっと一元的に集約しようと、なぜしてくれないんですか。隣の課のやっていることだから知りません。県のやっていることだから知りません。皆さんはいつもそういうふうに逃げてしまいます。コスト的にみても、こういった地域組織や制度のメンテにどれだけの職員が関わっていると思いますか。組織や制度を簡素化すれば、その分人件費も削減できるはずです。この程度のことができないで、やれ税収不足だ、やれ財源がないと言われたら、我々にしたら、まったく頭にくるような話です。レジュメの19ページを見てください。とはいいながら、どなたかから、丹羽さんへの質問にもありましたように、住民も「文句たれ」が多いです。住民の側にも「行政依存的、地域エゴ的」というものがいっぱいあります。高度経済成長期に、行政は住民を慰撫する政策を乱発してきましたから、住民がそれに慣れてしまって、いまだに行政に対して「ああしろ、こうしろ」言ってくる。自治体職員の皆さんは、エゴイスティックな住民に対して、ここは是非ガツンと言ってください。どなたかの発言の中で、議員を通じて言われたら、特別扱いせなあかんとおっしゃっていましたが、それこそ、口利き禁止条例とかを作って、すぐにその内容を公表すればいいじゃないですか。何でそれをしないんですか。神戸で実際にあった話ですが、市道の上に空き缶が捨ててあって、近所の人から「この空き缶を取れ」と電話がかかって来た。電話に出た市職員が「家の前にあるんだったら、そちらで回収してください」と言ったら、先方は、「神戸市道やから、お前らが来て処理するべきや」と強硬に言い張り、わざわざ担当の人が二人、車に乗って空き缶を取りに来たんですよ。
そういうノイジーマイノリティーを相手にするのではなく、先ほど言ったように、広聴情報の分析などを通して、今の市民の市民性がどういう風に変化しているのか、何を住民が問題にしているのかを、データや資料でもってきちんと確認して、コミュニティ政策の大きな方向性を出していただきたいと思います。 同じページの4項で、信頼をなくしているものの事例を二つ書きました。ひとつのケースである「たらい回し」では、最近は、ワンストップサービスを心掛けようとする職員が何人かいらっしゃいますが、そのためにあちこちに電話をかけようとしたら、上司や同僚から「お前、なんでそこまでする必要があるのか」と言われるから、ワンストップサービスに繋がらない。そういう部分にこそ成果主義、成果指標が反映されるべきです。要は一生懸命住民の方を向いて仕事をしている職員に対して、「お前、余計なことをするな」と言うのは、もう、これからの行政の姿ではないと思います。行政の縦ラインの弊害もレジュメに書きました。しかし、もう諦めました。縦ラインは縦ラインのままで結構です(笑)。結構ですが、縦ラインの人も、ちょっと横のラインの方を見て仕事をしていただきたいと思います。せめて、部の中の仕事くらいは知っていただきたいと思います。以上です。
コーディネーター山路)次に職員代表の前城さん、沖縄で地に足のついた活動をされてみえますが、地域の発展、組織のビジョン達成にいかにして貢献していくかの視点からお願いします。
前城さん) のんびりしていました。2番でしたね。《笑い声あり》
先ほど、丹羽会長の方からもありましたが、今、国の方では、財源と権限の委譲のために、いろんな取組を始めようとしていますが、省庁が抵抗するのが、規律密度の緩和です。これは、恐らく簡単にはいかないはずです。しかし、方向性は示されていますので、権限、財源はいずれ自治体に戻ってくる。これは、当たり前だと思う前に、じゃあどうするかといった場合、先ほど、ニアイズベターの話がありました。私も、大切だと思います。これから自治体の住民が、行政がどれほど頑張っているのかを量るには、住民が不安を感じている、あるいは、課題が出ているものを洗い出して、それを解決する政策を立案し、住民サービスとして提供できるかにかかっているんですね。これができるのは、最先端で仕事をしている市町村です。ですから、私は市町村職員で良かったなと思っているんです。国、県の職員はフィールドを持っていませんから、どんなにやりたくてもなかなかできない部分があります。ですから、私は、南風原町の3万3千の町に仕事をして良かったなって思っています。
先ほど、コミュニケーション能力とファシリテーション能力とコーディネート能力って言いましたが、コミュニケーション能力は対話ですから、地域に出向く勇気さえあれば行けるんです。
