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2007/09/29(土)15:05

過去の山行記 富士山(2007年8月)Part3

山の話(377)

Part2の続きである。 前日夜の20:15分に五合目を出発し、九合目と山頂のほぼ中間地点にたどり着いたのが4:40。休み時間を含めて8時間を越えている。渋滞はある程度折込済みとはいえ、ここまで酷いとは思わなかった。これは次回へ反省としよう。 とりあえず頂上を目前にして、ご来光を拝むためにベストポジションに陣取る。日の出はまだだが大分明るくなって来た。下界には雲が見当たらない。河口湖や山中湖がうっすらと見える。好天である。 横を見渡すとこんな感じ。結構な斜度である。 しかし「雲海」が無いということは、「雲海に浮かぶご来光」という定番の写真は撮れないということでもある。残念だがちょっと贅沢な悩みである。まあ、そのおかげでここまで順調に山行ができたので文句を言うわけにはいかない。そしてご来光を待つ。 そして5:00過ぎにゆっくりと太陽が顔を出した。 感動である。富士に登って良かったと心から思った。同時にここまでの渋滞登山の嫌な気持ちが霧散した。 日が登ると一気に明るくなる。 そしてご来光を楽しんだ後、再び山頂目指して出発。明るくなったので渋滞状況を伝える写真がばっちり撮れた。以前のブログに載せた写真も含めて、ここでもう一度登山渋滞の現実をとくとご覧あれ。 そしてようやく山頂の鳥居が見えてきた。時間は5:50。もうすぐだ。 ちょうど下弦の月も空に浮かんでいる。 そして山頂。再び感動である。登って本当に本当に良かった。 山頂も相変わらず人の山である。 そしてここが火口。結構生々しい。 山頂でしばしのんびり。結局高山病にならずに済んだ。 日はだいぶ高くなってきた。紫外線が強い。今回は夜間登山だから良かったが、日中の登山だと「高山病対策」よりも「紫外線対策」のほうが重要な気がする。 そして6:40下山開始。 下りは砂礫のブルドーザー道。相変わらず登山客は多いが、道が広いので渋滞することはない。 八合目までは一気に下り、そこからはひざの調子を考えペースを落として進む。空は晴れているが、下界のほうに雲が出てきたようだ。 下を見ると延々とジグザグの下山道が続いている。これを下ると思うと正直めげる。 上りは夜間なので分からなかったが、富士の山肌は「赤い」。まさに火山なのだ。 七合目あたりから植物が姿を現した。同時に雲の中に突入し、日差しを遮れるので助かった。 ようやくジグザグの下山道を下りきり、あとは平坦な道と若干の上りが続く。途中、落石退避のシェルターを通ったりする。 そしてついに五合目到着。時間は9:45。まずまずのペースである。行きにも通ったこの登山口を目の当たりにしたとき、不覚にもつい涙が出てしまった。この歳になってこんなに達成感を覚えるなんて自分でもちょっと驚いた。 五合目ではまず小御嶽神社に無事下山の報告。 そして人気のないところで密かに着替え、さっぱりした姿で食堂に突入。自分へのご褒美のビールとラーメン。 食堂を出たときは10:30。予約している新宿行きの高速バスは12:00。まだ1時間30分時間がある。その間、デジカメの写真などを見ながらのんびりとする。 そのとき、ふと思い出したのが中学生の頃、父と一緒に登った富士山である。 登る前まではほとんど記憶になかったのだが、そういえば山頂の風景は一度確かに父と一緒に見た覚えがある。 そしてこの五合目で父と一緒にバスを待っていた記憶も蘇ってきた。 バスを待つ時間、お中道の上の方に登りこみ、バーナーで湯を沸かしてラーメンを食べたことも思い出した。 今改めて思うと、山登りの経験者だった父は、山登りど素人の中学生時代の私を上手く先導してくれたのだろう。だからこそ中学生の私も無事に山頂に立つことが出来たのだろう。 今回、自分ひとりで富士に登ってみて、初めてそのことに気づいた。 そう思うと今は亡き父に深く感謝したい気持ちで胸が一杯になった。 常日ごろから富士の勇姿に憧れていたのは、父と一緒に登った富士の記憶を知らず知らず投影させていたせいなのかもしれない。 そんな柄にもない、センチなことを考えながら缶ビールを飲み、バスを待った。

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