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ネットワークの達人を目指して

【ネットワークの達人をめざして】
 人脈という言葉がなにか利用したり、されたりする関係をイメージするようであまり好きではないので、(人的)ネットワークという言葉を使わせていただきます。
 ネットワークには、インターネットに代表されるクールなネットワークとフェイス・ツー・フェイスのホットなネットワークがあるのではないかと思います。その両方にそれぞれ良いところがあると思いますが、どちらか片方では完全に機能しないのではないでしょうか。
 また、公私、On と Off のネットワークがありますが、これを明確に区別することは難しく、あまり効果もないと思います。逮捕されたどこかの県の知事のように公私混同は論外ですが、「公私融合の精神」でいいのではないでしょうか。
 私の場合、新聞、雑誌、単行本などのオープンな情報で、自分の気になる、自分のセンスに合う記事などを見つけると、何とかその著者と連絡が取れないかと考えます。単行本の場合は、著者のメールアドレスが入っている場合もありますが、大抵はそこまで入れていただいてないので、出版社や所属先に連絡し、電話やFAXを教えてもらい、「お会いしてお話したい」とお願いするのです。
 また、講演会やシンポジウムで話を聞きたい方が登場するときは、事前にその方の本など書いたものを読んでおき、会場で蛮勇を奮って質問するようにします。なんとか印象を持ってもらったら会場の外などで待っていて名刺交換してもらい、メールアドレスなどの連絡先を教えていただくのです。
 いわばヘッドワークで仕入れた知識をフットワークを使って知恵にするのです。本や記事を書いているぐらいですから、著名な方が多いのですが、私のあつかましいお願いに対してこれまで断られたことはあまりありません。その方々の姿勢がオープンで、垣根が低いということが一番大きいのですが、やはり自分が書いたものに共鳴してくれるというのは誰でも嬉しいことなのではないでしょうか。
 また、「セブンアップの法則」というのがあるようでして、会いたいと思っている人には自分の知り合いを7人辿れば行き着くというのです。
 つまり、その人本人は知らなくても、その人の会社と同じ会社の人を知っているとか、取引先の方を知っているとかいう人を辿っていくと目的の人に逢えるということらしいのです。そんなにうまくいくかどうかはわかりませんが、少なくともマメさがあればなんとかなるでしょう。
 さて、組織に属していますと組織内のネットワークも重要ですが、私はどちらかというと、組織の外の方との交流を活発にするべきだという主義です。「他流試合こそが社員を鍛える。社内で仕事をしているだけでは人は育たない」と富士ゼロックス総合教育研究所の方が書いているのを読んだことがありますが、そのとおりだと思います。
 一旦、ネットワークを構築してもそれで安心していてはいけません。「人脈や情報網は一度構築すると、大きな武器になるが、逆にそれが陳腐化するとキャリアそのものが陳腐化する可能性もある」からです。(「キャリアショック」 高橋俊介著 東洋経済新報社より)
 私がネットワークが陳腐化しないように心がけていることは簡単です。新聞などをチェックしていて自分には興味のない記事でも、「そういえばあの方はこのことに興味を持っていたなあ」と思ったら、それをメールでお知らせしたり、記事そのものをFAXしたりすることと、出張の際にネットワークの方の近くに行くことがあり、時間があれば声をかけてお会いするようにしていることです。その方を利用するのではなく、大切にしているということを示すわけです。そして訪問の際は生の情報というお土産は持っていくようにします。
 クールなネットワークの代表的な手段にしているメールでこころがけていることは、クイックレスポンスです。メールをいただいたらとにかくすぐに返信するようにしています。忙しかったり、中には検討を要する即答できないものもありますが、その場合でも「受け取りました。ありがとう」の返信ぐらいはすぐできます。難しいことを書こうとか、スマートに返信したいと思っていると中々できなくなります。
 メールには開封済みメッセージの要求などの便利な機能があり、また、「返事をください」と書く手もありますが、受け取った相手は強要されているようでいい気はしない(「eメールの達人になる」村上龍 集英社新書)ので、こうした方法はとりたくない以上、受け取った方としては届いたかどうかとそのお礼は送り手に教えてあげた方がいいと思います。
 米国では、メールに対して3日間返信がない相手とは取引できないといいますし、名刺にメールアドレスが入ってないだけで商談できないといいますから、たかがメールぐらいとバカにできません。
 また、IBMを蘇らせたルー・ガースナーは「スピードこそがカギ。集めた情報を分析し、検討を重ねることに時間をかけるよりも速やかに実行に移す方がはるかに良い結果をもたらす」と言っています。
 ただし、メールのFAXや手紙に比べての「返信の簡便さゆえに時として陥穽(かんせい)になることも認識しておく必要がある。すなわち、表現が直接法になって、思いがけず相手を傷つける可能性もある。ITが進歩し、情報のやり取りや意見交換の速度が進めば進むほど、相手の立場に対する思いやりの心がますます重要になる」という米沢富美子慶大教授の指摘は忘れてはならないと思います。
 あまりスマートではない、私のネットワークの心がけと考えを書きましたが要は、アサヒビールの樋口廣太郎さんがおっしゃっているように「琵琶湖が水を満々と湛えていられるのは周囲よりも低い位置にありからだ」ということを忘れないことではないでしょうか。オープンな心で、多様性を認め、垣根を低くしていれば情報は自然に入ってきてネットワークができると思います。
 信頼を得て、何かを頼めるようになるにはそれなりの努力が必要です。いざという時に、電話1本、メール1通で何かを頼めるのが本当のネットワークなのではないでしょうか。“A Supporter in Need is A Supporter Indeed.”(大変な時のサポーターこそ真のサポーター)~浅野史郎メールマガジンでの浅野知事の言葉
 (02/3/18配信のメール)


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