しかし、これがなかなか難しいんですよ。石を投げられるから、なかなか行けないんですよ。ただ、これは勇気の問題ですから、多分できる。
次の、ファシリテーション能力は、どうしてもスキルが必要です。われわれ南風原町は、北海道ニセコ町にならって予算説明書を作っています。これは、実施計画のレベルに上がっている予算は、写真や地図、グラフなどを使って住民に説明できるようになってます。ですから、簡単なものは、私でも持って行って、住民から聞かれたら説明できるようになっています。もっと突っ込んだ話を聴きたいという場合、出前講座という制度を作っていまして、住民が、よく知らない、聞きたいというところがあれば、出かけていくという体制を作っています。ただ、住民に納得していただく説明をするには、財政を含めて自治体の実情を俯瞰的に見て説明できる職員をどうしてもつくっていかないといけないと、私は思っています。これには、時間がかかります。しかし、財源、権限が委譲されるまでには時間があります。5年以上はあると思いますので、この辺りでしっかり、この点は構築しないといけないと思います。ファシリテーション能力には、このような知識と経験が不可欠です。
もう一つ、コーディネート能力は、今、地域に出向いていってどのようなまち作り団体があるのか、どのような能力を持った住民がいらっしゃるのか、この辺りの情報を持っておかないとコーディネートできないんです。机に座っているだけでは情報は集まらない。ですから、最初の、コミュニケーション能力が、先ず、最初です。で、出向いていくとですね、いろんな苦情も聞かされますが、気づかされるんです。ああ、こんな知識や能力を持った住民がいるじゃないか、福祉に強い住民がいるじゃないか、教育に強い住民がいるじゃないか。その時に、さっき言ったファシリテーション能力で説明するんですよ。町の教育は今このような状況です。このような課題があります、でも、財源がこうです、どうしましょうって、一緒に考えてくださいって言うと、住民は考えてくれます。一緒に解決策まで考えてくれます。それが、今回の総合計画を作ったときに私が実感したことです。全部が解決できたわけじゃありません。当然、課題として、大きな予算がかかるものがあるので、そのまま横滑りに次年度に送っているものもあります。しかし、先ほど言ったような「対話」があればですね、少しずつ進んでいきます。この「対話」の積み重ねが、さっきのファシリテーション能力やコーディネート能力に確実に繋がっていくので、先ず
は、地域に出向く勇気。職員をだましてでもいいから地域へ連れて行くとか、そういう方法が必要ではないかと思っています。ただ、南風原の方では、3万3千人の町で2カ年かけていろいろな試行錯誤で進んできましたが、まだ、一部の住民と一部の職員の実践でしかないので、これをどうやって、組織の中でもっと広く構築していくか、それが大きな課題です。今日も、この総合計画と予算説明書と、もう一つは市民性教育に関する子ども議会の冊子も持ってきましたので、総合計画にこれから取り組むという方、是非お持ち帰りください。私、これ持って沖縄に帰ると2キロぐらいの重さなので大変です。是非後で交流会のときにでも私にお求めください。よろしくお願いします。以上です。
コーディネーター山路)次は民間企業それも華やかな世界から自治体職員になって、また、アカデミックな分野に進まれた国枝さん、ご自身のご経験も踏まえてお願いします。
国枝さん) 自治体職員であったときのことを、もう少しお話をさせていただきます。 2003年に、民間人3名が、奈良県に入りました。二人の方は男性です。私は、新しい職場に対する大きな期待と一抹の不安を持って入りました。 県庁のような巨大な組織に、私一人が立ち向かっても何ができるのかなという不安はありました。 この4年間、どういう気持ちでいたのかなとお考えの方もいらっしゃると思いますので、ちょっとここで吐露させていただきますと、民間ではこういうふうにしていたのにとか、もっと効率的な方法があるなとか、随所に感じたことがあります。実際にそれも申し上げました。
一方で、既存の公務員組織の中でスムーズな連携を取ろうとする、その方がもっとスムーズに仕事が運ぶなと考える、いわゆる自分自身の中での葛藤ですね。そんな4年間であったという気がいたします。
暫くすると、各部署に非常に意識の高い、そして行動力のある人が、職員がいるということが自分でも分かってまいりまして、そういう方とできるだけ連携をして仕事を進めるというノウハウを、私なりに身につけていきました。
