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カテゴリ:日常番外編
やまもも日記の3詳細はこの二つ前の日記を見てください。
やまもも日記その10 私は本日もやまももの一番奥のカウンターの席から・・・ 昔、天照大御神が身を隠した天岩戸のように固く閉ざされたやまももの扉を見つめる。 固く閉ざされたやまももの扉は予想通り、開かれる気配が無い。 時折、一陣の風が吹くと・・・・ やまももの扉に掛けられたオープンとかかれている看板が音を立てる。 その度に私は客か?と顔を上げる。 そしてその度に失望するのだ。 店内から表通りを眺めるが、人通りはほとんどない。 いつまで・・・・ 待っていれば客は来るのだろうか・・・・ いや・・・・ 待つだけでは駄目かもしれない。 しかし、もうこれ以上コストをかけるわけにもいかない。 どうしてこれほど保証が無いことを続けることは心を揺さぶるのだろうか。 揺さぶれるたびに脆弱な私の心が軋む音が聞こえる。 我慢だ・・・・忍耐だ・・・・ 私は呟くが・・・ それも限界を迎えそうだ。 しかし・・・・ 私は待った。 待った。 待ち続けた。 いつしか・・・・ 日は西日になり、鴉の鳴き声が聞こえるようになる。 競馬中継のレースもメインが終わる。 メインが終わった後に入ってくる客などいない。 今日も・・・・ やまももに売上げは立たなかった。 やまもも総営業時間94時間 やまもも売上げ14200円+0=14200円 時間あたりの販売価格約150円 やまもも日記その11 昨日も誰も来なかった。 今日も・・・・ 誰も来ないのではないだろうか? 今春最後のG1だというのに・・・・ 競馬中継をやっている飲食店としてはG1に誰も来ないということは致命的だ。 そう言えば・・・・ ダービーの日も誰も来なかった。 あの切なさが脳裏に浮かぶ。 排水溝に流れていく褐色の液体がイメージされる。 また・・・・ 一期一会として今日、このときのために作られた味噌汁はまた・・・・ 下水道を通って、魚たちの餌になるのであろうか・・・・ 味噌汁の具になっている野菜を作った顔の見えない農家の人をふと思う。 この人たちも・・・・ 自分たちが手塩にかけた野菜が誰からも必要とされず、排水溝に消えていくことになっていると知ったら・・・・ どれほど哀しいだろう。 完全な自分の行動の否定になるのではないだろうか? そう、自分の時間と言う自分の生命を削って行った行動が無駄であること。 これほどの完全否定が他に存在しうるだろうか? 私はまた、冷めてしまっている味噌汁を眺める。 また・・・・ 亥下の歌が脳内にリフレインする。 ああ、汁よ、汁、汝を奈何せん。 時刻は13時30分を経過した。 私は早くも、本日の来客を諦めた。 いつまで、私は無人の店に佇んでいればいいのだろう。 もう、我慢は限界を迎えそうだ。 できぬ堪忍、するが堪忍 著名な言葉を思い出すも・・・・ 仮に、それができたら、どれほど世の中をうまく渡っていけるだろうか。 その時・・・・ 開かずのやまももの扉が開いた。 先週、やまももを救済してくれた友人が予告ナシにまたやってきてくれたのだ。 ありがたい。 わざわざ私の顔を立ててくれることに感謝をしなければならない。 今日は一人でもお客さんとして人が来てくれたことに満足するべきだろう。 会話をしながら、ふと時計を見ると15時を過ぎていた。 今日の、来店客数は一人。 私は決め付けた。 ところが・・・・ カラン・・・・ 本日2度目・・・・ やまももの扉が開いた。 みると、見知らぬ中年の男性が立っている。 やまもも開店以来5人目のフリーの客だ。 4人中・・・・ 二人の客には痛い目に合わされている。 今度はどうであろうか? 私は半信半疑ながら、会話をした。 すると・・・・ 分っている人だなという印象を受けた。 やはり、「富すれば鋭する」らしい。 会話もはっきりしているし、筋も通っている。 そして、楽しみ方や遊び方を知っている印象を受けた。 やまもも開店以来初のまともなお客さんだ。 上客といってもいい。 こういうお客さんが来るようになれば・・・・ 排水溝に流れる運命の味噌汁も引く手数多になるに違いない。 Yと名乗るそのお客さんは我々に惜しげもなくビールを振る舞い、饒舌に興味深い話をすると、鮮やかに帰っていった。 正直、飲食街に現れる中年男性に偏見を抱きそうであった私は救われた。 是非とも常連になって欲しい客である。 次回、やまももに顔を出してくれる日が待ち遠しい。 やまもも総営業時間102時間 やまもも売上げ14200円+4500=18700円 時間あたりの販売価格約170円 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010/10/23 06:55:52 PM
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