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学力向上・勉強のコツ・学習計画など受験勉強法を教えています。

<練習のひっこし>

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   <“練習のひっこし”による学習効果>


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 前回の中で述べた“一般化”は得意なことと苦手なことの共通点を
見つけて、それを一般化し取り入れることで、両方を伸ばしていく
ものでした。


 そして“練習のひっこし”の例として、右手と左手のそれぞれについて、
はしを使ってどれくらい多くの豆を、つかむ事ができるかについて取り上げ
ました。


 結果は利き腕の右手のほうが豆を多くつかむことができ、その後一週間、
左手だけはしで豆をつかむ練習をします。すると練習した左手が上達する
だけでなく、練習していなかった右手も同時に、豆のはしつかみがうまく
なっていたのです。これが“練習のひっこし”による効果です。


 このことを実際に経験で学んでいった子がいます。その子供、正夫君は
小学低学年のときは、家で勉強をしなくても、学校の内容は普通か普通以上
の理解がありました。


 しかし高学年になると、家での勉強習慣がついていない正夫君は、学校の
勉強だけでは理解が不十分になってきたのです。もちろんそれと同時に成績も
下降線をたどり、普通か普通以下になってしまいます。5段階評価では成績
2や3といったところです。


 それで中学生になった正夫君はテスト期間中、家で一生懸命勉強するように
なりました。ところが家での勉強習慣のない正夫君は、何から手をつけていい
のかわかりません。


 そういう時に手をつけやすいのが、理科や社会の暗記すれば何とかなりそうな
科目です。理科がちょうど植物のところで、これも暗記すればうまくいきそうに
思えます。


 それで彼はまず理科と社会が暗記科目であることに着目して、その共通点を
見出し、両科目とも教科書をじっくり読むことにしました。もちろん覚えにくい
ところは、そのつど紙に書いて覚えていきます。


 そのテストの結果はやっただけの効果があり、5段階の成績評価では4が
ついていました。残りの科目も勉強量はまえより少ないにもかかわらず、
成績3は維持しています。


 小学生のとき、家で少しも勉強しなかった正夫君は、家での勉強のコツを
少しつかみ始めます。暗記物は教科書をくまなく読み、重要事項を覚えると
よいことがわかってきたのです。


 この段階で正夫君の得意科目は理科と社会になっています。それで正夫君は
この成績が上がった成功体験を、他の科目にも試みようとしたのです。


 英語は中学生になって習うはじめての教科です。正夫君は最初、とりくみに
くいように思えていました。しかし学習していくうちに、英語は理科や社会と
同じように、暗記しなければならないことが多いことに気づきます。


 英語と理科や社会との共通点を見つけた正夫君は、今度は英語の教科書丸暗記
を試してみます。声に出して読んだり、スペルを書いたり、本文をそのまま暗記
していくやり方です。もちろん文法を理解しながら暗記をしていきます。


 すると今度はテストの結果、理科、社会に続いて英語でも成績4がつくように
なりました。このときすでに理科、社会では以前ほど勉強量をとらなくても、
成績4が取れるようになっています。


 今回は英語と理科、社会の共通点を見出し、“練習のひっこし”をおこない、
今度は理科、社会ではなく英語に集中したのです。その結果、すでに得意な科目
とまだ苦手な科目の両方とも、成績を上げることができました。


 また正夫君は勉強だけでなく、クラブ活動にも力をいれています、そして中学
1年生を無事終えることができました。彼の中学1年生の最後の成績は英語、
理科、社会と体育が成績4です。そして中学2年生をむかえます。


 中学1年生で勉強の習慣と勉強のコツを見つけた正夫君は、中学2年生に
なっても勉強にスポーツにと、さらに躍進することになります。


 まずは得意になった英語、社会や理科のように暗記すれば、何とかなりそうな
科目の成績を伸ばします。そして“練習のひっこし”をおこない、技・家、美術
や音楽も成績4がもらえるようになりました。


 この段階で彼の苦手科目は、数学と国語だけになっています。彼はそのうち
まず国語に注目します。それは語学という英語との共通点を見つけたからです。

 
 彼は国語も英語と同じようにじっくり教科書を、暗記するくらいに読むように
なりました。そして授業中にとったノートをみながら、文章の理解をよりいっそう
深めることをしたのです。


 その結果、国語も成績4をとることができるようになりました。それだけでは
なく、得意であった英語がさらに得意になり、成績5がもらえるようになって
いるのです。


 これはまさに“練習のひっこし”をおこなったことによる成果なのです。苦手な
ことと得意なことの共通点を見出し、苦手な科目に“練習のひっこし”をおこなう
ことで、それを克服し、さらに得意なことを伸ばしています。


 彼の中学2年生の最後の成績は数学が3、英語が5そのほかは4に変わって
きています。そして彼は中学3年生の中学生最後の学年を迎えたのです。


 彼は勉強ばかりしていたわけではありません。クラブ活動にも熱心で、3年生
最後の学年では、県大会にも出場しているほどです。その時期には彼の体育の
成績も5になっています。


 そういうふうに彼が中学3年生になった時には、苦手科目は数学だけになって
いました。そして彼は最後の学年で、ついに数学と他の科目との共通点を見つけ
ます。それは問題を解く量を多くして、数学の解法パターンを理解して覚える
ことだったのです。


 これで最後まで苦手だった数学の成績も、卒業までに4にすることができる
ようになりました。これは彼にとっては大きな自信です。そして高校に入学した
のちも、“練習のひっこし”をおこなうことで、さらに飛躍をすることになります。


 高校に入学すると、彼は中学校で最後まで苦手だった数学に、一番力を入れる
ようになったのです。するとどうでしょう。過去に一番苦手だった数学の成績が
5になっただけでなく、残り全教科ともオール5の快挙を達成してしまったのです。


 彼は最初成績が2か3の普通かもしくは普通以下の成績の子供でした。その
彼が勉強の達人ともいえる、オール5の成績が取れたのです。


 なぜ彼にできたのかはもうおわかりだと思います。彼は苦手な科目と得意な
科目の共通点を見つけ、それを一般化し、“練習のひっこし”をしながら、
苦手科目を克服してきたのです。その結果が全教科オール5という成績につな
がったのです。


 もちろんそれをやり続けるのには、絶えまない努力は必要です。しかし彼は
上達していくことで快感をえて、そのストレスをむしろ減らしていく事ができた
のです。


 このように苦手なことに得意なことの共通点を見出し、“練習のひっこし”を
おこなうと、苦手なことと得意なことの両方を伸ばしていくことができるのです。


 小学生の頃、成績がかんばしくなかった彼が一貫しておこなってきたことは、
“練習のひっこし”だったのです。そして苦手科目を次から次へと克服して、
さらに得意科目を増やし伸ばしていったのでした。


 成績が優秀とされる子供たちの多くは、何らかの形で“練習のひっこし”を
おこなっていて、その結果、オール4やオール5の成績をとっているのです。
苦手科目のある人はぜひ一度“練習のひっこし”を試してみてください。


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