例えば、広報ではどういうことをしたかというと、民間での手法が、すべてが通じるかというとなかなかそうはいきませんが、できるだけ基本的な部分、私の持っているもの、民間で培ってきたものをすべてお渡ししようと、できるだけ組織として活用していただけるよう携わっていました。
もう一つ気付いたことがあります。
公務員の社会と、民間の企業社会とでは、価値観がかなり違うなということに気付きました。職員にお話を聞くと、報酬には関係なく、地域のために自分は一生を捧げるとか、今ではこの職業を選んで良かったと思っているということをおっしゃっている方が非常に多かったです。私の上司は、それを体現しているような方でした。
私には、県の職員になってみなければ分からなかったことがたくさんありまして、志を持つ方と働けたことが非常に崇高な感じもしましたし、とても貴重なことであったと、今ではそういうふうに思っております。ですから、皆さま方も、当初、公務員を目指したときの志を、是非、辞めるまで、一生ですね、持ち続けていただきたいというのが私の今の気持ちです。以上です。
コーディネーター山路)次に石原町長、首長の立場からご自身のマニフェスト達成のため、職員に望むこと、また、立場が変わりましたが、議会に望むこと、住民にお願いしたいことも含めてお願いします。
石原町長)ちょっとプレッシャーをかけられてますけども、まあその議会との関係ということなんですが、県議会、都道府県議会と市町村議会も、これまた役割が違うんだろうと最近思っています。もしくは政令市の市議会も都道府県議会と同じだろうなあと思っています。うちは4万人の町で町議会が21名おみえです。で、まあ何をやっているのかなあというふうにしてずっと思ってまして、県議会議員の時にも思ってました。で、町長になってからも、ああ、そんなんかなあとこう思うわけですね。町長という立場で町議会と関わる上で私が今何を心がけてるかといいますと、全部机の上に上げましょうよっていうことだけを言ってます。で執行部が、課長さん連中が一番嫌がりました。
「町長、まあまあまあ」と。「そんなん出したらえらいことですよ」と。こうなってるんですけれども、私はネゴをしない、で人の言うことを聞かないということで有名なんですが、オープンでやりましょうと言うのです。ある町長さんから伺ったのですが広報紙、まあどこの自治体にもあると思うんですけれども、その町の議員さんが広報誌の紙の値段が上がりましたので契約をし直してください、ということを言われました。年間単価なんぼです、と決まっています。紙代上がってきたから変えてください、町会議員さんがお見えになって1時間ぐらいねばられたそうです。
それはまあ私は報告を受けたんですけれども。ほかにも色んなことがありますが、「それオープンでやろうよ」と、町会議員さんに本会議場でやってもらおうと。どっちが正しいかやりましょうと。すべてオープンにしようよと思うわけです。ディスクローズっていうのは何も情報公開請求があったから書類を出す出さないとかではなくて、議論の過程をしっかり出す、ですから私は大変えらい6月議会もネゴをしなかったものですから、町議会の議員が町長室にお見えになって、「町長、そんなことを言っていると補正予算、議会を通しませんよ」と強い口調でおっしゃられました。私はこういう性格ですから「議会を通さなくてもいいですよ。でもそうなると誰が一番困るのですか。」と返答しました。住民が一番困るわけです。しかし議会ではなんのことはない、通っているわけです。まあ、こういったふうに議員とけんかをしなければならないのですが、私はこういう顔をしまして気が短いものですから副町長以下、常に「町長我慢です。町長我慢です」こういわれる。でも困ったことに、一般的に議会も、人事や組織という、首長の専権事項まで口を出してきたりするんですよね。自分たちは「議会を大事にしろ!」とか、何かあるとすぐ「議会軽視」なんてことを言うんですが、自らの領分なんかもわかってない議員がいますよね。何が困るかっていうと、自分がしていることが間違っているということに気付いていないことが一番困る。そういうことにも我慢してかないといけないのはストレスですけど、ある意味で楽しいというかやりがいはありますね。で、まあ、話しを元に戻しますと、やはり自治というところに住民というファクターをどう取り入れていくか。これは町の職員や議会議員の意識をかえることのてこ入れになる。実は、昨日、うちの人事の内示だしたんですね。で、まあ、私、人の言うこと聞かずに自分の頭の中で全部考えて町の職員あまり知らないんですけどやっていったんです。そうすると、人事の担当あたりがいろいろな提案をしてきました。私は「住民を見て仕事をしなさい。人事異動も。」と言っているんです。これを口酸っぱく言っています。
