遠くの方で何やらざわめく音がする。
それはまるで砂浜にうち寄せる波の様に、聞こえては消え
また聞こえては消えを繰り返している。
時刻は夜の8時半を少し廻っている。
帰宅の為駅に向かって歩いているのだが、
ここはメイン通りを一本奥に入った路なので、
この時間に歩いているのは私以外に誰もいない。
着任して9ヶ月が経ち、通い慣れた筈のこの路なのに、
年の暮れのせいか暗過ぎる夜道の一人歩きはあまり良い気がしない。
この先の角を曲がれば、街灯が辺りを優しく照らしてくれる道に
出る事ができる。
足早に歩いていると、またあのザワメキが聞こえてきた。
段々と大きくなってくるザワメキは、今度はすぐ近くからの様だ。
乱れたカチカチ音と訳の判らないザワメキが、やはり “ 聞こえては消え ”
を繰り返している。
角を曲がると、数十人の人影が塊になってザワメイテいる姿が眼に入ってきた。
暗がりに薄っすらと浮かび上がったその集団は、カチカチチチチチ
カカカカチカチカチカチ・・・と乱れた音をたて、「 もごもご・・・ 」
言いながら。ゆっくりとこちらへ向かって歩いてくる。
何だろう?・・・。
良く見ると、それは『 火の用心 』の一行だった。
数えると、その数は40人を超えていた。ボランティアの人達だろうか
殆どが年配の方で中には杖をついて歩いている人も数人いらした。
乱れたカチカチ音は複数の拍子木担当の方の、“ 打つタイミングの
バラバラ ” さから起こっていた。そしてザワメキは、大勢の人達の
「 ♪火の用心、いたしましょう♪ 」の不調和な合唱だったという事が判った。
東京の品川駅からさほど離れていないこの地区にも、昔懐かしい風習が
未だ残っていた事を知って、少し暖かい気持ちになれた。
今年も残すところあと僅か。くれぐれも火など出さぬように気をつけたい。
ちなみに、私が子供の頃に住んでいた横須賀では、
「 ♪火の用心♪ 」
カチカチ( 拍子木の音 )
「 ♪マッチ一本火事の元♪ 」でした。
ブログ更新日 2004年12月30日 07時34分08秒 
心に響く映画たち・心に沁みる映画たち【 私の映画の索引 】を開く

今日のイチ推し広告
#40代を生きる #映画 #TV #動画 #火の用心