で、みんな自分が変わろうとしない。これもビックリしました。私が就任したら7時半に課長会やるぞと週1 回。大抵抗にあいまして。で、まあ、私もおとなしい性格ですので月2回8時からになったんですけども。今申し上げたことに代表されるように自分は変わろうとせずに何か言いたいことだけ言う幹部職員にどう意識を徹底させていくかということが私の最大のミッションで、レジメにいろんなことを書きましたけど、まずそこからやらないといけないなと思ってます。
で、もう一つ。昨日も夜6時から12,3名いる係長級以上の女性職員と意見交換会でした。こっちとしては職員へのお願いばっかりです。「こういうことやりたいので、まあ、おねがいします」と。そうしないと職員自身も気付かない。みんな自分を変えたくない、現状のぬるま湯に慣れている訳ですから、最初はお願いじゃないといけないと思ってます。自治体はきれい事ばっかりじゃいかないですから、首長もやっぱり自分も大変なんですけどそういうときこそ職員とコミュニケーションをとる。杓子定規のコミュニケーションじゃなくてそういうところに出かけていってコミュニケーションをとることによって、最終的には、住民に還元できるのではないかと思って今おります。自分にしかできないことをやろう。そういうことを心がけてやっておりますので、まあ、話しが長くなりましたけどこれからの菰野町を見て欲しいなあというふうに思います。以上です。
コーディネーター山路)最後に齋藤知事、部局長にインナーマニフェストも求めてみえますが、ご自身のマニフェスト達成のために議会や職員とどうやって協働していくか、お願いします。
齋藤知事)私、2つだけ述べさせていただきたいと思っています。1つは、せっかくですので、レジメに基づいたもの、それから、もうひとつは、ふるさと納税についてであります。
レジメの23ページちょっとお開けいただきたいと思います。やっぱり、大切なことはこうやって書き留めておけばいいのだな、と思っております。この23ページにあるようなことが、私の想いであります。やはり職員も県民も信頼、県政に対する信頼、町政に対する信頼とこうあるわけです。「いいか、犯罪を犯すな。飲酒運転はダメだぞ」、こういって周知徹底しようとしても、なかなかそれに立ち向かう気概が生まれてこないのは何故でしょうか。それは、お互いの信頼が欠如しているためです。このことを23ページに書いているわけです。信頼関係の構築のためには、先ほどの飲みにケーションも一つの方法でしょう。でも、やっぱり、私の場合は情報公開ですね。毎日記者会見やっている、というのも、県民の皆様と、情報を媒体として、信頼関係を構築しようとする仕組みづくり、とも言えましょう。
それから25ページをちょっとご覧いただいて、情報を媒体とすることによって、「手触り感」というものが県政に対しても出てくるのかなと。
発想の転換でいくつか丹羽会長からも話しがありました。ここに書いてある10の発想転換の中で、今、地方にとって一番大切なのは、やはり、「経営」でありましょう。地方行政は「管理」から「経営」へ、大きく転換を迫られている。分権型社会を目指すうえで、当然の帰結です。
それからこの6番の予定調和ってのもですね、よくある話しなんです。「はい、事務局提案のとおり異議ありませんか」「異議なし」「それでは事務局提案のとおり議決しました。」と。その場に集まるために、参加者の皆さんは、交通費とそれから時間をかけて来ていただいています。
そして、例えば、終わるのは何の意見も交わさずに20分、事務局提案のとおり、というのでは、もったいないし、情けない。これはもう変えないといけない。その予定調和の世界は、仕事の面にも如実に現れますから、この考え方を脱却しない限りは、改革はみえてこないなあ、と思いますね。
それから、「結果」と「成果」は峻別しましょう。これは最近改めて気づいたことです。それは、市町村合併を進めるため、首長達と一緒にいろんな話をしてやりましょう、と各部局長と私との間でインナーマニフェストを結びました。当然、年度末にかけて、その評価検証を行うと、やった、やった、と言う。確かに話し合いは持たれました。しかし、「あれ、あれ、ところで年
度終ったら合併って、進んでいるんだっけ。いや、全く進んでないなあ。しかし首長達との話し合いは、全部やってるなあ」と。これは話し合いという「結果」は出たけど目指す「成果」は何も出ていない。従って、物事の検証評価を行う際には、「結果」と「成果」を峻別する必要がある、と思っています。
ところで、最近の本県に関わる特徴、3つあります。
まず、一つ目は、「県単位の発想はもう捨ててしまいましょう」ということ。まあ、今、自動車関係、ガンのネットワーク関係、それから、これは実は佐賀県と一緒に共同して取組んでいる障害者の駐車場利用制度。特に、最後の障害者の駐車場利用制度とは、運転席のバックミラーのところにちょこっとかけて障害者であることの証明を掲示しないとですね、障害者マーク入りのところに駐車できない、という制度であります。企業からも協力が必要です。そして、それは県境を越えて取組まなければ不都合なことが生じるのです。例えば、これは隣宮城県はやっていません。山形県と宮城県ってのは県都同士が県境を接していますので非常に交流が盛んな地域です。
だけど、宮城県やってなかったら宮城県の車が山形県のその障害者のパーキングに止めていてもこうやって引っかけて障害者マークのないところに止めていたら、実際は障害者の方が止めているのも関わらず、駐車違反で指摘される、という困った事態が生じるからです。これは全国でやらなければ、本当の意味がない。
2つ目、「全員野球をやりましょう」ということ。今年の来年度に向けた山形県職員の採用年齢を10歳引き上げました。本来であれば全廃してもいいと思っていました。だけど、59歳のものすごく優秀な職員がきたらどうしようなんてことを考えて、まずは40歳未満にしました。早
速特徴が出ています。本来であれば採用は30歳未満。今年の30歳未満の応募者数は前年対比で国家公務員同様にマイナスでした。6%マイナスでした。しかし、30代方々までを募集範囲に広げたら3割増えました。全体的に。特に福祉職などという分野。すなわち、狙いは2つ。女性で子育ても終わった人も正規職員としして手を挙げられる。また、民間でキャリアを積んだ人も手を挙げられる。こういう効果をねらって3割近く増加したわけです。私どもにとっても、数多くの中から優秀な人材を採ることが出来る。こうした環境をひとつひとつ整えていくことで、男性・女性、健常者・障害者、若き者・老いたる者その他いろいろ、「全員野球」が可能な世界になります。
それから3つ目の特徴があります。財政改革は1丁目1番地、みなさんそうだとおもいます。しかし、それは徒に歳出改革に取組むだけではダメです。仕組み・仕掛けを作らなければいけません。我々はその仕組みとして、財政規律のための目標を2つ掲げています。ひとつは、財政の中期展望に掲げる計数を数値目標として位置付けています。そしてもうひとつは、プライマリーバランスの黒字と利払い費の均衡を目標として掲げています。
ところで、予算編成作業の過程で、知事査定などというのがよくあると思います。私はそういうのは一切なくしました。意味がないのです。所詮知事査定というのは、氷山の一角、例えば金額が大きいから、また、社会的に問題になるからと、そうした案件を財政担当が選択し、それを知事が10件20件30件ほど審査しても何の意味もありません。私は全部見ます。というより、予算編成作業の全過程で関与します。従って、知事査定という特別に位置付けられるものはありません。秋口に来年度の方針を発表して、そしてそれからずっと予算編成が完了するまで部局長と協議します。その間、12月入り前に、国で言う概算要求、それを発表します。その概算要求段階での予算を、市町村や県民の皆様から見ていただき、ああだこうだと言った意見きいて、まだ自分たちが動ける時期に調整を図る、ということをやっています。そういう予算編成過程をより透明化する、また知事としての考え方を幅広く反映させることで、予算の改革をやろうと取組んでいます。こうした取組みが功を奏し、一昨年、山形県県政史上始まって以来県債残高が減少しました。
今年も県債残高がさらに減る当初予算を組みました。
改革には痛みが伴う。しかし、それに負けないようにこれからもやっていかなければいけないなと思っています。
ふるさと納税については次のラウンドでお話しします。以上です。





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